「ドライバーが飛べばスコアメークが楽になる」。これはビギナーからプロまで共通して当てはまること。しかし、一般アマチュアにはなかなか難しいことでもあります。そこで、筒康博コーチに、一般アマチュアが「ドライバーと飛距離の関係性」をどのように考えるべきか聞きました。

アマチュアはドライバーの“平均飛距離”なんて意識できない!

 先日、トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープンで米LPGA初優勝を遂げた古江彩佳選手、彼女のティーショットの“平均飛距離”について色々な記事がアップされてました。

 ドライバーの飛距離に頼らずとも強い選手がいる一方、PGAツアー選手の多くは飛距離を武器に好成績を収めているデータもあります。一般ゴルファーについてもドライバーの“平均飛距離” と平均スコアは連動するそうですが、誰だってそんなことは何となく分かっています。

「分かっていても難しい」から、うまくいくための方法や考え方を探しているのです。インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチに、一般ゴルファーの気持ちを代弁してもらいながら対策を提案してもらいました。

ドライバーの“平均飛距離”を意識してもスコアがアップしない
ドライバーの“平均飛距離”を意識してもスコアがアップしない

 世界のトッププロが競い合う一部のトーナメントコースを除いて、ドライバーショットは「方向性さえ良いなら飛べば飛ぶほど有利」に決まっています。また一般ゴルファーの気持ちを代弁するなら「軽く打てば曲がらない」とか「平均飛距離を意識しましょう」の意見は、ナンセンスなアドバイスに感じるのではないでしょうか?

 また、「ティーショットは飛距離じゃない」「ドライバーなんか使うからスコアが出ない」の話も、結局「※個人の感想です」であってロジックは人それぞれ。

 リンクスのようにボールがフェアウェイに落ちてからどこまでも転がっていくようなコースもあれば、フェアウェイの芝をあまり刈っていないコースだってあります。みなさんがゴルファーとして「承認欲求」が満たされていれば、一つの方法論にこだわる必要はないと思います。

「ドライバーがうまいマウント」やめませんか?

 つい最近、SNSで松山英樹選手が満面の笑みで人生最高のボールスピードを記録した、という動画がアップされ話題になりました。今でも十分な飛距離がある松山選手だって、ほんのちょっと飛距離が伸びただけでも「めちゃくちゃうれしい!」のが事実ではないでしょうか?

良いスコアが出せている上級者のとって平均飛距離やフェアウェイキープ率などは重要だが、鵜呑みにしてしまうことが必ずしも良いとは言えない
良いスコアが出せている上級者のとって平均飛距離やフェアウェイキープ率などは重要だが、鵜呑みにしてしまうことが必ずしも良いとは言えない

 また先日、トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープンで米LPGAツアー初優勝を遂げた古江彩佳選手の“平均飛距離“が色々と取り上げられていました。

 その多くは「飛ばないのに……」のような内容でした。しかし、ツアーでの飛距離ランキング「135位」と言っても246ヤード。しかもフェアウェイキープ率は82.7%(ランキングは12位)です!

 もし、身長153センチ、体重54キロの古江選手に近い体格で、こんなデータを持つゴルファーがみなさんの周りにいたら「飛ばないのに」なんて言うのでしょうか? 僕なら、ドライバーも曲がらずに飛ばせていて、しかもセカンドショットもグリーン周りもうまい! と言いますが。

 そもそも、スコアの良い上級者がドライバーの“平均飛距離”が出ているのは当たり前だと思います。ドライバーがしっかり打てていて飛距離も方向性も良ければセカンドショットは非常にラクな場所から打てます。

 逆に、ドライバーがうまく打てなければ曲がる可能性も高く、飛距離が出ているはずはありません。セカンドショットも難しい所から打つしかないので、スコアだって「なかなか大変」になるでしょう。

 フェアウェイウッドやユーティリティーで刻みを推奨するドライバーの飛ばし否定派の人たちも、「OBやとんでもない所に行くなら」が主な理由だと思いますが、一方で「刻んだ結果、ドライバーを使った時より酷い結果になった」ゴルファーも実際には結構いるのです。

 これって結局、ドライバーの飛距離や方向性が安定していないゴルファーに対する「オレのやり方が正しい」マウントではないでしょうか?

自分と「会話」してみては?

 ドライバーが遠くに飛べば、当然セカンドショットは短い距離で打てるので有利なことは間違いないですが、スコアだけを考えると中途半端な距離や傾斜地など「近いけど難しい」こともあるのがゴルフ。

 上級者たちには常に「スコアが念頭にある」のですが、ドライバーが飛ぶようになればゲームそのもののスケールが大きくなります。つまり飛距離は「伸び代」なので、周りから見て安定しているプロゴルファーたちだって頭の中には「もっと飛距離をアップしたい」はゴルファーの潜在意識に必ずあるはずです。

「今の自分」と会話しながら、これから行う選択肢がどうなるのか? を予想してみるのも方法の一つ
「今の自分」と会話しながら、これから行う選択肢がどうなるのか? を予想してみるのも方法の一つ

 一般ゴルファーのみなさんにとって、ドライバーの“平均飛距離”は「ちゃんと芯で当たっているか」や「狙った方向に飛ばせているか?」などの目安に考える程度で充分。

 プロのようにフェアウェイキープ率も意識する必要はないと思います。一般営業コースなら「セカンドショットがグリーンに打てる所にあるか?」のデータくらいで、現在のドライバーのスコア貢献度に近い数字は把握できると思います。

 ドライバーがスコアを乱す原因になっているかどうかは、ご自身で「このハーフはドライバー封印」とか「6割以上で振らない」など検証してみることには大賛成です。「誰かが言ったから正しい」など縛られずに、「自分と会話」してみてはいかがでしょうか?

 周りに迷惑をかけないなら「自分以外のせいにする」のも精神衛生上良いと感じるなら僕は大いにありだと思っています。コーチングは「結果が全て」と受け入れる柔軟性も必要。アマチュアのみなさんは安定など考えなくても、まだまだ飛距離も方向性も伸び代しかないと思います。

 安定はしていないけど「たまにぶっ飛ぶ」のもポテンシャルですし、ラウンドを通して「欲張らないメンタル」も競技向けポテンシャルがある表れだと思います。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール