「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」で2022年シーズンの全日程を終了した国内女子ゴルフツアー。若手の台頭やベテランの復活など、様々なドラマを振り返ってみました。

今季の中心は間違いなく西郷真央と山下美夢有

 シーズン終盤は年間女王となった山下美夢有の強さが際立った2022年の女子ツアーだが、開幕から通して見ると、ドラマチックな1年となった。

 序盤戦を引っ張ったのは紛れもなく西郷真央だ。前のシーズンに勝ちそうに勝てずにいたが、開幕戦で初優勝を飾ると、怒涛の快進撃を見せた。開幕からの10試合で5勝。勝率5割の強さは、2021年序盤戦の稲見萌寧をほうふつとさせるものだった。

 だが、結果が出ていたころも決して調子がよかったわけではないという。「開幕から優勝した試合でも、ティーショットが曲がっていたこともあるし、ショットは落ち着かなかった。首を寝違えて2週間お休みしたところからスイングも少し変えなくちゃいけなくて」と、試行錯誤が始まり、勢いが止まった。

シーズンを引っ張った山下美夢有と西郷真央 写真:Getty Images
シーズンを引っ張った山下美夢有と西郷真央 写真:Getty Images

 女王となった山下は、シーズン最初の公式戦である5月のワールドレディスサロンパスカップで勝ったことで自信を深めた。開幕から3試合で2試合トップ10入りとまずまずのスタートを切っていたが、4月にディフェンディングチャンピオンとして臨んだKKT杯バンテリンレディスから3試合連続で予選落ちした時期にはかなり落ち込んだ。

 だが、試合会場にいなくても常に娘の状況を見て、微調整をしてくれる父とのタッグで不安を解消。3打差をつけてビッグトーナメントを制した。

 6月の全米女子オープンは、出場資格があったが「上位で戦えるとは思えない」と辞退。だが、その後もコツコツと結果を出して、宮里藍サントリーレディスを制して手にした全英女子オープンの出場資格は行使することを決めた。

 さらに自信を深めたことがわかる行動は、結果を伴った。全英女子オープンでは優勝争いこそできなかったが、きっちりと予選を通過して13位。初メジャーとしては悪くない成績を収めた。

 2021年オフには、夏以降、体力が続かなかったことを反省し、食事などの気をつけてシーズンを戦える体を作ることを口にしていたが、その言葉どおり、安定した結果を出し続ける。

 全英遠征を間に挟んではいるが、サントリー以降、日本女子オープンまで、国内では13試合連続トップ10入りして、メルセデス・ランキングのポイントを稼いだ。

 この間にミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンでシーズン3勝目。伊藤園レディスで4勝目を挙げた時に年間女王が決まり、最終戦JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップの優勝で年間平均ストロークが70を切るという快挙も成し遂げている。

 西郷は最終戦で通算35オーバー最下位に終わったことばかりが言われているが、それでもメルセデス・ランキングは2位。それほど、序盤戦の活躍が効いている。

金田久美子と藤田さいきが11年振りに勝利をつかむ

 2001年生まれの西郷、山下の活躍を追うように、さらに若いヒロインも生まれた。

 夏場のツアーで暴れたのは、昨年プロ入りした2002年生まれ、岩井ツインズの妹、千怜だ。NEC軽井沢72、CAT Ladiesと2週連続優勝で周囲をあっと言わせた。2003年生まれの川崎春花も躍進。日本女子プロゴルフ選手権で山下を3打差で下して初優勝。直後2試合は予選落ちしたが、その後、NOBUTA GROUPマスターズGCレディスで2勝目を挙げて、実力を証明している。

 若手の台頭の一方で、ベテランの活躍も、息の長いスポーツであるゴルフのよさを教えてくれた。

 樋口久子・三菱電機レディスで、33歳の金田久美子が11年ぶりのツアー2勝目を挙げた。シードを失い、QTも今一つの中、限られた試合で結果を出してリランキングで出場権を得ての復活優勝だった。

ともに11年振りのツアー優勝を果たした金田久美子と藤田さいき 写真:Getty Images
ともに11年振りのツアー優勝を果たした金田久美子と藤田さいき 写真:Getty Images

 大王製紙エリエールレディスでは、今季何度も首位争いをしていた藤田さいきが優勝。こちらも11年ぶりのツアー6勝目。シード落ち、故障、ケガなどを乗り越えてのカムバックは感動を呼んだ。37歳の誕生日の2日前の快挙だった

 今季、好調だった選手しか出られない最終戦には、上田桃子、菊池絵理香、申ジエという30代の選手たちが出場。いずれも、息の長い活躍をする背中を若手に見せているが、納得するまでプレーしたいという思いは変わらない。

 賞金ランキングではなく、ポイント制のメルセデス・ランキングで年間女王もシードも決まるという最初のシーズン。選手たちは手探りの部分もあったが、それぞれが精一杯戦った。ここで振り返った年間のドラマは、そのほんの一部に過ぎない。

 今年、結果を出した選手は、より上を求め、思うようにいかなかった選手はよりよくなるためのオフシーズンが始まる。現在、行われているQTファイナルステージから出てくる選手たちも交えての戦いとなる来シーズンに向けて、休む暇のない戦いは続く。

小川淳子(ゴルフジャーナリスト)