2023年、話題の新ドライバー発表が一段落し、いよいよ発売を迎えます。一方、昨年モデルは「マークダウン」で大幅値下げに。そこで、最新モデルを買い換えるのが正解なのか? それともお得なマークダウンを狙うべきなのか? ゴルファー目線でドライバー購入時期について筒コーチに聞きました。

2022年は大ヒットモデルが多かった!?

 毎年、新しいモデルが発売される中で「ドライバーの替え時はいつがよいのか」について考えたいと思います。ゴルファーは「他人のことは冷静に見られる」一方で、「自分のことになると見栄や主観が邪魔する」という傾向もあります。

 ちなみに、昨年のドライバーの売り上げでは、テーラーメイド「ステルス」、キャロウェイ「ローグST」、ダンロップ「ゼクシオ」に続き、後半に発売されたピン「G430」、タイトリスト「TSR」などが上位でした。

2022年に続き、23年も話題のドライバーが目白押し。一体いつがドライバーのベストな買い替え時期なのでしょうか?
2022年に続き、23年も話題のドライバーが目白押し。一体いつがドライバーのベストな買い替え時期なのでしょうか?

 昨年売れたドライバーでも、特筆すべきことが2つありました。ひとつは、長年ロングセラーモデルとして君臨しているダンロップ「ゼクシオ」が、新しいモデルが乱立する中でも順調に売れ続けたことです。もうひとつは、発売から2年経つピン「G425 MAX」もモデル末期にも関わらず売れていたことです。

 このデータから、日本人ゴルファーのドライバー購入に対するマインドを、一般アマチュアの声をもとに推論してみました。

「新しい=よい」というギア熱意系ゴルファーには年初がベター

 昨年、ダントツの話題になったのがテーラーメイド「ステルス」ドライバー。今までのドライバーとは一線を画す、新機軸のカーボンウッドは発売直後から爆発的人気になりました。

 2023年には、さらに寛容性を高めた「ステルス2」を発表、注目モデルになっています。

最新モデルが発表される年初から春までの時期なら、マークダウンされた前作と打ち比べて購入できる
最新モデルが発表される年初から春までの時期なら、マークダウンされた前作と打ち比べて購入できる

 一方、年間をとおしてグングン売上が伸びていったのはキャロウェイ「ローグST」シリーズでした。特に、年初から年末までトップグループを牽引した「ローグST MAX」は、クチコミで購入した人や、マークダウンしたタイミングで購入した人が僕の周りにもたくさんいました。

 2023年に発表された新シリーズ「パラダイム」も、年初のPGAツアーで破竹の3連勝と結果を出していて、注目せざるを得ないムードになっています。

 他にも注目モデルはたくさんあります。前作ピン「G425」の人気が落ちないまま、22年には「G430」シリーズが発売されました。同様にタイトリストからも「TSi」が人気を維持したまま、ブラッシュアップされた「TSR」シリーズが発売されています。

 最新モデルやマークダウンモデルを購入するゴルファーの「買い替え」タイミングは、主に年初から春までに集中します。ギア情報にアンテナを張っている熱意系ゴルファーなら、この時期に既存のモデルと新発売モデルを同時に比べることができるので、ベターなタイミングといえると思います。

まだ使えるのにドライバーを買い換える必要はあるの?

 コースを回るためにクラブをそろえなければいけないビギナーでもないのに、毎年のように新発売されるドライバーを買い換える必要があるのか?「タイミングが分からない」というゴルファーもたくさんいるはずです。

 日本人には「弘法筆を選ばず」という言葉があり、「道具は使いこなすもの」の考えが根強くあります。一方で、合理的な考えを持った強い選手ほど、道具にこだわる傾向があり、それはゴルフに限ったことではありません。

新しいドライバーに買い替えると、練習やラウンドが増える人も。モチベーションの向上などゴルファーを「活性化」してくれる
新しいドライバーに買い替えると、練習やラウンドが増える人も。モチベーションの向上などゴルファーを「活性化」してくれる

 基本的なゴルファーマインドとして、購入時には最高だったクラブでも、ラウンドを経て「ミスの記憶」が蓄積され、「安定と停滞」へと気持ちが移って行きます。また、人間である以上、「飽き」の感情も否定することはできません。

 使い慣れたクラブを思いどおりに使いこなせるようになり、「これ以上ゴルフの向上はないかも」というマインドになったとき、あるいは「うまくいかないのはクラブのせいかも」という疑問が頭をよぎったときが、「買い替えを考えるサイン」と考えてはいかがでしょうか。

「もっとうまくなって、クラブの良し悪しがハッキリ分かるようになってから」と考えるゴルファーもいます。しかし僕は、「うまくいかないなら、クラブやスイングを見直すべき」と思っています。ゴルフは道具の影響が大きいスポーツなので、「道具を活用する」または「道具に頼る」のもアリなはずです。

 そして、クラブを買い替えると多くのゴルファーに「ある出来事」が起きます。新しいクラブを「もっとうまく使いこなしたい」、「いいショットを打ちたい」といったポジティブな気持ちでコースや練習場に足が向き、うまくいかない理由や対策を考えるようになります。「ゴルファー自身の活性化」が起こるのです。

 大人になってもワクワクしたり、仮にうまくいかなくてガッカリすることもゴルファーだから味わえる楽しさではないでしょうか。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール