プロアマ問わず、クラブセッティングの中にパターは1本という人がほとんどです。しかし、ルール上、パターを複数本入れても問題はなく、過去には2本のパターを駆使してプレーしたプロゴルファーもいました。パターを2本入れるメリットとは? アマチュアにも有効なものなのでしょうか?

パターを距離別に使い分けるのは理に適っている

 ゴルフは、飛ばしたい距離や状況に応じて、さまざまあるクラブの中から最適なモノを選んでプレーを行います。ティーショットで飛ばしたいなら「ドライバー」を使いますし、グリーンを狙うショットでは細かな距離の打ち分けが可能な「アイアン」を使用するでしょう。グリーン周りのラフやバンカーでは「ウェッジ」を使ってアプローチを打ちますし、グリーン上では「パター」でボールを転がしてカップインを狙っていきます。

2本同時に使わなくても、形状的に正反対のパターを持っておくことで、ストロークの矯正にも役立つといわれる

 一方、1回のラウンドで持ち込めるクラブ本数にはルール上の制限があり、最大で「14本」までと規定されています。この14本は、ゴルファーにとって非常に悩ましい本数で、FWやUTなどで長い距離をやさしく攻められるセッティングにする人もいれば、アプローチ重視でウェッジを増やす人もいます。クラブが多様化した現代においては、セッティングも非常に多様化しているのです。

 そんな中で、パターは1本だけセッティングに組み込むのが一般的です。しかし、世界に目を向けると、オーストラリアのプロゴルファー、アダム・スコットが『スコッティキャメロン』の長尺パターと短尺パターの2本をセッティングに組み込んだ例があります。ルール上、パターを複数本入れても問題はありませんが、果たしてどのようなメリットがあるのでしょう? クラフトマン兼スイングコーチの関浩太郎プロは、以下のように話しています。

「多種多様なモデルがあるパターですが、基本的に距離感が合いやすいモノと方向性が良いモノの2つに大別できます。それらを両立したモデルはありませんので、例えば距離感が合いやすいブレード型パターでロングパットを、方向性がいいマレット型パターをショートパットにと使い分けるのは理に適っています」

 マレット型パターは、ヘッドが大きく、重心が深めに設計され、クラブの重さでヘッドを真っすぐ動かしやすくなっています。太い線が入るなど、ターゲットに真っすぐ構えやすいデザインが採用されていることもありますので、短い距離のパットがやさしくなります。

 一方、ブレード型パターは、ヘッドが小さい分、操作性が高く、打感の良さもあるので、感覚を生かしてボールを転がせるようになっています。最近ではミスヒットに強いモデルも増えていますので、距離感を合わせるという意味では心強い武器になります。

 このように、距離に応じて2本のパターを使い分けることができれば、3パットを減らして、カップインの確率を高めることができます。パターに悩んでいるなら、試してみる価値は十分にあると言えそうです。

グリーン上にパターを2本持っていくのはちょっと大変…

 パターを2本入れるセッティングは、メリットがある一方で、デメリットもあります。前出の関プロは、以下のように話します。

「特性の違う2本のパターを打つ場合、打感や重量、形状が大きく変わる場合がありますので、打ちにくさを感じてしまうかもしれません。パターは経験値も大切になってくるクラブですので、人によっては同じ1本のパターを何年も使い続けた方が上達が早くなって、スコアが良くなることもあります」

 たしかに特性の大きく異なる2つのパターを同じレベルで使い分けるのは、アマチュアゴルファーにはハードルが高いかもしれません。また、プロゴルファーの中には、1本のパターを長年使い続けている人も少なくありませんし、使い込んだパターだからこその距離感や方向性の出しやすさもあるでしょう。必ずしも2本セッティングの方が良いとも言えないようです。

「その他にも、2本セッティングの場合、ロングパットを打った後でパターを持ち替えるという作業が発生します。いくらスコアアップをするために理に適っていると言っても、プライベートゴルフでこれを続けるのは面倒に感じてしまうかもしれません。アマチュアゴルファーが実践するにはいくつものハードルがあるわけです」

 グリーン上でパターを持ち替える場合、通常よりも時間がかかってしまい、同伴プレーヤーを待たせて迷惑をかけてしまう可能もあるでしょう。このように、メリット・デメリットの両方があるパター2本セッティングですが、実践したプロゴルファーがいるのも事実です。スコアアップのためのひとつの手段として、デメリットも把握した上で挑戦してみても、面白いかもしれません。

ピーコックブルー