向かい風や林からの脱出、木の枝下を通したいときなど、アイアンショットで低い球を打てることは何かとプラスになります。場合によっては、手前の花道を転がしてグリーンに乗せることも可能です。今回はできるだけ簡単に打てる低いボールの打ち方を高橋竜彦が紹介します。
グリップエンドをヘソに向けながらスイング
低い球を打つには本来の番手よりもロフトを立てた状態でインパクトを迎えたいので、ボールを通常よりも右にセットします。両手の位置は左太モモの前にあるため、自動的にハンドファーストの構えになります。アドレスでの体重配分は左足に7割、右足に3割です。
大切なのは、この7対3の体重配分をできるだけキープしたままスイングすることです。
いくらアドレスで7対3の体重配分で構えても、バックスイングで右足に体重が多く乗っては意味がありません。ダウンスイングで左足に体重を多く乗せようとしても上体が目標方向に突っ込んでミスショットの原因となるからです。

仮に上体が突っ込む動きを避けようとすると、右足に体重が多く残ったままインパクトを迎えるのですくい打ちになります。大きなスイングにならないように気をつけながら、左足を軸にしたスイングを心がけましょう。
また、スイング中はグリップエンドを自分のヘソに向けておくと、ロフトが大きくならず、低い球を打てます。インパクトでハンドレートの形になると、グリップエンドがヘソを向かなくなり、ボールが上がってしまうので要注意です。
右手1本でクラブを持ち、左手で右の上腕を抑えながら振る
グリップエンドがヘソを向く感覚が分からない人は、次のドリルを行いましょう。
まず、右手1本でクラブを持ってアドレスします。左手は右の上腕に当て、右ワキが開かないように抑えます。あとはグリップエンドがヘソを向くのを確認しながら右腰から左腰までのハーフスイングを行います。

うまくできていると思ったら、実際にボールを打ってみましょう。遠くへ飛ばす必要はないので、20ヤードぐらい飛べば十分です。左手で右の上腕を抑えないと、フェースが開いたり、インパクトでロフトが大きくなるので低い球は出ません。
また、基本的にスイングが大きくなるとボールは上がる傾向にあるので、右腰から左腰までの振り幅で十分です。コースでも低いボールが打ちたいときは、その振り幅でボールを打ちましょう。
届かないと思ったときは、番手を上げることで対応します。決して振り幅を大きくしないこと。それが低いボールを打つコツでもあります。
取材協力・木更津ゴルフ倶楽部(千葉県袖ケ浦市)
【指導】高橋竜彦(たかはし・たつひこ)
1974年6月6日、福岡県生まれ。全国高校ゴルフ選手権で優勝して日本大学に進学。関東学生、朝日杯日本学生を制する。97年にプロ転向後は2005年にアイフルカップ、06年に日本ゴルフツアー選手権に優勝。高校、大学、プロで日本タイトルを獲得。現在はトーナメントに出場するかたわら、ABEMAツアーの解説も行う。ジャパンクリエイト所属。
山西英希