アイアンは「ダウンブロー」、ドライバーは「アッパーブロー」が良いと言われ、ドローには「インサイドアウト」、フェードには「アウトサイドイン」ということも弾道データで分かるようになりました。そこで、それぞれの弾道を生むヘッド軌道について筒康博ヘッドコーチに聞きました。

同じ“アッパーブロー”でもレッスンと試打では意味が少し異なる

 “ダウンブロー”、“アッパーブロー”の言葉は、レッスンだけでなくクラブフィッティングや試打など、弾道測定でも日常的に使われています。しかし、それぞれ基本的に対象となる「相手」が違う事を理解している人は少ないと思います。

 レッスンで使う際の“ダウンブロー”、“アッパーブロー”は主にスイング時の「ボールに当たるまで」のヘッド軌道について使われています。また、基本的にヘッド軌道の「最下点」に対して“ダウンブロー”、“アッパーブロー”などを見ます。

“ダウンブロー”“アッパーブロー”どちらも、ヘッド軌道の「最下点」の前後に位置する

 アイアンは“ダウンブロー”と言っても例えば7番アイアンの場合、「ボールに当たるまで」のヘッド軌道はせいぜい5度前後の入射角が、プロや上級者の平均と言われています。

 言葉の印象が強いですが、みなさんが想像するほど大きな角度ではなく「最下点に向かう手前でボールを打ちましょう」ぐらいのイメージです。

 一方ドライバーの場合はティーアップしたボールは地面より高い位置にあるので、当たる直前のヘッド軌道は最下点を少しだけ過ぎた“アッパーブロー”になります。この角度も、5度前後になるのが平均的な数値になります。

 つまり、最下点の手前にあるのが“ダウンブロー”、最下点を過ぎたヘッド軌道は“アッパーブロー”になるのがインパクト前後のヘッド軌道。当たり前すぎてつまらないかも知れませんが、“ダウンブロー”、“アッパーブロー”は「打法」ではないのです。

弾道測定レッスンは超危険!?

 弾道測定器データの“ダウンブロー”、“アッパーブロー”の角度は、実際のヘッド軌道と同じ数値にならないのは、ほとんどが「ボール当たっているエネルギー」を中心とした一定の範囲での測定値だからです。

 この事を理解せずに弾道測定器だけでレッスンしてしまうと悲惨な事が起こる可能性があります。

弾道測定データと実際のヘッド軌道は同じ数値にはならない

 ヘッド軌道が過度なダウンブロー過ぎて、ボールに当たる前に地面に「ワンタッチ」してボールを打った場合、弾道測定器データはレベルからアッパーブローになりますが、そのデータを元にレッスンをすると「もっと上から打って!」などというアドバイスになってしまいます。

 結果の違いを比べるクラブフィッティングや試打をする際には大変便利な弾道測定器ですが、レッスン時に測定値を「鵜呑み」にするのは大きなリスクがあります。

 スイングそのものや、カメラで撮影したインパクトゾーンのヘッド軌道を見ずに、弾道測定器のデータだけでレッスンしたら逆のアドバイスをしてしまうからです。

フェードボールは「アウトサイドイン」軌道ではない

 ボールに当たってからのエネルギー、弾道測定器は基本的にボールの飛び方「そのもの」に非常に近いデータ。つまり、「ボールに聞いた」エネルギーデータです。

 具体的な例で言うと、PGAツアープロがフェードボールを打つ実際のヘッド軌道は「ややインサイドアウト」の選手がほとんど。しかしフェードボールを打った弾道測定器データは“アウトサイドイン”になります。

フェードボールの弾道データ “アウトサイドイン”は、実際のヘッド軌道とは異なる

 ヘッド軌道を上から見ると、もっとわかりやすいです。基本的に、実際のヘッド軌道は最下点を中心に手前部分が“インサイドアウト”、先に行くと“アウトサイドイン”を描きます。

 一般ゴルファーの多くが悩む「アイアンが真っすぐ飛ぶとドライバーが右に行くのか?」「同じスイングするべきかどうか?」の疑問に答えるなら、アイアンとドライバーでは「ボールとヘッド軌道の関係は同じではない」と答えるでしょう。

 一方で「クラブやボール位置が変われば弾道も変わる」ものの、スイングイメージは変えないつもりの方がコースで悩まずに済むと思います。その大きな理由は、ほぼ最下点でボールを打つ「レベルブロー」で、フェアウェイウッドやユーティリティも使いこなして欲しいからです。

「ショットの向上=弾道データの向上」ですが、そのためには自分のヘッド軌道を把握している必要があります。こんな話をするとスイング(形)に目が行ってしまいますが、インパクトゾーンでヘッドが地面に接地する「最下点がどこにあるのか?」を確認するだけでもかなり有効です。

 最下点の位置を「大体でも」確認できれば、手前にボールがあれば“ダウンブロー” 、最下点の先にボールがあれば“アッパーブロー”で打ちやすくなります。ボールを打つ位置が決まれば、ある程度のヘッド軌道も予想でき、フェースをどこに向けるべきか? インパクトをマネージメントしやすくなります。打ち出し方向は、主にインパクト時のフェース向きで決まるからです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール