2試合前に年間女王を決めた山下美夢有が、勝みなみとのプレーオフを制して年間5勝目を挙げた国内女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」。2022年シーズンを象徴するかのような熱い展開の最終日となった。

「これ(年間5勝)を越えたいなと思います」(山下)

◆国内女子プロゴルフ<JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 11月24〜27日 宮崎カントリークラブ(宮崎県) 6487ヤード・パー72>

 山下美夢有が、女王の貫録で最終戦を制した。

 ウイニングパットを沈めた瞬間、厳しい表情が一変した。長いシーズンを最高の形で終えた山下は、緊張から解き放たれたかのように涙をあふれさせた。

 JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ最終日。山下は、イ・ミニョンと並ぶ通算13アンダー首位タイでスタート。一時はイ、勝みなみ、菊池絵里香らと混戦模様となったが、最後はこの日7アンダーと猛追した勝と通算15アンダーで並んでプレーオフにもつれ込んだ。

勝みなみとのプレーオフを制して、有終の美を飾った年間女王の山下美夢有 写真:Getty Images
勝みなみとのプレーオフを制して、有終の美を飾った年間女王の山下美夢有 写真:Getty Images

 1ホール目18番のティーショットは、ともにフェアウェイ。第2打で山下はピン奥8メートル、勝はグリーン左のカラーに運ぶ。

 勝の長いバーディートライが大きくカップを通り過ぎた後、山下が第3打をしっかりと沈めてバーディー。勝負に決着をつけた。

「プレーオフは初めてだったので緊張しました。飲み物を飲んで間をおきました」と、臨んだプレーオフ。山下の集中力は抜群だった。シーズン最終戦は出場選手40人全員が出席する表彰式が恒例だ。その仲間たちが見守るという、独特の雰囲気での決戦だったが「ほかの選手? 全然見てないです」と意識することはなくプレーした。

 今季5勝目で、公式戦はワールドレディスサロンパスカップに続く2勝目。その強さは数字が証明している。

 今季からポイント制のメルセデスランキングが使用されている年間女王の座は、2試合前にすでに決めていた。これに、日本人初の年間平均ストローク60台(69.9714)も達成。パーオン率でも75.1543%と、最後の最後で稲見萌寧(75.1389%)を抜いて1位に躍り出ることで、圧倒的な強さを見せつけた。

 全英女子オープンでは初の海外メジャーにチャレンジしたが、来季の目標には「海外の試合で優勝したいなと思います」と言い切った。年間を通して海外に行く気持ちはないが、メジャーには出る方向で考えている。出場権のあった今年の全米女子オープンを「実力的に上位で戦える感じじゃない」と、辞退したことから考えると、現在はその自信が生まれたということになる。

 年間5勝の女王になった自分自身を越えるのはハードルが高いが「これを越えたいなと思います」ともキッパリと口にしている。目の前の1打に集中し続けた結果の三冠。身長150センチの体が、この日は誰よりも大きく見えた。

 勝みなみは、9バーディー、2ボギーの猛攻で5打差を追い上げ、プレーオフに持ち込んだが、あと一歩及ばなかった。最終18番では「16歩」の長いバーディーパットを沈めて15アンダーとし、ギャラリーから大喝采を浴びた。だがこのとき、まだ1打ビハインドだと思っていたという。

「ボードを見ていなかったので(首位の山下が)16アンダーだと思っていて……。私は何位かな、と思って見たら『1』ってなっていてビックリしました」と笑う。残念ながらプレーオフ1ホール目で敗れたが「やり切った感メチャメチャあります」とサバサバしていた。

 大会翌日には米国に向かい、Qシリーズで来年の米女子ツアー出場権をかけてプレーする。「お金は必要になるので、稼げたという点では上出来です」と、気持ちを次に切り替えていた。

山下 美夢有(やました・みゆう)

2001年生まれ、大阪府出身。2019年のプロテストに合格。昨年の「KKT杯バンテリンレディスオープン」でツアー初勝利。2022年シーズンは「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で通算12アンダーをマークし、公式戦初勝利を完全優勝で達成。「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」では初日にツアー新記録の60をマーク。「伊藤園レディス」でシーズン4勝目を飾るとともに史上最年少21歳103日での年間女王を達成した。加賀電子所属。

小川淳子(ゴルフジャーナリスト)