カートのリモコン操作は一見、雑用のようにも感じるので「本当は年下の自分が持つべきなのかも……」と、気に病む人がいます。ゴルフ経験が浅いうちから率先してリモコン操作を行うべきなのでしょうか?

カートを効率的に動かせるようになったら一人前のゴルファー

 上司や取引先との接待ゴルフは、普段のラウンド以上にルールやマナーに気を使うものです。気の利かない行動や不適切な言動をして、自身の評価を下げるようなことは避けたいので、誰しもなるべく相手がプレーしやすいような環境づくりを心掛けるでしょう。

気付けば無人のカートが随分先に行っていたり取り残されているなんてことも… 写真:AC
気付けば無人のカートが随分先に行っていたり取り残されているなんてことも… 写真:AC

 大きな声で「ナイスショット」といったり、グリーンにパターを持っていったりすると気の利くゴルファーだと思ってもらえるかもしれません。

 リモコン式のカートが導入されているゴルフ場では、だれか一人がリモコンでゴルフカートを操作する必要があります。ゴルファーの中には、「リモコンの操作を上司や取引先の人にやらせるのは失礼なのかも……」と考えて、ゴルフ経験が浅いにもかかわらず率先して名乗りをあげる人もいます。

 しかしゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、ゴルフ経験が浅い人はカートのリモコン操作をするべきではないと話します。

「基本的にカートのリモコン操作は組で一番ゴルフがうまい人がやるべきです。一昔前は接待ゴルフで『お前はプレーはいいからリモコン操作だけしっかりやっとけ』と、ゴルフ経験の浅い若者にやらせるようなこともあったのかもしれませんが、さすがに時代錯誤です。結局、スコアがいい人は打数も少ないですし、同伴者のプレーを見る余裕もあるので、常に一番適切な位置にゴルフカートを置くことができます」

「たとえば同伴者A、B、Cがいたとして、Aはだいたいここらへんに打つ、Bはほとんど進まない可能性がある、Cは基本前には飛ぶだろうなど、一人一人の実力を把握して臨機応変にカートを止めていけます」

 プレーをするだけで精一杯のビギナーは、同伴者のプレーを見る余裕もなければ、カートをどのように進めていくかすら知らないので、スロープレーに陥る可能性が高くなります。ボールを前に進めることに気をとられてしまい、カートが置き去りになってしまう失敗もよく起こります。

 無理やりリモコンを持たせてうまくいかず罵声を浴びせるようなことがあれば、ゴルフ自体を嫌いになってしまう可能性もあるので、上司や部下関係なくゴルフがうまい人が操作するのが最適といえそうです。

常に広い視野でコースを見られる人が本当の上級者

 技術レベルがそれなりであれば、コースのことをよく知っているゴルファーに操作をお願いするのもいいでしょう。何度も回っていてコースレイアウトを熟知しているので、適切な場所にカートを止めてくれます。

 飯島氏はカートの停止位置に代表されるように、常に広い視野でコースを見られる人が本当の上級者だと話します。

「全員がグリーンオンした場合は、ホールアウトして次のホールに向かう導線上にカートを止めておく必要があります。最後にクラブの忘れ物がないかなどまで確認するような余裕まで出てくると上級者の仲間入りといえるかもしれません。同伴者全員が円滑にラウンドできるように考えながらプレーするのも意外とやりがいがあるものです」  このようにビギナーがリモコンを持つことはスロープレーの原因になるので、ゴルフ経験が浅い旨を同伴者に伝えて操作をお願いするのが無難です。誰しもビギナー時代を経験しているので快く受け入れてくれるはずです。ビギナーは自分がリモコンを持つ立場になったときのために、余裕のあるホールでは同伴者がどのようにカートを動かしているのか見ておくといいでしょう。

ピーコックブルー