テーラーメイドからは「ハイ・トウ 3」、キャロウェイからは「ジョーズ ロウ」と、フェース面がノーメッキであることを売りにしたウェッジが相次いで発表されました。メッキしないことの最大のメリットは何のなのでしょうか? また、サビてもスピンは減らないのでしょうか?

ノーメッキだとウエットな状況でもあまりスピンが落ちない

 今年はノーメッキのウェッジが話題になっています。テーラーメイドからは「ハイ・トウ 3」、キャロウェイからは「ジョーズ ロウ」という、いずれもフェースにメッキ加工を施していないウェッジが相次いで発表され、話題となっています。ノーメッキということは、当然フェースがサビてくるはずですが、サビたときでもスピン量に影響はないのでしょうか?

テーラーメイド「ハイ・トウ 3」ウェッジのフェース面。スピンを増やすためのさまざまな加工が、メッキしないことによってダイレクトにボールに影響を与える
テーラーメイド「ハイ・トウ 3」ウェッジのフェース面。スピンを増やすためのさまざまな加工が、メッキしないことによってダイレクトにボールに影響を与える

 今年53歳のツアープロ、福永和宏は25年以上もノーメッキのウェッジを使い続けています。20代の頃はレギュラーツアーに出場し、1996年には「ポカリスエットよみうりオープン」で優勝しましたが、当時からノーメッキウェッジを使っていたそうです。福永はなぜノーメッキウェッジを使い始めたのでしょうか?

「90年代はタイガー・ウッズがクリーブランドのノーメッキウェッジを使っていて、それを当時の若いプロや研修生が真似するようになったのがキッカケでした」

 1996年にプロ転向し、翌年のマスターズで史上最年少優勝を達成したタイガー・ウッズは90年代後半にクリーブランドの「TA588 RAW」というノーメッキのウェッジを使っていました。

 ちなみにノーメッキウェッジはやはりスピンが効くのでしょうか?

「正直、地面がドライな状態で花道やカラーから打つときはメッキもノーメッキもほとんど違いはありません。スピン量に明確な違いが出るのはラフから打つときやウエットコンディションです。そうした場面ではノーメッキのほうがフェースに食いつく感じがあって、グリーンに乗ったワンバウンド目でギュッとスピンが入ってくれます。しかし、メッキをしているウェッジは溝の上に“1枚かませている”ので、溝の食いつき感が少し落ちる。その分、スピン量が落ちると思います」

 テーラーメイドが「ハイ・トウ ロウ」の2021モデルを発表した際、レギュラーツアーの石坂友宏をゲストに呼んでメッキウェッジとノーメッキウェッジのスピン量の変化を検証していました。

 使用したのはメッキをした「ハイ・トウ」とノーメッキの「ハイ・トウ ロウ」。形状もロフトもまったく同じモデルで比較して、ドライコンディションではどちらもスピン量は9000回転から10000回転の間でほぼ同じでした。しかしウエットコンディションになるとノーメッキのスピン量は9000回転ありましたが、メッキタイプは5000回転まで落ちていました。それほどウエットコンディションでは違いが出るのです。

サビではスピン量は落ちないが長く使えば溝は削られてくる

 しかし、ノーメッキウェッジにはサビが発生するという大きな問題があります。長年、ノーメッキウェッジを使う福永は、サビたときのスピン量をどう感じているのでしょうか?

「ノーメッキウェッジはすぐにサビます。だから、もしサビによってスピン量が減ってしまうのなら、私も25年以上使っていません。基本的にウェッジのフェースにできるサビは、フェースの表面が盛り上がるような大きなサビではない。だからサビたウェッジを使っていてもスピン量が減る感覚はまったくありません」

 今回、キャロウエイゴルフの担当者にもサビによるスピン量の影響を聞くと、「当社でもサビによってスピン量は変化しないと考えています」という回答がありました。

 ただし福永はウェッジを長く使っていると、必ずスピン量が落ちてくると言います。

「メッキをしていても、ノーメッキでも、ウェッジでボールを打っていると、溝のエッジ部分が削られていきます。そうなると、少しずつスピン量が減っていきます。だから私の場合、約1年間でウェッジを交換するようにしています」

ウェッジのスピン量が減ってくるのはサビによる影響よりも、使っているうちに溝の角が丸くなってしまうことが原因だったようです。

福永 和宏(ふくなが・かずひろ)

1969年生まれ、福岡県出身。92年にプロ入りし、90年代から2000年代にかけてレギュラーツアーで活躍。96年にレギュラーツアー初優勝を果たした。05年にはツアーで2週連続ホールインワンも達成。

野中真一