カスタムシャフトで流行している「軽・硬」系。しかし、真逆の「重・柔」と相性が良いアマチュアゴルファーも多いとカリスマフィッターの鹿又芳典さんは話します。
実は純正シャフトはどんどん「軽・柔」になってきている
最近は女子プロでも40グラム台、50グラム台でやや硬めのシャフトを使う選手が増えており、シャフト市場では「軽・硬」系がよく話題になります。しかし、カリスマフィッター鹿又芳典さんに話を聞くと、真逆の「重・柔」と相性が良いアマチュアゴルファーも多いそうです。その理由は?

そもそも、なぜシャフトは「軽・硬」がブームになったのでしょうか?
「シャフト全体から言えば、決して『軽・硬』の割合は多くありません。最も多いのは『軽・柔』です。というのも、ドライバーの純正シャフトはほぼ全メーカーが軽くなってきていますし、硬さの基準となる振動数も少なくなってきています(柔らかくなってきている)。象徴的なのはアスリートモデル。昔はアスリートモデルであれば純正シャフトでも60グラム前後でしたが、最新モデルの『スリクソンZX5 MkII』は純正シャフトの重さが49グラム(フレックスS)。振動数を計測しても、昔のスリクソンと比べると少なくなってきています」
では「軽・硬」のシャフトがよく話題になる理由は?
「それはカスタムシャフトに『軽・硬』系が増えたからです。もともとカスタムシャフトは純正シャフトよりも硬い傾向がありましたが、最近はカスタムシャフトでも70グラム台、80グラム台を購入する人はほとんどいなくなっていて、50グラム台や60グラム台の需要が高くなりました。それに合わせてシャフトメーカーからは『バンキッシュ』(三菱ケミカル)のように40、50グラム台のみのラインナップでフレックスをTXまで用意したモデルが出てきた。そして、注目度が高い女子プロゴルファーの多くは50グラム台のカスタムシャフトを使っている選手が多い。その結果、ゴルフメディアやSNSでも『軽・硬』系のシャフトがよく話題になるようになったと思います」
軽いシャフトでミート率を上げるためには高い技術と練習量が必要
女子プロが使っているということは「軽・硬」にはそれだけメリットが大きいのでしょうか?
「軽くて硬いシャフトは少ない力で飛距離を伸ばせるメリットがありますが、軽いシャフトでミート率を上げるためには高い技術と練習量が必要です。だから、女子プロには恩恵が大きいと思いますが、練習量の少ないゴルファーや打点が不安定なタイプは少し重めのシャフトにしたほうがミート率が良くなる可能性が高いです」
アマチュアゴルファーだと、重いシャフトにした人が飛ぶ可能性が高いということですか?
「私のお店でフィッティングする人の割合からすれば半々です。極端に重くしてしまうのは良くありませんが、約半数の人は5グラムから10グラムくらい重くして、適度にしなるシャフトを選択したほうがミート率が良くなって飛距離が伸びました。シャフトのタイプとしては『重・柔』です」
最近の「軽・硬」シャフトが合わない人は、実は真逆の「重・柔」と相性抜群なのかもしれません。
【解説】鹿又芳典(かのまた・よしのり)
ゴルフショップマジックの店長兼クラフトマンとしてアマチュアだけでなく、プロゴルファーのクラブも手がけている。長年、ゴルフ雑誌などメディアでも活躍し、1年間に2000本以上の最新クラブを試打している。
野中真一