ゴルファーの実力をはかる一つの指標となっているベストスコア。しかしレッスンプロの三浦辰施氏は、ベストスコアは水物であるため「総合的な実力」を判断できるものではないと話します。

ベストスコアは水物! 上級者は「平均スコア」を気にする

 ゴルフを始めたての頃は、同じタイミングでラウンドデビューした仲間や気心の知れた会社の同僚と「ベストスコア」を競い合うものです。

 「この前のラウンドで120を切った!」などと、自分と大差ない実力だったゴルファーから一皮むけたスコアを報告されると、悔しい反面、塗り替えたい気持ちが強くなります。なかには、「自分にはゴルフの才能がないかもしれない……」と落ち込んで、ゴルフ自体をやめてしまう人もいるかもしれません。

100を切ったら、スコアカードは毎回とっておきましょう 写真:AC
100を切ったら、スコアカードは毎回とっておきましょう 写真:AC

 しかし、レッスンプロの三浦辰施氏は、ベストスコアは水物であるため、そこまで気にする必要はないと話します。

「ベストスコアは狙って出せるようなものではなく、プロの私ですらいつ出るか分からないです。ベストスコアが出るときは、なんだかよく分からないけど『アプローチがワングリップ以内に寄っていく』『ロングパットもショートパットも打てば入る』ときです。本人はカップの近くに寄ればいいな、と思いながら打っているのにカップへ吸い込まれていきます」

「多くのラウンド経験を積んでいれば、遅かれ早かれこのようなシチュエーションに遭遇するので、ベストスコアが出るか出ないかは運です。他人のベストスコアに一喜一憂して落ち込む必要はありません」

 三浦氏の経験では、ティーショットが安定しているときよりもアプローチやパターの調子が冴えているときのほうが、ベストスコアが出やすい傾向にあるそうです。

 ベストスコアは瞬間的な実力を示す指標にしかならないため、現在のゴルファーの実力をはかることには向いていません。たとえば「20年前、毎日練習していた時代に出たベストスコア」を、週に1回しか練習していない現在、塗り替えることは不可能に近いので、直近の平均スコアを聞いたほうが実力を把握できます。

スコアが悪かったときも記録を残す

 三浦氏は100を切るまではベストスコアを意識して、達成後は平均スコアを意識するのがおすすめだと話します。

「やはりビギナーの場合は、『100切り』を目指すことが一番のモチベーションになると思うので、まずはベストスコアを目指して頑張るといいでしょう。達成後は平均スコアをいかに縮めることができるかを意識していきます」

「ラウンドを重ねていくと調子が悪い日があったり、悪天候の日にプレーしなければいけなかったりします。ゴルフはあるがままを受け入れてプレーするスポーツなので、どのようなシチュエーションであっても一定のスコアを出せる人はかなりの実力者です。平均スコアは大幅に縮まるものではないので、1打、2打と地道に更新していかなければなりませんが、それはそれで達成感があって楽しいものなので、よかったときだけでなく毎回スコアを記録しておくといいでしょう」  また、初めて回るゴルフ場はホールのレイアウトを熟知できていないので、何回も回ったことがあるコースと比べるとスコアは落ちやすくなります。初めて回るコースをどのように攻めればスコアを大幅に落とすことなくプレーできるか考えることも、平均スコアを上げるためには必要です。

 昨今では、「直近のラウンドスコア」「平均スコア」「平均パット数」が一目で分かるスコア管理アプリも登場しています。

 大叩きしてしまったラウンドのスコアは、記録せずに忘れ去りたいものですが、冷静になって振り返ると反省点や発見があることもあるので、欠かさず記録したほうがいいでしょう。

ピーコックブルー