モーションキャプチャをゴルフ界でいち早く取り入れたプロギアの最先端のスイング診断「サイエンスフィット」を体験するために、元プロ野球選手で現在は解説などでも活躍する野口寿浩氏と共にPRGR GINZA EXへ行ってきました。

数値を可視化したほうがピンポイントで修正点が分かる

 モーションキャプチャとは人の動きをデジタル化して記録する技術のことを言いますが、スポーツ界でも積極的に導入され、選手の動作解析などに利用されています。

 そのモーションキャプチャをゴルフ界でいち早く取り入れたのがプロギアで、同社が開発した『Swing Scan』によるスイング診断で上達しているゴルファーも少なくありません。

 そこで、今回は最先端のスイング診断・サイエンスフィットを体験するために、元プロ野球選手で現在は解説などでも活躍する野口寿浩氏と共にPRGR GINZA EXへ行ってきました。

元プロ野球選手の野口寿浩氏が最先端のスイング診断「サイエンスフィット」を体験
元プロ野球選手の野口寿浩氏が最先端のスイング診断「サイエンスフィット」を体験

 スイング診断と聞くとアベレージゴルファーの多くは不安を感じるかもしれませんが、ドライバーの飛距離が300ヤードを越え、最近は80台を連発するという野口寿浩氏も例外ではなかったようです。

「これまでレッスンを一度も受けたことがないだけに、ものすごく特徴的なスイングですねと言われたらどうしよう……」と予想外のコメントが。もちろん、不安以上に上達するヒントを得られるかもしれないという期待感があることは言うまでもありません。

 早速、東京の銀座にあるPRGR GINZA EXへ来店し、まずは問診票にゴルフ歴やラウンド回数、平均スコア、改善したいポイントなどを記入します。その後にサイエンスフィットを駆使したスイング診断へ。

まずはアイアンでウォーミングアップ
まずはアイアンでウォーミングアップ

 何球かボールを打ってウォーミングアップを行うと、測定用のドライバーを渡されます。気持ちよくボールを数球打ったところで通常の測定は終了。

 今回はさらにSwing Scanによる解析も行うため、専用のセンサーを体にセットします。頭、背中、腰、上腕、ヒジ、手首、足にセンサーを装着した姿で再び打席へ向かう野口氏。

専用のセンサーを装着することでスイングタイプを分析
専用のセンサーを装着することでスイングタイプを分析

 これによって自分のスイングがどのようなタイプなのか明確に分かるそうです。わずか3球しか打ちませんでしたが、体の動きは大きく変わらないため、その球数で十分とのこと。

 測定が終わるとすぐに診断へ入ります。診断書を見ると、ヘッドスピードからリストターンの度合いなどの基本情報、さらにはヘッド解析データ、シャフト解析データ、動作解析データにグループ分けされた細かい数値が記載されています。

測定した数値をブロックごとに確認していく
測定した数値をブロックごとに確認していく

 簡単に言えば、クラブの軌道やインパクトでのフェースの向き、シャフトをどのようにしならせているのか、腕、胸、腰をどのように回転しているのかが一目で分かるようになっています。

ヘッド解析ブロックでは上下左右のフェースの向きやライ角の測定結果が見られる
ヘッド解析ブロックでは上下左右のフェースの向きやライ角の測定結果が見られる

 面白いのは、スイングの動画を使わず、数値のみで野口氏のスイングを分析しているところです。担当者さんによれば、「映像を見るとオーバースイングなどいろんな情報が入りますが、インパクトには関係ありません。数値を可視化した方が自分の悪いところだけを修正できるんですよ」と理由を語ります。

 例えば、野口氏の場合、引っかけを改善したいポイントに挙げていましたが、その原因はインパクトでクラブフェースが被っていることにあるとすぐに分かりました。さらに、フェースが被らずに打つ方法もアドバイスしてくれます。

アドレスでのグリップに引っかけの原因を発見

「野口さんはスイング軌道もヘッドの入り方も特に問題ありません。シャフトの動かし方も問題なく、自分に合ったシャフトを使っています。引っかけの原因はアドレスでの左手にあるようです」と担当者さん。

 直立した姿勢で左腕を肩からダランとした際の左手に注目してほしいとのこと。多くの人がインパクトではほぼその形になるというのです。

野口氏はダランとたらした左腕の甲が外側を向くタイプ
野口氏はダランとたらした左腕の甲が外側を向くタイプ

 左手甲が外側を向く人、正面を向く人に分かれますが、野口氏は左手甲が外側を向くため、インパクトでは左手甲が外側を向く形になります。したがって、アドレスでも左手甲が外側を向いたグリップにしておけば、再現性が高くなるわけです。

 ところが、野口氏は左手甲がやや正面を向くようなグリップになっていました。インパクトではそれを目標に向けようとする動きが入るため、フェースが被るわけです。

左手甲が外側を向くようなグリップで握ってからアドレスに入るようにアドバイスを受ける野口氏
左手甲が外側を向くようなグリップで握ってからアドレスに入るようにアドバイスを受ける野口氏

「なるほど。今までそんなことを考えたことすらありませんでした。確かに、その握りで打つと違和感は満載ですが、真っ直ぐ飛ぶいい弾道になっています」と納得顔の野口氏。

 当初はスイングを大改造しなければいけないと予想していたものの、そのワンポイントだけ気をつければいいと聞いてホッとした表情を見せていました。

 このほか、自分がどのスイングタイプに属するのか、どのような長所、短所を持っているのかなど、事細かく分析されましたが、一般論ではなく、自分だけに合った改善点や練習法が明確になるのが大きな利点でしょう。

 スイングに迷いがある人、壁にぶち当たっている人、上達への近道を模索している人には最適の解析システムであることは間違いありません。ぜひ一度体験してみることをお勧めします。

 スイング診断コースは2種類。弾道測定、ヘッド挙動測定、シャフトセンサー測定を行う診断コース・30分5500円(税込み)。

 モーションキャプチャSwing Scanが加わったSS診断コース・50分11000円(税込み)。その他、クラブフィッティングやティーチングのコースもある。

 取材協力:PRGR GINZA EX(東京都中央区銀座)

野口寿浩(のぐち としひろ)

1971年6月24日生まれ、千葉県出身。高校卒業後、捕手としてヤクルトスワローズに入団。その後、日本ハムファイターズ、阪神タイガース、横浜ベイスターズを渡り歩き、2010年に引退。ゴルフ歴は32年と長いが、現役時代はオフしかラウンドできなかったという。

山西英希