近年は新規ゴルファーが増えたこともあり、ルールやマナーが曖昧なままプレーしている人を見かけることがまれにあります。しかし、中にはゴルフ歴の長いベテランゴルファーであるにもかかわらず、マナーや相手への配慮が欠けている人がいるそうです。
ビギナーに冷たい対応をするベテランゴルファーも
近年は新規ゴルファーが増加傾向にあり、土日や祝日のゴルフ場はビギナーからベテランまで老若男女を問わず、さまざまな世代のゴルファーで賑(にぎ)わっています。

ラウンド中、ビギナーが特に多い組はミスショットを打ってしまったり、中にはまだ完全にルールやマナーを把握できていないゴルファーもいるので、プレースピードがどうしても遅くなってしまうケースも十分に考えられます。
ゴルフ場全体の進行が遅れないよう、プレーファストを心掛けることはゴルファーにとって大切なことでもありますが、そのようなビギナーの組へプレッシャーをかけるかのように、マナーの悪い行動を取ってしまうベテランゴルファーがまれにいます。
ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏は、このことについて以下のように話します。
「今はベテランゴルファーと呼ばれるような人も、ゴルフを始めた頃はクラブを3〜4本持ってコースを走り回っていたはずです。しかし、ゴルフが上達してくるとフェアウェイをキープできる確率が増えてきて、次第にスピーディーに回れるようになっているでしょう」
「そうすると、ビギナーのスロープレーが気になってしまい、前の組がもたついて詰まってくると『早く急げ!』と言ったり、打ち込みに近いようなことをしたりと、マナーの悪い行動を取るベテランゴルファーを残念ながら見かけることがあります」
「よく最近のビギナーは、ルールやマナーが曖昧な人が多いと言われていますが、その点を理解しているはずのベテランゴルファーの中にも、悪質なことをする人がいるのが実情です」
また、中には特定のゴルフ場で会員(メンバー)になっているゴルファーから横柄な態度を取られたことがある一般ゴルファーもいるそうです。なぜなのでしょうか?
「かつての日本のゴルフコースは、メンバーコースがほとんどでパブリックコースは少数でした。なので、一般のゴルファーはメンバーと同伴、あるいは紹介がなければラウンドできないシステムだったのです」
「その後、ゴルフ場もメンバーだけでは経営が難しくなり、ゴルフ場の空き予約を大手ゴルフ場予約サイトなどに掲載するようになったことで、一般ゴルファー(ゲスト)の数も増えていきました。しかし、メンバーの立場からすると、ゲストが自分たちのゴルフ場に土足で入ってきているような感覚になり、『メンバーなんだぞ』と誇示したい気持ちが、結果的にマナーの悪い行動として表れているのかもしれません」
例えばゴルフ場では、お手洗いの洗面台に水が飛び散ってしまった場合、置かれているタオルで水滴を拭き取る慣習がありますが、そのようなマナーを知らなかったゲストがそのまま放置してしまい、メンバーからにらまれてしまうようなケースもあるといいます。
互いが歩み寄る気持ちが大切

飯島氏はビギナーとベテラン、ゲストとメンバーであっても、お互いが歩み寄ることがゴルフの裾野を広げていくことになると話します。
「ビギナーやゲストの人は、可能な限りゴルフ場でのルールやマナーを勉強して最低限のことは守る努力をすべきですし、ベテランやメンバーは、多少進行が遅れていたり気になる部分があったりしても、少し大目に見てあげる気持ちが必要だと思います」
「少なくとも、ビギナーの組がボール地点までクラブを数本持って走っていたり、進行が遅れないよう前後の組を常に気にかけながら行動しているような姿を目にしたときは、とやかく言うことは抑えるべきです」
「ゴルフ業界全体としても、新規のゴルファーが増えることは喜ばしいことでもあるので、せっかくのラウンドを楽しくプレーできるようにしてあげる環境づくりが必要であると思います」
どの立場のゴルファーであっても、同じコースや施設を共有して使う以上、どんな時でも相手を思いやる気持ちが何より大切であると言えそうです。
ピーコックブルー