米ツアーを主戦場にする韓国のイ・ジョンウン6。渋野日向子が「仲のいい先輩」としてたびたび名前を挙げるが、何がきっかけで親交を深めるようになったのか。渋野の魅力について聞いた。
簡単でない米ツアーで「力になりたい」
◆米国女子プロゴルフ<ホンダLPGAタイランド 2月23〜26日 サイアムCCパタヤオールドC(タイ) 6576ヤード・パー72>
「私がかわいがっている妹のような存在。いつもゴルフをするときに笑顔でプレーしていて、それがすごく印象がよくて私から声をかけたんです」

そう語るのは米ツアーを主戦場にするイ・ジョンウン6。2019年から米ツアーに参戦し、同年の全米女子オープンで優勝。米ツアー初優勝をメジャータイトルで飾って、韓国では一気に注目を浴びる存在となった。
この点、渋野日向子が同じ19年のAIG全英女子オープンで優勝した点と似ている。
「同じ年に渋野選手も米ツアー初優勝がメジャーだったことや私も米ツアー1年目はまだ英語がうまく話せなくて、そうした部分で似ているところがあるなって思ったんです。それで米ツアーの先輩として、何か手伝ってあげたい気持ちがありました。それより何より、渋野選手のことが人としてとても好きなんです。韓国や日本で試合があったときも一緒にご飯を食べたりして、距離がもっと近くなりました」
渋野は昨年から米ツアーに参戦しているが、まだ右も左も分からない状況を間近で見ていると、イ・ジョンウン6としてはかつての自分を見るようで、力になりたいと純粋に思ったという。
「お互いの国で仲良くできる人がいるのは、すごくいいと思います。それに米ツアーで戦い続けるのは簡単なことではありません。今もお互いのことを気遣いながらプレーしているのですが、そうした関係を築けることがすごくうれしいです」
自分から渋野に声をかけたというが、第一印象はどうだったのか聞いた。
「本当に最初がすごく印象がよかった。というのも、私はゴルフするとき、あまり笑顔を見せるのが得意じゃないんです。結果が出ないとゴルフも楽しくないのですが、(渋野)日向子選手ははうまくいかないときでも笑顔が多く、そうしてファンに接する姿を見ると、たくさん見習う部分があります」
ちなみにコミュニケーションは英語だそうだが、「互いにまだ英語の能力が高くないので、深くまでは話はできていませんが、片言でも通じれば大声で笑ったりして、楽しく会話していますよ」と、笑顔を見せる。
「米国に拠点を構えてもいい」
では2つ上の先輩として、渋野にアドバイスを送るなら何かと聞くと、こんな答えが返ってきた。
「私も韓国にコーチがいて、日向子選手は日本にいると聞きます。米ツアーでは一人で戦うわけなので、離れてコーチの指導を受けるのはそう簡単ではありません。私も3年間コーチがいない状況で米国で戦ってきましたが、スイングもたくさん変わりました。それで成績が思わしくないのですが、私はようやくカナダにいるコーチを見つけられました。英語ができないのでそれを避けていたのですが、今は言葉も大丈夫ですし、近くでスイングを見てくれる人がいればうまくいくと感じています。お互いにメジャー初優勝から2勝目がまだできていませんが、早く2人そろって勝ち星を挙げたいです」
そのあとイ・ジョンウンが少し考えて、渋野にこんな要望をしていた。
「あとは早く米国で住居を構えるものいいと思います。私は去年、ダラスに家を買ったんですが、ツアー生活がすごく落ち着きます。あるのとないのとでは全然違うので、日向子選手もダラスに拠点を構えればいいなと思っています(笑)。聞いてこない限りは自分からなかなか言えないので、うまく伝えてください(笑)」
渋野が近くにいれば、もっとツアー生活が楽しくなるのがイ・ジョンウン6には分かるという。米ツアーで戦う2人の仲はこれからも深まっていくことだろう。
キム・ミョンウ