夏場のスポーツ観戦の醍醐味と言えば、やっぱりビール。特に歩き回るゴルフのギャラリーには、あの喉ごしはこたえられません。でも、今シーズンのツアーの中には種類の提供を再開しなかった大会もあったようです。

酒類を提供するか否かは各主催者の判断

 スポーツ観戦で盛り上がり、汗をかいたら冷たいビールを「グビッ!」と飲む。酒飲みにはたまらない時間ですが「この間行った女子ツアーの試合ではビールも売ってなかった。コロナでお酒販売をやめているの?」という寂しそうな声が編集部に届きました。

青空の下で飲むビールは屋内の何倍もうまい! 写真:AC

 2020年は序盤戦がすべて中止となり、その後、開催された試合も無観客ばかり。21年もまだ無観客の試合があった女子ツアーですが、22年は今のところすべての試合がギャラリーを入れて行われています。

 いまだに「有観客開催のお知らせ」というリリースが大会ごとに出され、人数制限付き。それぞれの大会で感染拡大防止対策にも余念がありませんが、状況は少しずつ戻りつつあります。

 では、飲んべぇギャラリーが気にするお酒の提供についてはどうでしょう。結論から言うと、大会それぞれの考え方で、お酒が飲める試合とそうでない試合に分かれています。

 女子のほとんどの大会が日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)主催ではないという事情が、その裏にはあります(男子も同様ですが)。JLPGAが単独で主催しているのは、日本女子プロゴルフ選手権、昨年から始まった楽天スーパーレディス、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップの3試合だけ。公式戦のワールドレディスサロンパスカップも、日本テレビ放送網とJLPGAの共催になっています。それ以外の試合はすべて、企業スポンサーが主催者。JLPGAはツアーを公認している立場にあります。

 そのため、コロナ禍で試合を行うかどうかをはじめ、観客を入れるか入れないか、その人数などについても、JLPGA単独では決められません。前出の3試合についても、それぞれのスポンサーと相談する形をとっています。

 新型コロナウイルス感染拡大でプロスポーツの世界が最初に対応を迫られた20年にも、プロ野球(NPB)やサッカー(Jリーグ)が長期的な予定を発表したのに対して、ゴルフは五月雨式に1試合ずつ、中止が発表されていったのはそのためです。観客についても同様のことが言えます。

 売店などでのギャラリー対応についても、各大会の主催者の意向で決まります。主催者には、サントリーのようにアルコールも含めた飲料の会社もあれば、食品会社も、製薬会社もあります。JLPGAからは、強弱の違いはありますが、お願いという交渉をするだけという仕組みになっています。

 ですから、企業の考えによってアルコール提供の有無が決まります。宮里藍 サントリーレディスオープンでは、アルコールが売られていました。ギャラリーチケットが他の試合に比べて高額な分、会場内でのフードやノンアルコール飲料が含まれていた(品切れしない限り)アース・モンダミンカップでも、別料金ですが、ビールや酎ハイの販売はありました。先週の資生堂レディスオープンでもギャラリープラザその他の出店で、ビール、ハイボール、酎ハイと、アルコールの提供は行われていました。

 対照的にニチレイレディスではアルコール販売がないばかりか、持ち込み禁止にもなっていました。いずれも、主催者の意向です。

アトラクションの再開やマスクの非着用なども

 アルコール解禁以外にも、主催者、JLPGAとの話し合いで徐々に大会でのアトラクションも戻ってきています。感染拡大防止のため、選手のサインは一切もらえなかったのですが、前出のアース・モンダミンカップでは、キッズサインエリアが設けられました。

 毎日先着20名ほどですが、子供が抱えられる大きさの黄色い柔らかいボールに、選手のサインがもらえるというものです。大会側が用意したボールをもらった子供に限られますが、たくさんのサインが入ったボールを嬉しそうに抱える子供の姿が見られました。本当に少しずつですが、まったく何もできなかったところから考えると、ファンと触れ合おうという姿勢が見えます。運営関係者の証言では、こんな動きは、あちこちで起きているとのことです。

 猛暑が予想されるだけに、マスクを外すことも呼びかけられるようになっています。マスクを取ったときには「会話をお控えください」という前提ではありましたが。外している人はまだまだ少ない現状でしたが、屋外でもあり、熱中症予防を考えれば、自然な流れでしょう。

 いずれにしても、少しずつ元の状況が戻ってきている女子ツアー。プロスポーツは、観客が入って初めて完成すると言っても過言ではありません。選手たちは無観客で分かった応援のありがたみを忘れることなくプレーしてほしいものです。観る側も、観戦する喜びを改めて感じられれば、ツアーはさらに盛り上がるはずです。

小川淳子ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。

小川淳子(ゴルフジャーナリスト)