エチケットやマナーが重要視されるゴルフ。ほとんどの人がモラルのある行動をしていますが、そうではないゴルファーも意外と多いのが実情だといいます。どんな「身勝手ゴルファー」がいるのでしょうか?

従業員の少なさに乗じる身勝手ゴルファーは多い

 春の訪れとともに早朝プレーや薄暮プレーに繰り出す人も多いでしょう。この時間帯のプレーはどこのゴルフ場も比較的リーズナブルな料金設定なのでお財布にやさしく、その点が人気のポイントです。

 また日中の時間帯よりプレーヤーも、そしてゴルフ場の従業員の数も少なめなので、カジュアルな気分でプレーできるところがいい、という声もよく耳にします。

 ところがこの「少なさ」に乗じて好き勝手ともいえる行動をするゴルファーがいます。早朝、薄暮プレーを実施しているゴルフ場はこのようなゴルファーの扱いにとても悩んでいるのです。そこで、ゴルフライターを2年間ほどお休みし、最近までコース管理の仕事に携わっていた私が、実際に目撃した「身勝手ゴルファー」を紹介します。

ヘタなのに“無断で”バックティー使用

 それではどんな「身勝手ゴルファー」がいるか少し紹介しましょう。

 最近は天候やコースコンディションによってフェアウェイへのカート乗り入れがOKというコースがあります。

 そのようなゴルフ場はたいていキャディーマスター室の周辺やクラブハウスの出入り口付近に「本日は乗り入れ可」、「本日は乗り入れ不可」といった掲示がしてあります。

フェアウェイ乗り入れが不可でも、早朝や薄暮だとこっそり乗り入れるゴルファーがいる!?
フェアウェイ乗り入れが不可でも、早朝や薄暮だとこっそり乗り入れるゴルファーがいる!?

 普通ならこの掲示を守ってプレーをしますが、早朝や薄暮になると「本日は不可」となっているにもかかわらず、平気で乗り入れるゴルファーが割と多いのです。

 茨城県のゴルフ場で男子トーナメントを開催している名門コースでも、このようなゴルファーが多く、頭を悩ませています。

「不可」という日の多くは前日が雨などでフェアウェイが軟らかいときです。そのような日にカートで走ってしまうとフェアウェイに轍(わだち)ができてしまうだけでなく、タイヤについた泥の跡がフェアウェイに黒く残ってしまいます。

 レギュラーティー以外の場所から申告もなくプレーするゴルファーも多いです。

 ブルー、ブラック、チャンピオンなどのティーは上級者やクラブ競技、トーナメントなどで使われることが多く、一般のビジターゴルファーはなかなか使用する機会がありません。そのせいか、ここぞとばかりに使用するゴルファーは後を絶ちません。

 レギュラーティーからのヤーデージが6000ヤード程のコースで、100切りできるかどうかというレベルの人が後ろのティーを使う意味はあまりありません。距離が長くなればスロープレーティング(相対的なコース難易度)の値も高くなるため、このレベルの人のスコアがよくなるはずがないのです。

「めったに使えないティーだから、使ってみたい」という気持ちはわからなくもないですが、後ろのティーを使ったぶんプレーが遅くなると、通常のスタート時間にも影響が出てしまいます。その日のプレーヤー全員が身勝手な行動のせいで毎ホール待つことになるのです。

最も多く迷惑なのは「複数のボールを打つプレーヤー」

 早朝プレー、薄暮プレーでもっとも多い「身勝手ゴルファー」はやはり複数のボールを打つ人です。

 このようなゴルファーはティーショット、セカンドショット、アプローチ、パッティングとショットを問わず、どこでも複数のボールを打ちます。

複数のボールを打ちながらプレーするのは、その後の進行に大きな影響を与える 写真:unsplash
複数のボールを打ちながらプレーするのは、その後の進行に大きな影響を与える 写真:unsplash

 2〜3球ならまだマシなほうで、大抵の人が7〜8球、なかには10球近く打つ人もいます。 ティーショットならフェアウェイセンターをキープするまで。セカンドショットならワンピンにつくまで。アプローチショットならベタピンに寄るまで打ちつづけます。

 パッティングもカップインするまで打ちつづけるため、セカンド地点で待っている人がいてもお構いなしです。

 身勝手なプレーはコースを痛めたり、他のプレーヤーの進行に悪影響を与えるわけですが、それに加えてプレーヤー同士のトラブルや打球事故などを引き起こしかねません。

 楽しいはずのゴルフで傷ついたり、傷つけたりするのは本末転倒。あなたも「身勝手ゴルファー」にならないように気をつけてください。

宮川岳也