コースでは、ボール位置よりゴルフカートを前に出すことは禁止されています。では、カートを前に出すことで、どのような危険があるのでしょうか?

ボール位置よりゴルフカートを前に出すのは絶対NG!

 ラウンドでは、ゴルフカートに乗って打球地点周辺まで行き、カートから降りてショットすることを繰り返します。ラウンド経験の浅いゴルファーが直面しがちな問題が「カートを停車する位置」で、ショットごとに適切な位置に停車しなければ、後続の組に迷惑をかけてしまうこともあります。

ビギナーの場合は予期せぬ打球が行くため必ずボールの後ろで停車する 写真:AC
ビギナーの場合は予期せぬ打球が行くため必ずボールの後ろで停車する 写真:AC

 「カートの停車位置がおかしい」とコースマーシャルや後続の組に注意を受けた経験がある人もいるのではないでしょうか。

 ビギナーの場合はスロープレーに陥らないように、なるべくカートを前に進ませたいという気持ちが強くなりますが、ボール位置よりカートを前に出してはいけません。ゴルフ場経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「まれに、3〜4人で回っている組で、最後にショットを打つ人が『これ打ったら走って前にいくから、カート進めていいよ』といった感じで、ボールよりカートを前に進めようとする人がいます。しかしボールよりカートを前に出してしまうと、カートや同伴者にボールが当たってしまったりするので非常に危険です」

「ビギナーの場合は、シャンクなど、予想外の出来事も起こるので真横や少し斜め前に居れば大丈夫というわけでもありません。必ずボールの後ろにカートを置くようにしましょう」

 2019年のルール改正により、共用カートにボールが当たっても罰打が加算されなくなりましたが、人に当たってしまうと取り返しのつかないことになるので注意が必要です。

 ショットする最中に人の影や、動いているカートが目に入ると集中力が途切れてしまうこともあります。

打ち込みによって過去には死亡事故も!

 また「カートナビが導入されているコースでは、後続組から打ち込まれる危険性もある」と飯島氏は話します。

「カートナビには、残りのヤード数やコースのレイアウトを確認するだけでなく、前の組のカート位置も画面上に表示されています。そのため前のカートが安全な位置に表示されたのを確認したら、ショットすることになります」

ブラインドホールの場合はカートナビに表示された位置でしか確認することができない
ブラインドホールの場合はカートナビに表示された位置でしか確認することができない

「しかし、前の組がボール位置よりカートを前に出してしまうと、カートナビに表示されたカート位置と実際のゴルファーの位置に差異が生じてしまいます」

「後続組は前の組が進んだと勘違いしてボールを打ち込んでしまい、カートより後方に居たゴルファーに直撃することも考えられます。実際は目視で確認できることもあるので、必ずしも打ち込まれるということはありませんがボール位置よりカートは前に出さないでください」

 打ち込みは後続の組とのトラブルの原因や、過去には死亡事故も発生している危険な行為になります。

 男性ゴルファーの場合は、さまざまな条件が重なると、予想以上にボールが飛んでしまうこともあります。練習場で200ヤードであっても風などの影響によって、それ以上飛ぶということも考えられるのである程度余裕を持つことが大切です。

 さらにブラインドホールの場合は、より注意したほうが良いと飯島氏は話します。

「ブラインドホールの場合は、前の組がどこにいるか見えないため、カートナビに表示されたカート位置でしか確認することができません。通常より余裕のある距離を保ってショットをすると、もしもの事故を防ぐことができるでしょう」

 このようにカートの停車位置は、大きな事故やトラブルを起こさないためにも適切な位置に停車するように心掛けましょう。

ピーコックブルー