ゴルフ上達のためには、時間だけでなくお金もかかるイメージがあります。多くの人が決まった毎月のゴルフ費用の中でムダ使いせずやりくりするための、「ケチってもいい部分」と「お金をかける部分」は具体的にどこなのでしょうか?
ゴルファーの金銭感覚は男性と女性で異なる?
アマチュアゴルファーがゴルフにかけるコストについて語るうえで、たくさんお金が使えるかどうかよりも、性別によって傾向が異なります。また、お金を使う決断についても、男女では異なる傾向が見られます。
おしゃれなアパレルやアクセサリーでモチベーションが上がる女性が多くいる一方で、男性はドライバーなどギア購入にモチベーションのスイッチが入りやすい傾向があります。

ゴルフの上達という観点からすれば、「必要のないもの=ムダなコスト」かも知れませんが、モチベーションアップに繋がるコストは無視できません。
周りの人が「最新クラブではスコアは買えない」や「キャディバッグでボールは打たない」などとコメントしても、それは個人の価値観の問題。ゴルフに対する金銭感覚ほど、他人と共有することが難しいのではないでしょうか?
ボールやグローブなどの消耗品はケチったらダメ?
ゴルファーがコストカットを考えるうえで、真っ先に思い浮かぶのはボールやグローブなどの消耗品です。また、ラウンドするコースや練習、レッスンなども形には残らない消耗品といえるかも知れません。
ゴルフ上達のためには練習代のコストダウンは、逆効果になりかねません。近年は月額制インドアレンジが増えたことで、一定のコストで安定した練習ができるようになり、いつの間にか上達したゴルファーもいるはず。

また、レッスンにお金をかけるより「無料コンテンツで充分」というゴルファーもいます。多少の遠回りでも納得したうえでなら、周りがとやかくいうのはナンセンスですが、「自己流スイングのクセ」は、一度ついてしまうと改善するのに時間と労力を費やすことは覚悟したほうがいいでしょう。
ムダな練習はしたくない女性ゴルファーは、自己流よりレッスンを受ける傾向が強く、身につけるグローブやティーなども決まったモデルを継続して使っている人が多いです。
少ない握力で滑らないグローブやインパクトの抵抗が少ないティーへの投資は、女性ゴルファーにとって正解といえます。
一方、男性ゴルファーの多くはグローブやボールなどの消耗品にはコストをかけない傾向があります。クラブは最新モデルが気になるのに、なぜかボールになると「ロストで十分」という人がいます。
それでは、せっかくのクラブ性能を発揮できず本当に「ムダなコスト」になってしまいます。また、練習やレッスンも自分の肌感覚のみで行い、結果として「停滞」している男性ゴルファーは多く、そういう人は単発レッスンでもいいのでプロの客観的な目線を確認するべきです。
無料のレッスンコンテンツを見過ぎて迷路にハマっているゴルファーも、一度は頭の中を整理したほうが、今後ムダな買い物をしなくて済むでしょう。
ゴルフ場選びに関しては、「現在どんな上達プロセスにいるか?」で工夫する余地はあると思います。「芝慣れ」する練習ラウンドでゴルフ場に行くなら、安いゴルフ場でOK。到着順で周り放題の河川敷やショートコースなど、賢くケチってもいいと思います。こんな時のラウンドならロストボールでも問題ないでしょう。
失敗を糧にする前向きな姿勢なら「時間」も「お金」もムダにはならない
ムダなコストを心配しすぎるタイプのゴルファーは、一度「何のために上達したいのか?」を自問してみてもいいと思います。
ほとんどのアマチュアゴルファーは、誰かのためにうまくなる必要もなければ、周りに人に自慢するためでもなく、「自己満足度」を高めるために上達したいはずです。ムダな買い物や練習も、次のステップへの反省は必要ですが後悔はして欲しくありません。

新たに購入したドライバーが飛ばなかったり、練習がスコアップにつながらなくても、「次はどうする?」と前向きに捉えるための「糧」にして欲しいです。
なぜならみなさんの周りにいるゴルフがうまい人たちも、想像している何倍〜何十倍もの「ムダ使い」をした経験を糧に「昔より賢く時間とお金を使うようになった」ゴルファーだからです。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン 「FITTING」編集長を務める。
猿場トール