過去2年間の優勝者のみで争われる米女子ツアー開幕戦・ヒルトングランドバケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ。日本からは畑岡奈紗、笹生優花、古江彩佳の3選手が出場しました。

優勝を逃すもスイング改造の成果が出た畑岡奈紗

◆米国女子プロゴルフ<ヒルトングランドバケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ 1月19〜22日 レイクノナG&CC(フロリダ州) 6617ヤード・パー72>

 畑岡奈紗が開幕戦優勝を狙ったが、かなわなかった。

 現地時間22日、フロリダ州レイクノナG&CCで行われた2023年の米女子ツアー開幕戦、ヒルトングランドバケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ最終日。畑岡はブルック・M・ヘンダーソン(カナダ)に3打差2位タイから逆転優勝に挑んだ。

 過去2年間の優勝者だけが出場できる開幕戦だが、日程的に次のアジアシリーズまで1カ月以上空くこともあり韓国勢5人が欠場。セレブリティーが出場するプロアマ形式の大会に出場したのは29人だった。

ホステスプロとして開幕戦の臨んだ畑岡奈紗。キャップのロゴも「Hilton」に 写真:Getty Images
ホステスプロとして開幕戦の臨んだ畑岡奈紗。キャップのロゴも「Hilton」に 写真:Getty Images

 畑岡は、今年から大会スポンサーのヒルトングランドバケーションズのアンバサダーに就任。キャップ前面にもそのロゴをつけてプレーし、優勝争いに挑んだ。

 初日は首位に4打差9位タイ、2日目には6打差ながら2位に浮上し、3日目には4連続バーディーを含む6アンダーでプレーして、3打差の好位置で最終日を迎えた。

 ヘンダーソン、ネリー・コルダ(米)との最終組は、前日までとは違う方向から強い風が吹くタフなコンディションに見舞われた。畑岡はこの風と、グリーン上で苦戦した。忍耐強く6ホールをスコアカード通りにプレーしたが、7番でボギーが先行する。8番でバンカーから1.5メートルのパーセーブをし、9番パー5では7.5メートルに2オンしてイージバーディー。通算11アンダーに戻したが、ヘンダーソンとの差は4打に広がった。

 逆転ののぞみをかけたバックナインは、11番では1.5メートルのチャンスがわずかに左に外れてしまう。チャンスで決められないプレーが続き、難易度の高い16番でボギー、最終18番もボギーで、通算9アンダー。2つスコアを伸ばしたヘンダーソンには7打差5位に終わった。

「初戦を最終組で回れて、いい経験ができました。でも優勝できず残念です」と、悔しさと手応えを同時に口にした畑岡。

「(最終日は)4日間で一番風が強くて、昨日までみたいにスコアが動かない中、後半(ショットがピンに)つき始めてから(差を)詰めたかったけど、パットが……」ともどかしさものぞかせた。

 それでも、明るい兆しはある。畑岡のスイングの特徴でもあった「インパクトでのジャンプ」をできるだけ抑え、パワーロスを少なくするなど、昨年から続けているスイング改造が実戦でも使えるようになってきたことだ。

「今、やってることがコース上でもできたところがあるので、持ち帰ってこれからのシーズンにつなげたいです」と、1カ月以上ある次戦までの課題を挙げた。

 ツアー7勝目はもちろん、メジャータイトルを獲得することに向かって始まった7年目のシーズンは、大きな飛躍への気配でいっぱいだ。

 2020年全米女子オープン優勝の笹生優花は、飛ばし屋の本領を発揮した。この日も2番でイーグルを奪い、ほかの3つのパー5もすべてバーディーで通算8アンダー。6位タイに入った。「すごく風が強かったですし、昨日と風向きが違って難しかったです」と言いながら、笑顔でのシーズンをスタートさせた。

 ツアー2年目の古江彩佳は、1つスコアを落として通算1アンダー18位タイに終わっている。優勝したヘンダーソンは、初日から首位を走る完全優勝でツアー12勝目。今年も強さを感じさせる滑り出しとなった。

畑岡 奈紗(はたおか・なさ)

1999年1月13日生まれ、茨城県出身。2017年プロ入り。渋野日向子、原英莉花らツアーを席巻してる「黄金世代」の一人。2016年「日本女子オープン」で史上初のアマチュア優勝を成し遂げ、2018年の「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で米ツアー初優勝を日本人最年少で達成。アビームコンサルティング所属。

e!Golf編集部