メジャー優勝を支えたパターや練習器具、ボールなどギアの歴史の中には「でっかくなっちゃった」ものがいくつかあります。これらのアイテムには、どんな目的や効果があるのでしょうか? スイングへの影響などを筒康博コーチに聞きました。

マスターズ最年長優勝を支えたマグレガー「レスポンスZT」

 巨大なトゥ&ヒールバランスのマグレガー「レスポンスZT」パター。練習用クラブではなく、1986年のマスターズで最年長優勝を果たしたジャック・ニクラス選手が使用していたメジャー優勝モデルのパターです。

「BIG」なアイアンやボール、パターはどんな目的や効果を狙ったアイテムなのでしょうか?
「BIG」なアイアンやボール、パターはどんな目的や効果を狙ったアイテムなのでしょうか?

 トッププロが「こんな素人みたいなパター使うの?」と思うかも知れませんが、当時は「大MOI(慣性モーメント)」や「ネオマレット」などのパターカテゴリーはなかった時代。現代のマレットパターに通じる、テクノロジーの始祖と呼べるメジャー制覇モデルでした。

 現代ではピン「PLDパター」をはじめ、ヘッドを大きくしなくても重量配分やテクノロジーの進化もあり、コンパクトなサイズのヘッドでも同等以上の性能を出せるモデルが登場しています。

 ここまでパターヘッドが大きいと、ボールがとても小さく見えてしまうデメリットがありますが、長いブレードのおかげでフェース向きを真っすぐターゲットに向けやすいというメリットもありました。

カップが大きく感じられるようになる「BIG」ボール

 昔はプロの使用球が「スモール」と「ラージ」の2種類あったのをご存知ですか? その後は現在の「ラージ」に統一され、ルールでボールサイズが定められたのですが、「スモール」は物理的にカップが大きく感じられるメリットがありました。

パター練習用「BIGボール」で打った後に普通サイズのボールを打つと、カップがものすごく大きく感じ方向性がアップする
パター練習用「BIGボール」で打った後に普通サイズのボールを打つと、カップがものすごく大きく感じ方向性がアップする

 その理屈を逆手に取ったのが練習用の「BIGボール」です。このボールでパッティングすると、カップがいつもより小さく感じられ、真っすぐ転がすことも難しくなります。

 しかし、「BIGボール」で練習した後にいつものボールでパッティングすると、ボールの芯を捉えやすくなりカップも大きく感じられるのです。ボールが大きいことで「中心」が高くなりパターヘッドの芯とボールの芯をコンタクトする感覚が磨かれるというパター練習用ボールなのです。

アイアンなのにドライバーがうまくなる!? TRI-ONE「アイメソッド」アイアン

 通常のアイアンの約1.5倍サイズのビッグクラブ、TRI-ONE「アイアメソッド」はアイアンながら460ccヘッドと同等の重心距離に設計されたドライバー上達クラブです。

 また大きなヘッドサイズのおかげで、スイング中のフェース向きをビンビン感じられ、自然にフェースコントロールが向上します。

TRI-ONE「アイメソッド」アイアンは、ドライバー並みの重心距離とフェースコントロールを習得できる練習クラブ
TRI-ONE「アイメソッド」アイアンは、ドライバー並みの重心距離とフェースコントロールを習得できる練習クラブ

 長いクラブだと「どうしても振り遅れてしまう」というゴルファーは、TRI-ONE「アイアメソッド」をティーアップして打つと効果抜群。セカンドショットでダフリ連発の悩みがあるゴルファーなら、打つだけでクリーンヒットのインパクト感覚が身につきます。

「ただ大きいだけではない」ビッグなゴルフギアは、スイング改善効果やゴルファーの感覚向上に一役買ってくれるのです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール