Qシリーズを突破した勝みなみと西村優菜が加わり、過去最強ともいえる布陣となった米女子ツアー参戦の日本勢。そこで、2023年に更新が期待される記録にはどんなものがあるのか、調べてみました。
米女子ツアーの1億ドル超えで日本女子ツアーの約3倍!
19日に開幕する米女子ツアー。今年は畑岡奈紗、渋野日向子、古江彩佳、笹生優花のシード選手に加え、勝みなみ、西村優菜が新たにツアーメンバーとなった。これまでで最も層の厚い布陣となった日本勢には、数々の記録が期待される。
ひとつ目は獲得賞金に関する記録である。今年、米女子ツアーの総賞金額が史上初めて1億ドルを超える。日本円にすると約130億円だ。これは国内ツアーの約3倍にあたる、ものすごい額である。

こうなると、年間獲得賞金の新記録を期待したくなる。現在の日本勢最高額は2021年に賞金ランキング3位に入った畑岡がマークした190万1081ドル。これを塗り替え、日本勢初の200万ドルプレーヤーが誕生する可能性は決して低くはない。
米女子ツアー全体では、これまで年間200万ドルを突破したプレーヤーは19人いる。昨年は過去最多となる6人が200万ドルを超えた。賞金額が上がった今年はさらに増えそうで、賞金ランキング10位以内に入るくらいの成績を残せば200万ドルに届いてもおかしくない。
確率が最も高そうなのは、やはり実績最上位の畑岡だろう。過去5年の賞金ランキングは5位、18位、5位、3位、13位と安定している。実力を出せれば、大いにチャンスがある。
一発の可能性を秘めているのがメジャーに強い渋野だ。
米女子ツアーはメジャーと一般的なトーナメントとの賞金格差が非常に大きい。昨年でいうと賞金総額が最も低かったトーナメントは150万ドルで、メジャーで最も高い全米女子オープンは1000万ドル。実に7倍近い差があったのだ。
昨年、渋野はなかなか思うようなプレーができなかったが、メジャーでは全英女子オープン3位、シェブロン選手権では4位に入って存在感を示した。全英女子オープンの賞金は約48万ドル。これは、古江が勝ったスコティッシュオープンの優勝賞金30万ドルよりも高いのである。
渋野はこれまでメジャーに通算14試合出場して優勝を含み4位以内が4回もある。この大舞台での勝負強さを今年も発揮してドカンと稼げば、200万ドルが現実味を帯びてくる。
ちなみに、年間獲得賞金のツアー記録はロレーナ・オチョア(メキシコ)が2007年にマークした436万4994ドル。長い間更新されていない大記録だが、今年は新記録が生まれるかもしれない。
昨年記録した27回という「日本勢の年間トップ10回数最多記録」の更新にも期待
もうひとつ期待したい記録は日本勢の年間トップ10回数歴代最多の更新だ。
現在の記録は昨年マークされた27回である。内訳は畑岡7回、渋野5回、古江と笹生が4回でツアーメンバーが計20回。残りの7回は国内組で西郷真央、永井花奈、西村優菜、上田桃子、山下美夢有、勝みなみ、吉田優利が各1回だった。
今年のツアーメンバーはシード選手の畑岡、渋野、古江、笹生の4人は全員が米女子ツアー優勝経験者で、ルーキーの勝と西村も日本を代表するレベルの実力者だ。かつて、これほど実績のある選手がこれだけの人数そろったことはない。各々が自分のプレーをできれば27回を超えることは濃厚だろう。

さらに風呂敷を広げれば、年間優勝回数でも記録更新が狙えるのではないかと思っている。 現在の記録は5勝で2回記録されている。最初は1987年、岡本綾子が賞金女王に輝いた年だ。この年、岡本は4勝を挙げ、日本開催のマツダジャパンクラシックで森口祐子が優勝して計5勝となった。
2回目は2010年。宮里藍が1人で5勝をマークしている。
年間5勝を塗り替えるのは簡単ではないが、日本勢が増えたことによる相乗効果で各々がパフォーマンスを上げることは十分に期待できる。まずはシーズン序盤に誰かが口火を切って勢いをつけたい。日本勢優勝ラッシュの1年になってほしいものだ。
宮井善一