人気のウェッジはバンス角だけじゃなく、ソール形状も数多くラインアップされています。そこで、自分に合ったウェッジの選び方をゴルフフィールズユニオンゴルフ店の店長、小倉勇人さん聞きました。
選手に合わせて削った形をそのまま商品化するケースも
最近のウェッジは、ロフト角やバンス角だけでなく、1つのモデルでもソールの形状のバリエーションがあって何を選べばいいかわかりにくくなっています。ゴルフフィールズユニオンゴルフ店の店長、小倉勇人さんに、ウェッジのソールバリエーションについて聞いてみました。
ウェッジのバンスを見ると、たとえばタイトリストの人気ウェッジ「ボーケイSM9」では「F」、「M」、「S」、「D」、「L」、「T」、「K」と、なんと7種類ものソールグラインド(削り)のバリエーションがあります。キャロウェイの「JAWS RAW」(フルフェイススコアラインバージョン)も「ZG」、「SG」、「WG」と3種類がラインアップ。

「FULL」、「MID」、「LOW」、「LOW+」と分類されたダンロップの「クリーブランドRTX6」や、「H」、「M」、「L」と分類されたフォーティーン「RMα」のように、バンスの大きさを示すネーミングで比較的イメージしやすいものもありますが、それにしてもどれを選べばいいのかわかりにくいのも事実です。
ホームページやカタログにはさまざまな説明が書いてありますが、正直なところ、ソール形状によって何がどう違うのかは、ほとんどのアマチュアには実感できないのではないでしょうか。
そもそもどうしてこんなさまざまな形状のバリエーションがあるのでしょうか。
「ウェッジのソールの出っ張りであるバンスは、ソールの当たり方や抜けを左右する非常に重要な機能ですが、打ち方や使い方によって、大きいほうが打ちやすい人、大きすぎないほうが使いやすい人など人それぞれなのです。そのため多くのメーカーが、同じロフトでもバンス角のバリエーションをそろえ、ユーザーが好みによって選べるようにしているんです」(小倉店長)
しかし、単純にバンス角を大きくするとフェースを開いたときに出っ張りすぎてジャマになることもあるので、バンス角自体は確保しつつヒール側を削ったりトレーリングエッジ(ソール後方)を落とすなどソール形状を工夫するモデルも増えてきました。
実際、プロゴルファーのなかには、自分のフェースの開き方やソールの使い方、さらには芝質などに合わせてソールを削って使っている選手が多くいます。タイトリストの「ボーケイ」シリーズなどは、こういった選手個々に対応して作ったソールの一部を商品化していったことでバリエーションが増えてきたそうです。
「極論をいえば、100人のゴルファーがいれば最適なソール形状は100通りあるわけですが、ウェッジを商品化するうえで、ある程度の最大公約数的な形状を選んで絞り込んでいるわけです。多くのメーカーが3〜4パターンに絞っているなかで、タイトリストはあまり絞らずに『合う人がいるはず』とどんどん商品化してしまう発想なんだと思います」(小倉店長)
まずはハイバンスからで不便を感じたら他を試そう
では、これだけ豊富なソールバリエーションの中から、自分に合ったものを選ぶにはどうすればいいのでしょうか。
「アマチュアの場合、あまりソール形状にとらわれすぎず、バンス角を最初の判断材料にするのがオススメです。とくにこだわりがなく、よくわからないということであれば、まずはバウンス角の数値が大きいものから試してみてください。基本的にウェッジは、バンス角が大きいほうがやさしく使えます。とくに日本のゴルフ場の芝は、ハイバンスのほうがミスなくアプローチしやすいと思います」(小倉店長)

いろいろな形状はあれど、やはり基準にすべきはバンス角。どのソール形状かというよりは、バンス角が何度あるかのほうがアマチュアには重要なポイントだと小倉店長はいいます。
そのうえで、ソールが跳ねてトップなどのミスをすることが多いという人は、他の形状を試してみるという流れがいいでしょう。
フェースを開いて使うことが多い人はトゥ・ヒール側が削られている「U」字型のソールのもの、入射角がゆるやかな人は幅広いワイドソール形状のものなどが合いやすいそうです。
また通常のショットでソールがジャマだと感じる人は、全体的にローバンスのものが合いやすいかもしれません。
「どんな形のソールが自分に合うかは、実際に芝の上でいろいろな形状のソールを使ってみた経験がないとわからないんです。フィッティングをしてみても、ジャストでハマるものが一発で見つかることはそれほど多くありません。迷っているならまずはハイバンス。それを使ってみて不便を感じるようになったらいろいろな形状を試してみるという考え方がいちばん安全だと思いますよ」(小倉店長)
鈴木康介