寒くなるにつれ、どんどん枯れ芝へと変化していくゴルフ場。そこで、ゴルフ場で使われている芝の種類と生育について、ゴルフ場関係者にいろいろ聞いてみました。
外気温10度以下で枯れ始め、15度以上で再生する
冬のラウンドは他の季節に比べて簡単という人もいれば、難しいという人もいます。簡単な理由の一つはラフが短くなることです。
日本の多くのゴルフ場はフェアウェイ=高麗芝、ラフ=野芝、グリーン=ベント芝という芝種構成になっています。高麗芝と野芝は日本芝の暖地型芝草(夏芝)です。したがって寒い冬は枯れます。
フェアウェイの高麗芝が枯れるとクッション性がなくなりますからボールを打つのは難しくなります。一方で、ラフの野芝が枯れるとボールが沈んだり芝生に絡まったりすることがなくなりますからボールを打つのが簡単になります。

冬場はフェアウェイよりもむしろラフのほうが、ボールが打ちやすいという逆転現象が起こることもあります。また、ティーショットを打つときも「ラフでもいいや」と割り切ることができますから、ホールの幅を広く使えるようになります。
冬のラウンドが難しい理由の一つは、芝が枯れることによって固い地面の上のボールを打たなければならないためトップが出やすくなり、アプローチショットなども格段に難しくなります。
また、グリーンが凍っている場合はボールがカート道ではねたときのように大きくバウンドすることがあります。そういったことを警戒して手前から攻めなければならないというマネジメントの難しさもあります。
普段のラウンドでラフに苦しめられている人は、冬は簡単と感じるでしょうし、普段アプローチでスコアメークしている人は、冬は難しいと感じるでしょう。
さて、高麗芝や野芝はいつごろ枯れて、いつごろ再生するのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。
「高麗芝や野芝は外気温が10度以下になると枯れ始めます。地域にもよりますが11月に入ると朝晩10度以下になる日もありますから、だんだん枯れていきます」
「そして再生するのは外気温15度以上が目安になります。こちらも地域差がありますが、4月からゴールデンウイーク過ぎまでには本来の緑色に戻ります」
枯れた芝にも目土はしたほうがいい
ですから緑の芝生の上でしかプレーしたくないという人は、12月から3月はラウンドをお休みするか、冬でも温暖な地域に行ってゴルフをするしかありません。逆に枯れた芝でもまったく気にしない人は冬でもどんどんプレーしてほしいところです。
冬のラウンドはラフが苦になりませんから、個人的には嫌いではありません。ただ、ゴルフ仲間の中には冬場のラウンドをお休みする人がいますから、誘いを受ける機会が減ります。その結果、春夏秋は月2〜3回ペースでラウンドしていたのが月1回くらいのペースになります。

冬のラウンドでいつも気になるのは、「枯れた芝にも目土をしたほうがいいのか」ということです。この点についても前述のゴルフ場関係者に聞いてみました。
「それはもちろん目土をしていただいたほうがいいです。芝生は枯れていますが、根っこは生きていますから、それを保護することができます」
「また、目土をしないまま地面が踏み固められてしまうと、フェアウェイがデコボコになってしまいます。フェアウェイからのショットを良好なコンディションで打つためにはゴルファーの皆さんに目土をしていただけるとうれしいです」
冬場は目土をしても芝生がすぐに再生するわけではありませんが、根っこを保護したり地面の高さをそろえたりするためにも目土をしたほうがいいとのことでした。
芝生が枯れたゴルフ場はベストシーズンと比べると確かに見劣りはしますが、そのぶんグリーンの緑が際立ち、天気がよければ何の支障もなく快適なプレーが楽しめます。プレー料金も安くなりますから、枯れた芝でのプレー経験がない方は、冬ゴルフの楽しみをぜひ一度味わってみてください。
保井友秀