伊藤園レディス最終日、2打差2位でスタートした山下美夢有が強風の中、耐えるゴルフを完遂し、シーズン5勝目を飾るとともに、史上最年少21歳103日での年間女王を達成した。

“女王タイトル”の声が聞こえ始めても自分のプレー貫く

◆国内女子プロゴルフ<伊藤園レディス 11月11〜13日 グレートアイランド倶楽部(千葉県) 6741ヤード・パー72>

シーズン5勝目と史上最年少での年間女王を決め、両親とスリーショットの山下美夢有 写真:Getty Images
シーズン5勝目と史上最年少での年間女王を決め、両親とスリーショットの山下美夢有 写真:Getty Images

 山下美夢有が今季5勝目を挙げ、史上最年少の年間女王に輝いた。

 伊藤園レディス最終日は、通算13アンダー首位スタートの上田桃子を2打差で山下が、さらに1打遅れて岸部桃子が追う展開。山下は強い風と難しいピン位置に対して「落ち着いて耐えてチャンスが来るまで待とうと思ってプレーしていました」という言葉通りのプレーを貫いた。

 これが値千金の15番バーディーにつながった。パー5の3打目、残り62ヤードを58度のウェッジで打ち、1メートルにピタリとつけた会心の1打だった。同じホールでやはりバーディーを奪った岸部と山下の2人が首位の上田と並んだまま、残り3ホールに突入していく。  16番で上田がティーショットを右の木の根元に打ち込んでダブルボギーを叩き、岸部も大詰めのパー3、17番でボギー。山下は最後の試練となった18番で3メートルのパーパットを沈めて通算12アンダーを守り、激戦を制した。

 ボールがカップに吸い込まれた瞬間のガッツポーズに気持ちがあふれる。淡々とプレーする山下が珍しく見せた感情が、見る者の心を揺さぶった。

 表彰式でのスピーチでも涙が止まらなくなった。公式会見でその理由について聞かれると「今年は予選落ちが3回続いたんですけど、そこからこうして複数回優勝できたのも、たくさんの応援があったから。いま強くなれたと思っています」と説明。

 春先、連覇のかかった大会でまさかの予選落ちを喫し、そこから3週連続で週末はプレーできず苦しんだ頃をを思い出し、さらに応援に感謝しての涙だったようだ。

 優勝によってメルセデスランキングでは200ポイントを加算。通算2988.78ポイントで、2位の西郷真央との差は793.95に広がった。残り2試合はいずれも4日間大会で、優勝すれば300ポイントが稼げるが、西郷が連勝しても追いつけないため、2試合を残して山下の年間女王が決まった。

 開幕前には「全然(想像)してなかったです」というツアーNo.1。「1試合、1試合、優勝を目指して上位で戦えるように準備をしっかりやろうと思ってやってました」と、地に足の着いたプレーを続けた結果であることを強調。

“女王タイトル”の声が聞こえ始めてからも「意識しないと言ったらあれですけど、意識はあったんですけど、その中でもしっかり自分らしいプレーをできたなと思います」と言い切った。

 2022年は、年間女王を決定するのにこれまでの獲得賞金ではなく、ポイント制のメルセデスランキングを採用した最初のシーズン。そのため、過去と単純に比較はできないが、これまでの史上最年少女王は2007年の上田桃子の21歳165日。21歳103日で女王となった山下は、奇しくもその上田を目の前で撃破して、最年少記録を塗り替えたことになる。

 先週のTOTOジャパンクラシックに続き、最終日を単独首位で迎えながら、ダブルボギーを叩く自滅で逆転負けを喫した上田は、反省しきり。「やっぱりパッティングでチャンスを決めきれなかったのがすべてかなと思います」と、悔しさをあらわにした。

 初優勝を狙った岸部は1打差2位で、上田は3位。全米女子アマ優勝の馬場咲希が、通算2アンダー30位タイでローアマとなった。

山下 美夢有(やました・みゆう)

2001年生まれ、大阪府出身。2019年のプロテストに合格。昨年の「KKT杯バンテリンレディスオープン」でツアー初勝利。今シーズンは「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で通算12アンダーをマークし、公式戦初勝利を完全優勝で達成。「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」では初日にツアー新記録の60をマーク。「伊藤園レディス」でシーズン5勝目を飾るとともに史上最年少21歳103日での年間女王を達成した。加賀電子所属。

e!Golf編集部