昨年の全米アマチャンピオンの馬場咲希が今季初の国内メジャーに参戦。大勢のギャラリーを引き連れていたが、2バーディ、5ボギー、1ダブルボギーの77でホールアウト。初日を5オーバーで終えた。ただ、調子の悪い中、パー5で2オンに成功するなど光るものは見せた。

厳しいセッティングに翻弄された馬場咲希

◆国内女子プロゴルフ<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 5月4〜7日 茨城ゴルフ倶楽部 西コース(茨城県) 6780ヤード・パー72>

 今季の馬場咲希は、米女子ツアーのホンダLPGAで34位、シェブロン選手権で予選落ちだった一方で、国内女子ツアーのTポイント×ENEOSゴルフでは16位タイ、アマチュア競技のオーガスタナショナル女子アマでは5位タイと健闘。

 果たして、今季初の国内女子ツアーでの公式戦出場となったワールドレディスサロンパスカップでは、どちらの馬場が出たのだろうか。

 結果をいえば、初日は5オーバーの77と振るわず、よくない方の馬場が出てしまった形だ。

メジャーの難しいセッティングに苦戦、5オーバーと出遅れた馬場咲希 写真:Getty Images
メジャーの難しいセッティングに苦戦、5オーバーと出遅れた馬場咲希 写真:Getty Images

「今日はショットの調子に悩んでいたので、それが出た感じです。ショットの悪さをアプローチとパットでカバーできなかったことで、ボギーをたくさん打ってしまいました」と分析する。

 馬場のよさといえば思い切りのよいショットだが、この日はスイングリズムが調子のいい時と比べると遅れ気味だったという。その結果、ダウンスイングでクラブが振り遅れた状態でインパクトを迎えるため、方向性が安定しなかったというわけだ。

 本来なら、たとえグリーンを外しても得意のアプローチでピンに寄せてパーセーブしたいところだったが、メジャーのセッティングがそれを許してはくれなかった。思うように寄せ切れず、ボギーが止まらない。

 今回、さすが公式戦と思わせるセッティングを感じさせたのは、ラフの長さやグリーンの硬さもあるが、ピン位置だ。18ホール中15ホールでエッジから5ヤード以内のところにピンが切ってあったから驚く。トッププロでさえ思わず顔をしかめるほどだけに、馬場が思い通りにボールをコントロールし切れなかったのも致し方ないだろう。

「ティショットがフェアウェイにあれば、難しくなくなると思いますが、ラフからだと硬くて小さいグリーンをとらえるのは難しいですね」と振り返る。

 しかし、その馬場が思わず本領を発揮したホールがあった。17番パー5だ。540ヤードと4つあるパー5の中では断トツに長いホールだが、ティショットで300ヤード近く飛ばしてフェアウェイをとらえると、残り250ヤードを3番ウッドで果敢に2オンにチャレンジ。一つ間違えれば、グリーン右手前のバンカーにつかまる状況だったが、馬場に迷いはなかった。

「前のホールでもミスショットしていたし、ここはどうしても2オンを狙いたいところ。1打目を振り切った結果、真っすぐいってくれたので、2打目も思い切って振り抜いたらいい感じで飛んでくれました」というように、ボールはグリーンに向かって真っすぐ飛んで行くと、グリーンをとらえ、ピン右6ヤードにナイスオン。惜しくもイーグルパットは外したが、馬場のポテンシャルの高さをあらためて感じさせた1打だった。

 それでもゴルフは上ってなんぼの世界。アマチュアといえども、プロの試合で戦う以上は、難易度の高さに対応しなければいけない。そのことは馬場自身もよく理解しており、「明日はショットの悪さをショートゲームでカバーできるように頑張りたいです」と気持ちを切り替え、練習場へと向かっていった。

馬場 咲希(ばば・さき)

2005年4月25日生まれ、東京都出身。父親の影響で5歳からゴルフを始める。東京都ジュニアゴルフ選手権(18年)、関東ジュニアゴルフ選手権(19年)、東京都女子アマチュアゴルフ選手権(21年)などで優勝。昨年は全米女子オープンに予選会を経て出場し、決勝ラウンドに進んで49位。8月の全米女子アマでは、日本勢として85年の服部道子以来、37年ぶりとなる優勝を手にした。

山西英希