冬のラウンドで難しいグリーン周りのプレー。中でもパッティングはシーズン中とどんな違いや注意点があるのでしょうか? 8万人以上のゴルファーにアドバイス経験を持つ筒康博コーチに冬場のグリーン攻略法をレクチャーしてもらいました。
冬場のグリーンでは「コンディションの読み」が重要
冬場は寒さによってグリーンのコンディションを均一に保ちにくくなります。つまり冬場のグリーンは非常にアンフェアな状態。パターの名手でもワンパットが難しくなり、アマチュアゴルファーに限らず3パットが増えることになります。

トップシーズンに比べると、グリーン上のパッティングスコアは3〜5打くらいは多くなる傾向があります。だからこそ、冬場のグリーンは「読み」を磨くチャンスと捉えて、まずは距離感を合わせ2パット目で「OKをもらえる」ことを目指しましょう。
そのためには、冬場のグリーンを観察する事が重要になります。
霜などで凍った「白いグリーン」は硬いけど遅い
霜が降りていたりや凍結したグリーンが硬いことは、多くのゴルファーにとって常識です。ショットやアプローチでは大きくバウンドするためオーバーしやすくなりますが、パッティングする際のスピードが速いとは限りません。むしろグリーンの表面についた霜や氷でスピードは遅くなると考えておいた方がよいでしょう。

また日差しの有無などでアンフェアな転がり方をするため、傾斜どおりに曲がるとも限りません。大きな傾斜がある場合は別にして、「微妙に曲がるかも知れない」ぐらいの時には、直線的にラインを決めて距離感に集中した方が得策です。
プロのようにたくさんの時間がない中では、グリーンに上がる前に全体を把握することに集中するしかありません。寒くてスムーズにストロークできない冬場こそ、入れることより「距離感を合わせて寄せる」タッチに集中するべきです。傾斜や曲がり幅よりも「転がりを読む」ことを最優先してみて下さい。
溶け始めが「一番遅い」が、乾くと「急に速くなる」
グリーンの気温が上がり表面の霜や氷が溶け始めると、水分によってスピードが一番遅い時間帯が訪れます。
雨上がりとまではいかないまでも、ある程度しっかり打たなければ簡単にショートしてしまいます。特に、朝は日陰だったのに途中から日が差すグリーンは注意が必要です。
一方、朝から日が当たるグリーンの場合、溶け始めから水分が乾くのも速いため、コース全体の中で特にスピードが速く感じます。

冬場のグリーンではホール毎にグリーンのスピードがまちまちに感じるのは、凍結やシートの有無、溶け始めやグリーンが乾くまでの時間が同じではないからです。スピードが違えば同じ傾斜でも曲がり幅が変わり、カップインはさらに難しくなるのです。
入れごろの距離でも色気を出し過ぎず、まずはグリーンの状態を観察。転がるスピードを予想することで、3パットを少なくしていくことが第一です。冬場のプレーではグリーンに上がるまでの時間もかかりやすくなるため、前後の進行に注意も必要です。プライベートラウンドならカップインに固執せず、早めにOKを出してあげて下さい。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。
猿場トール