日本に限らず、海外ゴルファーもネット検索が活発。レッスンワードでは“オーバー・ザ・トップ”や“チキンウイング”が検索上位だそうです。まるで映画のタイトルみたいですが、どういう意味なのか? 国内外のスイングメソッドに詳しい筒康博コーチに用語の意味や使い方を聞きました。

真上から振り下ろす “オーバー・ザ・トップ”

 “オーバー・ザ・トップ”とは、トップから切り返しにかけて、まるで斧を振り下ろすように真上からクラブを叩きつけてしまう動きのことを言います。

 読者のみなさんからは「アウトサイドインの事でしょ」「英語マウントかよ!」の声が聞こえてきそうですが、ちょっと意味が違います。例えば弾道測定器でフェードボールは「アウトサイドイン」のインパクトによって生まれますが、必ずしも“オーバー・ザ・トップ”している訳ではありません。

“オーバー・ザ・トップ”は、まるで斧を振り下ろすようにトップから切り返しにかけて、真上からクラブを振り下ろすエラー動作

 知ってしまえば“オーバー・ザ・トップ”という言葉が分かりやすい理由があります。それは、どの時点でのどんなエラー動作なのかがハッキリしている点です。

 もう一つの理由は、この言葉の中に原因も含まれている事です。日本特有の和製英語スイング用語に比べると、グローバルなゴルフ用語は非常に合理的なので知っておいて損はないと思います。

“オーバー・ザ・トップ”は上半身のエラー動作

 トップから切り返し時に起こる“オーバー・ザ・トップ”は、せっかく作った上半身の捻転をいきなり全て戻してしまうエラー動作によって起きます。

 苦しすぎる捻転動作を行なってしまうと、下半身リードや体重移動を行う間もなく、クラブを大きく外側に振り下ろしてしまうことになります。

トップの位置に右肩を残したままダウンスイングする「イメージ」ドリルで悪いクセが軽減できる

 直し方はたくさんありますが、海外でもネット検索の上位になるということは、「自分で簡単に改善できない」からに他なりません。このエラーはスイング理論ではなく「コツを押さえたドリル」をオススメします。

 捻転した上半身をすぐに戻す動作ではなく、むしろそのままの状態で下半身リードを行ったり腕を振り下ろす「習慣づけ」が必要。“オーバー・ザ・トップ”が改善できると、カット打ちインパクトによる大スライスも改善できます。

カッコ悪いうえに飛ばなくなる“チキンウイング”

 “チキンウイング”というゴルフ用語に使われるのは、主にインパクト以降の腕の使い方についてです。

片手首とヒジが折れ曲がった“チキンウイング”は、その名のとおりニワトリの羽根に似ているのが語源

 日本では「ヒジ引け」「ワキが締まっていない」の表現が使われますが、“チキンウイング”の場合は、具体的にデメリットが示されているため検索ワードとして人気だそうです。それは、「インパクト時にロフトが大きくなってしまうためボールが飛ばなくなる」「不必要なスピンが入ってしまうためミスショットになりやすい」ことだそうです。

 具体的には“チキンウイング”には手首が大きく折れてヒジが曲がっているため、スイングの半径が小さく窮屈になります。

 そのまま強打を続けてしまうと腕のケガの原因にもなります。「カッコ悪いから」ではなく、思い当たる現象があるなら改善する事をオススメします。

“チキンウイング”は“オーバー・ザ・トップ”とセットで改善できる!

 “チキンウイング”と“オーバー・ザ・トップ”のエラーはセットになっている場合が多いので、「セットで改善できる」動作でもあります。

極端なドローボール(フック)が出るぐらいのイメージで、大げさに両腕をつけるようにインパクトするドリルなら改善できる

 大きなドローボール(またはフック)が出そうな「大げさなイメージドリル」を行うことで、エラー動作とは逆のベクトルをスイングに与えることができ、頑固なクセを軽減できるのです。

 コツはあまり大きく振りかぶらずに、少しヨコ振りのつもりでヒジをしっかり下に向けてあげることです。できればボールを打てれば良いですが、イメージ作りなので素振りやシャドースイングでも効果は期待できます。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール