独自の解析アプリケーションを使ったブリヂストンのフィッティングサービス「ゴルファーズドック ボール&クラブ」。直営店舗だけでなく、全国の練習場で開催されている試打会でも体験できるようですが、ゴルファーにとってどんなメリットがあるサービスなのでしょうか?

「ゴルファーズドック ボール&クラブ」とは?

 ゴルフクラブの「フィッティング」と聞くと、敷居が高いように感じてしまう人もいるかもしれません。ある程度、上達してから受けるべきと考える人もいるでしょう。

 しかし、そんなふうにフィッティングを遠ざけてしまうのは損かもしれません。大型の練習場で定期的に開催される試打会などで、メーカー独自のフィッティングを受けられることもあり、ゴルファーにとって非常に身近なものになってきているからです。

 そこで今回は、11月18日に東京都大田区の「アコーディアガーデン東京ベイ」で開催されたブリヂストン独自のフィッティングサービス「ゴルファーズドック ボール&クラブ」に参加してきました。

ブリヂストンが独自に展開する「ゴルファーズドック ボール&クラブ」を体験取材してきました
ブリヂストンが独自に展開する「ゴルファーズドック ボール&クラブ」を体験取材してきました

 同サービスでは、ゴルフに関する悩みをフィッターに相談しながらクラブを探すことがができ、加えて「B3 SDドライバー」といった新製品を試すこともできます。

 練習場で受けられるフィッティングとは、どのようなものなのでしょうか。今回参加したe!Golf編集部員・フジモリのフィッティングを担当してくれたのは、ブリヂストンの五十嵐俊昭氏。同サービスの担当として全国を飛び回り、多くのアマチュアゴルファーの悩みに応えてきたベテランフィッターです。

 ブリヂストンのフィッティングではまず、ゴルファーの悩みをヒアリングすることからスタートします。フジモリの悩みは「スライスばかりで真っすぐ飛ばないこと」。

 多くのアマチュアゴルファーが抱える典型的な悩みですが、この時点ではまだ何が原因でスライスが出ているのかは分かりません。そこで、持参したマイクラブのシャフトに小型の計測器を装着することで、スイングの解析を行っていきます。

グリップすぐ下の部分に小型の計測器を装着。非常に軽いのでスイングしても全く気になりません
グリップすぐ下の部分に小型の計測器を装着。非常に軽いのでスイングしても全く気になりません

 ユニークなのは、計測器だけでなくドライバーのフェース面に打点の跡がつくショットマーカーを装着することです。計測器があれば、ヘッドやシャフトの動きを3Dに解析することができますが、打ち出されたボールのスピン量などの要素はフェースのどこで打ったかが大きく影響してきます。

 同サービスでは、最適なクラブだけでなくボールの推奨もしてもらえるので、こういった細かなデータを取ることが重要になるようです。

3球打つだけでスイングの特徴が分かる

 計測の準備が終わったら早速ボールを打っていきますが、たった3球打てばスイング解析は完了します。ショットマーカーについた跡を元に五十嵐氏が、1球ごとの打点をデータに入力していくと、スイングの解析結果や推奨ボールとクラブをすぐに確認することができます。

最新機器の精度おそるべし。まさにスイングが丸裸にされます
最新機器の精度おそるべし。まさにスイングが丸裸にされます

 計測で打ったのはたった3球ですが、タブレット上にはスイングに関するさまざまなデータが表示されています。「ATTACK ANGLE」「FACE ANGLE」など聞き慣れない数値も多く戸惑ってしまうかもしれませんが、これらのデータを元にフィッターがスイングについて解説してくれるので安心です。

 ちなみに、フジモリの分析は以下のようなものでした。

「切り返してからのヘッド軌道はストレートに近いですが、入射角、つまりボールに対するヘッドの入り方がダウンブロー気味になっていますので、打ち出し角度が低くなる傾向にあります」(五十嵐氏)

「また、インパクト時のフェースの向きはかなりオープンになっているので、スピンが増えてボールが右に曲がることが多いでしょう。打点については先寄りの下部に当たる傾向が強いようです。通常、フェースの下部はスピンが増え、先っぽはスピンが減るので、相殺されて打点によるスピン量への影響は少ないタイプですね」

「ヘッドスピードとしては37m/s程度、打ち出し角が14度で、スピン量が2941回転が平均値となり、ちょっと辛めですけど175ヤードが平均飛距離と考えてください」

 計測前にフジモリが話していたスライスの原因が、たった3球打つだけで明らかになったわけです。フィッティングは、基本的に最適なクラブを探すためのサービスですが、今回のように自分のスイングを細かく知ることができるのも大きなメリットだと言えるでしょう。

 スイングの傾向が分かれば、どんなクラブを選べば良いのかだけでなく、日頃どんな練習をすべきかも見えてきます。フィッティングは「上級者の受けるもの」というイメージもあるかもしれませんが、同サービスはこれから上達したい初心者の方にもオススメと言えそうです。

 一通りスイングの解説が終わると、いよいよ推奨ボールとクラブを見ていきます。細かな数値は社外秘のため公表できませんが、ヘッドスピードが37m/sであれば、210ヤードほど飛ぶのが理想値となるため、そこに近づけるためのボールとクラブが推奨されるようです。

重心距離の短い「B1 ドライバー」にフジクラの「スピーダーNX50(R)」がオススメとして表示されていました
重心距離の短い「B1 ドライバー」にフジクラの「スピーダーNX50(R)」がオススメとして表示されていました

 まず表示されるのは推奨ボール。フジモリの場合は、スピン量が多くて飛距離をロスする傾向が強かったため「PHYZ」が推奨されていました。

 続いて推奨クラブ。ブリヂストンのシステムでは約2万通りのヘッドとシャフトの組み合わせが登録されており、先のスイング解析の結果を踏まえて、最適な弾道が得られる組み合わせが表示されます。

 面白いのはヘッドとシャフトだけでなく、可変ウェートの位置など、細かなカスタムのおすすめも表示されることです。フェースが開いて右に曲がるフジモリには「B1 ドライバー」のウエートを「D2」の位置に装着するのがおすすめと出ていました。

フィーリングも加味しながら最終的な推奨クラブを決定

 タブレットに表示された推奨クラブは、基本的にその場で試打をすることが可能です。というのも、スイング解析からクラブの推奨を行い、それを打ちながら振り心地などをチェックすることで、最終的な推奨クラブを決定するのが同サービスの特徴だからです。

会場にはさまざまなヘッドとシャフトが用意されているため、推奨クラブ以外の組み合わせを試すことができます
会場にはさまざまなヘッドとシャフトが用意されているため、推奨クラブ以外の組み合わせを試すことができます

 最初はタブレットに表示された推奨クラブを打っていきますが、振り心地や実際の弾道を加味しながら五十嵐氏がアレンジを加えていきます。

「スイングの解析結果からオススメの組み合わせを推奨しているわけですが、実際にボールを打つ際には、振り心地や構えた印象などフィーリングが合うかどうかが非常に重要だと考えています」

「よくフィッティングを受けに来られるお客様から“クラブに自分のスイングを合わせちゃう”といった声を聞くことがありますが、理想は自分のスイングにクラブを合わせることです」

「また、高いドローボールが打ちたいなど、自分が考える理想像も人それぞれで違います。そのため、お客さまの声をしっかりヒアリングしながら、フィッターがより最適なスペックを見極めていくことも非常に大事になってきます」

 同じヘッドとシャフトの組み合わせで重量やフレックス(硬さ)を変えたり、あえて全く逆の性質を持った組み合わせを試してみたり。フィッターと話しながら無数の組み合わせを試すことで、納得のいく最高の1本が見つかるわけです。

 そんな中で、ついに見つけたフジモリに合う最高の組み合わせが「B1 ドライバー(10.5度)」にフジクラの「スピーダーNXグリーン50(S)」。平均175ヤードだった飛距離が、208ヤードまで伸びたのです。

スライスばかりだった弾道がほぼ真っすぐになり、キャリー188ヤード、トータル208ヤードを記録しました
スライスばかりだった弾道がほぼ真っすぐになり、キャリー188ヤード、トータル208ヤードを記録しました

「現在のスイングで最適な弾道が出て、最もオススメできる1本が見つかりました。これからどんどん振れるようになれば、ヘッドやスペックを変更する必要性も出てくるでしょうが、結果が出てなるべく長く使っていける組み合わせになっていると思います」

専用アプリでスイングデータをいつでもチェック

 同サービスのうれしい点は、この日に見つけた推奨クラブや計測で解析したスイングデータを専用アプリでいつでも確認できることです。

スイング時のヘッド軌道やインパクト条件などがアプリ上に保存されるので、練習に活用することもできそうです
スイング時のヘッド軌道やインパクト条件などがアプリ上に保存されるので、練習に活用することもできそうです

 もし試打会で推奨されたクラブを購入したい場合は、アプリに表示されたものをお店で見せればスムーズに注文することができます。そして、想像以上に便利だと感じたのが、スイングデータが日付と共に残ることです。

 今後、別の練習場などで同サービスを受けた場合、新たなデータがどんどんアプリに記録されるので、前に比べてスイングが改善されたのか、現在の課題は何かなど、自分の成長過程をチェックすることも可能になります。

 ブリヂストンでは、今後も全国の練習場で同様の試打会を開催予定。場所やスケジュールは公式HPに掲載されています。

 このように、最近のフィッティングは気軽に受けられるものが多く、体験できる場所も多くなっています。

 最適なクラブを探すために利用することはもちろん、自分自身を知ることでスイングを改善するヒントを得ることもできるので、もっと上達したいと考えているゴルファーにはぜひ試してほしいサービスだと言えそうです。

田辺直喜