今季3戦目の「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」で今季初優勝を飾った青木瀬令奈。最終日は独走していた上田桃子に最大8打差をつけられたところからの大逆転劇でした。そのセッティングを調べると、ユニークな特徴がありました。

高さが出るのがウッド系クラブのメリット

 今季3戦目の「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」で今季初優勝を飾った青木瀬令奈。最終日は独走していた上田桃子に最大8打差をつけられたところからの大逆転劇でした。そのセッティングを調べると、ユニークな特徴がありました。

ウッド8本のセッティングを駆使し、高さで止めるゴルフをする青木瀬令奈 写真:Getty Images
ウッド8本のセッティングを駆使し、高さで止めるゴルフをする青木瀬令奈 写真:Getty Images

 青木は14本のうち8本をウッドにしています。ドライバーの下には3W、5W、7W、9Wとフェアウェイウッドを4本入れて、その下にユーティリティーを3本入れています。アイアンは8番、9番、PWの3本だけです。以前、青木本人にショートウッドやユーティリティーを多く入れる理由について話を聞いた際、次のように語っていました。

「私はドライバーが飛ぶほうではないので、2打目で長い距離が残る状況が多いのですが、ショートウッドやユーティリティーの方がアイアンよりも打球が上がってくれるのでグリーンを狙いやすい。飛ぶというより、高さが出るのがメリットだと思っています。私はアイアンではなくてショートウッドで距離を打ち分けている感覚です。セッティングの中でも7番、9番ウッドはすごく慎重にクラブを選んでいます」

 2017年にプロ7年目でツアー初優勝を飾ったときは、ユーティリティーは2本で7番アイアンを入れていました。しかし、22年以降はロフト30度前後のユーティリティーを入れるようになり、アイアンは8番からになっています。今シーズンもそのセッティングは変えていません。ただし、優勝した試合ではパターを替えていました。優勝後の取材ではパターについてこう語っています。

「ここまでの3試合は毎週パターを変えていますが、今週は球の転がりが自分のイメージしたものとピッタリ合っていました」

 大逆転した最終日は22パットという驚異的なパット数を記録。3試合のパターを調べると、開幕戦では「スコッティ・キャメロン セレクト ニューポートカスタムパター」、2試合目では「オデッセイ トリプルトラック テン」、そして優勝した3試合目は「オデッセイ ホワイト・ホットOG ♯1WCS」という少しソール幅が広めのブレードタイプを使っていました。昨シーズンも年間平均パット数が1位だった青木は、今シーズンの平均パット数も1位を独走しています。

 ウェッジはグラインドスタジオのモデルを使っています。これは青木の地元・群馬県にスタジオがある研磨師・都丸和寛(とまる・まさひろ)さんが手がけたものです。青木にとっては“地元の地クラブ”です。

 8本のウッドに地クラブウェッジ、そしてエースパターを相棒にする青木は「今シーズンこそ、複数回優勝したい」という決意を力強く口にしました。

2023 青木瀬令奈の最新セッティング

1W:ゼクシオエックス ツアーモデル(ロフト/9.5度)3W:スリクソンZ F85(ロフト角/15度)5W、7W、9W:ゼクシオ テン(ロフト角/18度、20、23度)5U、6U:スリクソンZ H65(ロフト角/25度、28度)6U:スリクソンZX MkII(ロフト角/30度)8I:スリクソンZX5 MkII9I、PW:スリクソンZX7 MkIIAW、SW:グラインドスタジオプロトタイプ(ロフト角/52度、58度)パター:オデッセイ ホワイトホットOG ♯1WCS

野中真一