打ちっぱなし練習場では力強い打球をビシビシと飛ばしている人が、コースに出ると途端にボロボロになってしまう。いわゆる“練習場シングルさん”です。コースでうまく打てない原因のほとんどは共通しているようです。

練習場では教えることがないほどうまくてもコースでは…

 練習場ではボールをビシビシ飛ばせるのに、コースへ出るとまったくボールに当たらなくなってしまう、いわゆる“練習場シングルさん”。野球で言うところの“ブルペンエース”ですね。そうなってしまう原因はいったい何なのでしょうか。

打ちっぱなし練習場や、コースでもティーショットは完璧なのに…… 写真:AC
打ちっぱなし練習場や、コースでもティーショットは完璧なのに…… 写真:AC

“コースでもシングル”になるには、どうしたらいいのか、『最速!ゴルフ上達「4プレーン+2フェース」』の著書がある理論派の山田直知プロに教えていただきました。

「原因のほとんどは傾斜です。『70台を出したい』と体験レッスンに来られて、教えることがないくらいうまい方でも、コースへ行くと傾斜の打ち方ができていないために80台後半から90くらい打ってしまうケースが最も多いです」

 傾斜からのショットをミスするのは初心者ばかりと思っていましたが、シングル入り目前の人にも決して少なくないようなのです。

「傾斜の打ち方ができていない方には2つのタイプがあります。1つは打ち方の知識がないか中途半端に頭に入っている方です。例えば、左足下がりの斜面では、ダフリ防止のためにボールをいつもより右に置きます。でもそれだと、いいスイングをしている人ほどプッシュアウトして右OBの方向へ飛んで行きやすい。クラブがインサイドから下りてきて、フェースが開いた状態でボールに当たるからです。この場合は、プッシュアウトしない打ち方をするのではなく、プッシュアウトを予想して左を向いて構えることが不可欠なのです」

 フェアウェイから打つのはうまいのに、左足下がりで大きなミスをしてしまう人は、ここまでの知識をしっかり覚えて実行することが重要と言えそうです。

「もう1つは明らかに実戦が少ないタイプです。例えば、練習場へは月に何回も行くけれど、コースに出るのは数カ月に1回という頻度を何年も続けているような方です。コンスタントに練習場で打ち込んでいるから平らなところから打つのはうまいけれど、ラウンド数が少なすぎて傾斜からの打ち方が身につくまで達していないのです」

 傾斜からの打ち方を知識として知っていても、練習場の打席から打つスンイグが染みついてしまい、足の位置とは違う高さにあるボールも平らなところから打つ感覚で打ってしまうからうまくいかない、と山田プロは指摘します。

「例えば、ツマ先上がりは前傾姿勢を起こして横振りをすると知っていても、90%の人はダフります。ツマ先下がりは前傾を深くして重心を下げて打つと心がけても、90%の人はトップします。コースでは、ボールの位置が足場より10センチも15センチも高かったり低かったりすることのほうが多いくらいなのに、平らなところから打つ感覚しか身についていないため、打点の高さを調節することができないからです。70台のスコアを目指すのなら、まずは傾斜に応じて打点を合わせられるようにしなければなりません」

ツマ先上がりはわざとトップさせる、ツマ先下がりはダフらせる

 とはいえ、どうやったら打点の高さを調節することができるのでしょうか。

「ゴルフでは『やっているつもりなのに、できていない』ことが多いですよね。その原因は、反射の動きが鈍いか、イメージと感覚とがズレているからです。そこで私は、ツマ先上がりではダフらないよう『トップさせてみてください』、ツマ先下がりではトップしないよう『思い切りダフらせてください』と、生徒さんにアドバイスします。大体の方はこれで当たるようになります」

 例えば、ツマ先上がりなら「クラブを短く持って前傾を起こす」ことも大事ですが、「トップさせるように打つ」心がけをするほうが、直感的にクラブを振ることができて結果的に打点が上にくるからボールに当たりやすいのです。

「ミスヒットと反対のボールを打つつもりで打ってみると、『こんなに上のほうを振っていいんだ』とか『ダフらせるつもりで、やっとトップが防げるんだ』といった新しい感覚をつかむことができて、自分の殻を破れます」

“練習場シングルさん”にとって、傾斜のショットを克服することは最大の課題。知識と実戦を充実させ、時には荒療治も取り入れるのが卒業の近道と言えそうです。

野上雅子