ゴルフショップには「単品ウェッジ」が沢山並んでいますが、インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチは「初心者&中級者だって単品ウェッジの投入はメリットがあります」と言います。何を基準にウェッジを選べば良いのか?初心者&中級者にとってメリットを実感できる選び方を聞きました。

初心者&中級者だって“単品ウェッジ”はアリ

 現代の人気&定番のアイアンセットは、ダンロップ「ゼクシオ12」やヤマハ「UD +2」のようにSWまで同じ仕様でそろえられるモデルもあれば、タイトリスト「Tシリーズ」やミズノ「プロ」のようにPWくらいまでのラインアップモデルもあります。

人気の“単品ウェッジ”は初心者&中級者にとってもメリットは多い

 実は、昔のアイアンはフルセットで販売されていましたが、今はゴルファー自身でセッティング出来るようにウェッジを別途購入できます。その一方で、初心者&中級者ゴルファーのみなさんから「どう選べば良いの?」の相談も受けるようになりました。

 先に結論を言ってしまうと、“単品ウェッジ”は必ずしもプロや上級者が使うために作られたものではありません。

 世界のトッププロが使用するタイトリスト「ボーケイSM9」シリーズも、様々なシチュエーションに合わせてバリエーションが生まれた結果、一般ゴルファーにも大人気モデルになっています。

出発点は「何となくカッコイイ」からでもOK

「何となくカッコイイ」からでも良いですし「今のアイアンセットにウェッジがないから」が出発点でも良いので、初心者&中級者にとっての基本的なウェッジ選びを考察してみたいと思います。

SW(サンドウェッジ)は「バンカー脱出」優先で選ぶ

 まず、「ありがちな」初心者&中級者のプレースタイルを考察したいと思います。SW(サンドウェッジ)はその名のとおり、元々は「砂場(バンカー)」で使う事からスタートしています。

 バンカーショットが得意になれば、フワッと上げたいアプローチ兼用で使いたいですが、現実性を考えバンカーから「一発脱出できる」事が最優先事項になるでしょう。一度バンカーに入ってしまうと毎回大叩きする……、なんて事が起きないようにクラブで回避しておきたいです。

初心者&中級者には特に、SW本来の役目である「バンカーからの脱出」を最優先したソール選び&クラブ重量が必要

「砂にぶつけるだけでとりあえず出る」SWを選ぶコツは、難しい打ち方をしなくても高さと距離が出る性能が第一。少なくともロフトが56度以上ありソール部分が大きく丸みがあるモデルの方が、砂の中にヘッドが潜りすぎず、砂と一緒にボールを高く上げてくれます。

 ただし、バンカーショット時にボールだけをクリーンに打ってしまう「ホームラン傾向が強い」方はウェッジの「クラブ重量」にも注意が必要。

 単品ウェッジのクラブ重量がアイアンセットに比べて重いシャフト装着のモデルが多いのは、この辺りにも理由があります。

 軽く素振りした時に、「ドンッ!」と地面にソールがぶつかる感覚が得られることが、初心者&中級者にとってやさしいSW選びの基準になります。

 ちなみに、グリーン周りのバンカーで「砂が取れない」と言いながらクラブをやたらに短く持つ人を見かけます。砂を取る量をコントロール出来ないなら、「ピンが近いから短く持ちたくなる気持ちも分かりますが、ダフれば飛ばなくなるから長く持ってみては?」とアドバイスする事もあります。

 中腰にしたりスタンスを広めにとったりスパイクを砂に埋めたり、上級者にとってのバンカーショットの常識を押し付けるより、初心者&中級者にとって現実的な方法もあるからです。

スピンや操作性の前に必要なこと

(フルショットだって難しいのに)振り幅をコントロールしながら100ヤード以内の中途半端な距離を打つ事は、初心者&中級者でなくても難しい事です。

 コースでよく打つ、「中途半端な距離」とはどのくらいなのか? 思い出してみて下さい。ここでスイング技術の問題と言っては元も子もありません。世界のトッププロだって「少しでもシンプルにプレーしたい」から3〜4本もロフトが異なるウェッジを入れているのですから。

100ヤード以内の中途半端な距離こそ、ダフリ・トップの心配が少なくボールが上がってくれるロフト選びをしたい

 初心者&中級者にとって(10〜30ヤードは何とか自分で調整するとして)、50〜60ヤード、80〜90ヤードくらいの距離で「とりあえずグリーンに乗れば」ウェッジショットとしての及第点になるのではないでしょうか?

 ウェッジをそろえる際に、もう一つの問題は「ダフリやトップが怖くなくボールがちゃんと上がるか?」です。現実的な話としては、「PWのロフトに合わせたロフトピッチを○度刻みにするかどうか?」等の上級者的ウェッジセッティング論は、理想でしかありません。

「何となく100前後のスコアで安定したい」と考えているゴルファーだってたくさんいます。中途半端な距離を打つためのウェッジ選び、という点ではロフトピッチは特に必要ではないと思います。

 むしろバンカー用SWに近いロフトのウェッジをもう一本「アプローチ用のSW」をセッティングすることを提案します。上級者にとってのロブウェッジの代用という考え方です。

 これでSWが2本セッティングされました。アイアンセットのPWとロフトが大きく開いてしまっていますが、PWで加減して打てない距離をもう1本(48〜52度の中で)加えたい所です。

 この場合の選び方は「PWの下の番手」という考え方なので、ソール形状やバウンスの事より「PWに近しいデザインか?」「SWにつながる見た目か?」の方が重要。そのうえで装着シャフトがPWより重ければOKです。

 ゴルフショップで言われているような「スピン性能」や「操作性」は、コースでダフリトップの恐怖から解放された上級者ゴルファーの話。クラブメーカーは既に一般ゴルファーの気持ちを理解したうえで、クラブを開発し“単品ウェッジ”を発売しています。

補欠ウェッジという選択肢もあり!

 今回「あるある」的に初心者&中級者のみなさんにオススメする“単品ウェッジ”選びは、アイアンセットのPWの他に3本入れるセッティングです。選び方も超現実的なチョイスをしましたので賛否両論がある前提で提案させていただきました。

様々な状況からシンプルに対応できる、ロフトやソールの異なる「補欠メンバー」ウェッジもアリ

 そもそも“単品ウェッジ”選びの難しい所は、購入前にそのスペックのモデルを試打する事ができないことがあります。仮に出来たとしても、芝の上やバンカーでは違った結果やフィーリングも起きうる非常にシビアなクラブ。

 そのうえ、高さや距離感、止まるor転がすなど求められる要素は無限にあります。しかも基本的に初心者&中級者のみなさんはウェッジの練習が嫌いな傾向があります。

 でしたら、せめて今のセッティングに「今のメンバーとは異なる要素」のウェッジを1本購入してみて欲しいです。60度のロブウェッジやソールやバウンスが全然違うもの、チッパー要素があるもの、などメーカーやモデルが異なるウェッジを補欠メンバーとしてスタンバイしてみてはいかがでしょうか?

 クラブに対する「好奇心」も、ウェッジ選びのコツだと思います。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール