ショットの安定しないビギナーが頻繁に利用する「前進4打」。ラウンドを円滑に進めるために誕生した日本独特のローカルルールですが、デメリットも存在するようです。

OBを連発して進行が遅れる危険を回避

 ティーショットが安定せずOBを連発。パー4やパー5のホールで頻繁に「前進4打」を使用するビギナーは少なくありません。

たいていの場合、「前進4打」は黄色い特設ティーで示されている 写真:AC
たいていの場合、「前進4打」は黄色い特設ティーで示されている 写真:AC

 前進4打は「プレーイング4」とも呼ばれており、ティーショットがOBやロストした場合に打ち直しをせず、前進して特設ティーから4打目としてショットをするローカルルールです。

 前進4打は日本特有のローカルールであり、海外ではほとんど見られないようです。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように説明します。

「日本ではゴルフが接待としても広く普及していったので、なるべくホール間の待ち時間を短縮したいということから『前進4打(プレーイング4)』が広まっていきました。前進4打がない、もしくは使用しない場合は、元の場所から3打目として再度ティーショットを打つことになります。特にビギナーの場合はショットが安定せず、OBを連発する可能性があるので、時間短縮のために設置されました」

 特設ティーは一般的にダブルボギーオン(パット数を2回と仮定した“パーオン”より2打多い設定)となるように設置されており、たいてい通常のティーと同様、ティーアップしてショットできます。

毎回特設ティーからになってしまうと面白みを感じにくい

 コンペでは「オール6インチ動かしてOK、ワングリップOKです」などとして、スムーズなラウンドになるようなローカルルールを設定していることもあります。このように円滑にラウンド進めるために考えられたローカルルールは多々ありますが、デメリットも存在すると飯島氏は話します。

「やはりゴルフは『あるがまま』を受け入れて、『ライの悪いところからから最善のショットを目指す』『強風のなかでもいかにグリーンをとらえるか考える』など、自然との対峙を楽しみながらプレーするのも醍醐味です。プレーを円滑に進めることが最優先になり、ローカルルールを多用しすぎてしまうと、ゴルフの本質とはかけ離れてしまいます」

 ビギナーの場合、「前進4打」があるのが当たり前だと思っている人も多いかもしれませんが、ある程度の格式あるゴルフ場や競技志向のメンバーが多いゴルフ場など、設置されていない場合も決して珍しくありません。OBを打ったら前から行けばいいやと安心していると、特設ティーがなくてパニックになった、なんてことも起きかねません。そんなメンタリティーでこわごわ打ったショットがうまくいくはずもなく…。あくまで「前進4打」がないのが基本だと肝に銘じておきましょう。

「ビギナーの場合は、ティーショットがOBになる確率が高いので、毎回特設ティーからの4打目になり、面白みを感じづらくなってしまうことも考えられます。そのため、後ろがつまっているときは進行を優先して、余裕がある場合は多少難易度の高いシチュエーションであってもチャレンジしてみるなど、臨機応変にラウンドするのがいいでしょう」

 ゴルフの実力が伴わないうちはローカルールを積極的に活用して、ある程度スコアをつくれるようになってきたら、あるがままでプレーすることを優先してみると、ゴルフを深く楽しむことができそうです。

ピーコックブルー