ちまたには、いまだに根拠のない「ハンドファーストレッスン」のコンテンツがあふれています。その結果、スイングを崩し、「シャンクが止まらない」「当たらない」などの様々な悩みを抱えたゴルファーが数多くいます。そこで、筒康博コーチに “ハンドファースト”の真実を教えてもらいました。

“ハンドファースト”はスイングではなく「状態」

「ハンドファーストインパクト」は、まるで魔法の言葉のような印象を持っています。ごく一部のYouTubeレッスンを鵜呑みにして、ボロボロになったスイング難民ゴルファーがインドアゴルフレンジKz亀戸店に訪れます。

 彼らの多くは、ハンドファーストならボールがつかまり、飛んで曲がらない球筋が手に入ると思っています、しかし、ハンドファーストインパクトは「状態」でしかありません。そして、そのような状態になるプロセスも、よく分からないまま取り組んでいる人が多いです。

多くのゴルファーができていない「ハンドファーストインパクト」 写真:unsplash
多くのゴルファーができていない「ハンドファーストインパクト」 写真:unsplash

 よく使われる「PGAのプロたちはみんなやってる……」という例えで言うと、モーションキャプチャーによるスイング計測で得られたビッグデータが実際に存在します。

 その中には、体の移動を伴わない「手だけが前方に移動した」というスイングデータは皆無。ハンドファーストの度合いを見るシャフトの傾き具合のデータを見ると、アドレス時の傾きは、おおよそ7番アイアンで10度に満たないくらいの範囲で飛球線方向に傾いています。

奇抜な方法で「手だけを前に出す」という“ニセハンドファースト”スイングは、モーションキャプチャーによるPGAツアー選手のビッグデータによって完全否定された
奇抜な方法で「手だけを前に出す」という“ニセハンドファースト”スイングは、モーションキャプチャーによるPGAツアー選手のビッグデータによって完全否定された

 そして、両肩を含めた体全体が飛球線方向に移動しているため、グリップも同じように移動しているのです。それが、「ハンドファーストインパクト」の真実です。つまり「手を飛球線方向に出す」ではなく、下半身から始まり上半身もグリップもインパクトでは飛球線方向に移動しているということなのです。

ドライバーショットでは“ハンドファースト”にならない!?

 多くのゴルファーが誤解している、ドライバーショットのインパクト時でのシャフトの傾き。実は、ほとんどハンドファーストインパクトにはならないことが、ビッグデータでわかっています。

 しかし、体の動きとシャフトの傾きの変化は7番アイアンと大きく変わりません。そのため、PGAツアー選手の多くがアドレス時に“ハンドファースト”の逆、少しハンドレートにシャフトを傾けているのです。

アッパーブローでインパクトを迎えるドライバーショットでは、ハンドファーストの度合いは非常に少なくなる
アッパーブローでインパクトを迎えるドライバーショットでは、ハンドファーストの度合いは非常に少なくなる

 このハンドレートなアドレスからインパクトにかけて、アイアン同様に体の位置が飛球線方向に移動します。しかし体も回転しているので、斜めから撮った写真では「ハンドファースト」が強いという印象を与えるのでしょう。

 しかし、アッパーブローにインパクトするドライバーショットでは、アマチュアゴルファーが思っていることとは異なり、ほとんどハンドファーストにはなりません。

 どんなにプロのスイングをマネしても、そのとおりにできないのがゴルフの難しいく面白いところです。そこでレッスンでは、個々のゴルファーが持つ「クセ」を改善するため異なるイメージを加えることはあります。

 まず現状を共有したうえで、「何のために」「なぜそうするのか?」などを伝え、打ちたいショットになるためのクラブの動きを作ることが先決です。そのための体の動きが、スイング方法となるのです。

「インパクトの形だけ」を作ったり、誰でも同じボールが打てるなどとは伝えないで欲しいです。プロや上級者のスイングフォーム(形)は、クラブとボールをうまく使いこなし、打ちたいショットを打った結果でしかないのです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール