渋野日向子は今季米ツアー初戦となった「ホンダLPGAタイランド」の最終日に最終ホールをイーグルで締めて、通算10アンダーの27位タイで終えた。取り組むスイングの手応えはまだないが、「コースの中で繰り返しやっていくしかない」と前を向いた。
「でも欲深いもので、まだまだいけたなと」
◆米国女子プロゴルフ<ホンダLPGAタイランド 2月23〜26日 サイアムCCパタヤオールドC(タイ) 6576ヤード・パー72>
渋野日向子の今季米ツアー初戦「ホンダLPGAタイランド」の最終日。前半は2バーディー、2ボギー、後半は1バーディー、2ボギーで迎えた最終18番パー5をイーグルで締めた。通算10アンダーの27位タイはまずまずの結果と言える。

4日間を戦い終えた渋野はホッとした表情を見せ、今季初戦をこう振り返った。
「この4日間、アプローチに助けられてた感じはあった。ただ、それぐらいグリーンに乗ってないんですけれど。今日もショットはボロボロだったので、最終ホールのドライバーは良かったですが、風も強い分、反応してしまった」
自ら“新星・渋野”をつくると意気込む2023年シーズン。実戦のなかでスイングをつくっていく難しさはあるにせよ、まだ初戦を終えたばかり。
それでも渋野も今のスイングの状態に関しては「ゼロ(パーセント)に近いです」ときっぱり。「それくらいワンショット、ワンショットで変わるし、全然できないから、それも練習して続けていかないといけない。青木(翔)コーチからは、毎日フィードバックはもらっているのですが、なかなか難しい。来週(HSBC世界選手権)もコースの中で繰り返しながらやる感じになると思います」。
とはいえ、結果は27位タイ。これは自分でも意外な順位だったようだ。
「1日は絶対にオーバーは打つと思っていたし、なんなら最下位になるだろうなっていう気持ちでこの試合に出ていたので、その割にはスコアは出てくれたかな。でも欲深いもので、まだまだいけたなっていうのもありました」
「スイングづくりには一番いい環境」
日々変わるスイングの形を実戦を通して完成させるのは、ものすごく気の遠くなる話にも聞こえる。“完成”までのスパンをどれくらいで考えているのかについて聞くと、こんな答えが返ってきた。
「2〜3年とかは考えていないです。やっていくなかで悪く癖が出てきてしまってが続くと思うのですが、長い時間かけてやるにも無駄にしてしまう試合も多くなると思うので、なるべく早く完成に近づけたい。メジャー大会が詰まっている2カ月くらいには、今の自分ができるベストな状態に持っていけるようにがんばりたい」
渋野はスイングづくりへの取り組みをジリジリと長く続けようとは思っていない。試合が続くなかでの作業に困難は伴うが、「でも一番いい環境だと思うし、試合をこなしながらできるっていうのはすごくいいと思う」と前向きで、明るい未来が待っていると信じている。
もちろんこの過程でも結果が求められるのがプロの世界。これまでと同様に周囲の雑音に惑わされず、自分が信じた道を突き進んでもらいたい。
渋野 日向子(しぶの・ひなこ)
1998年生まれ、岡山県出身。2019年のAIG全英女子オープンでメジャー初制覇。同年は国内ツアーでも4勝をマークし、賞金ランキング2位と躍進した。2020-21シーズンは、スタンレーレディスゴルフトーナメント、樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメントで勝利。昨季は米ツアーを主戦場に戦った。国内ツアー通算6勝。サントリー所属。
キム・ミョンウ