雨天時にかかわらずカップの位置は日によって異なるので、難易度も都度変わってきます。ホールカッターと呼ばれるカップを切る道具があり、地面をくり抜き、くり抜いた土を前の穴に埋めていきます。カップの位置は毎日変えられていますが、雨天時はグリーンの高い位置に切られるそうです。なぜなのでしょうか?

雨天時は表面排水が一番いい場所にカップが切られる

 雨天時のゴルフは芝が濡れて重くなったり、グリップが滑りやすくなったり、ランが出なくて飛ばなかったりと、普段よりスコアが出しづらくなります。

雨の日は排水のいい高い位置にカップが切られる 写真:Getty Images
雨の日は排水のいい高い位置にカップが切られる 写真:Getty Images

 天候によっては土砂降りの雨に打たれながらプレーすることになるので、事前に天気予報を確認し、降りがひどそうな予報の場合は予約をキャンセルするゴルファーも多いかもしれません。

 しかし、雨でもおかまいなしにプレーする人のなかには「なぜかすべてのホールで難易度が高い位置にカップが切ってある」と感じたことがある人もいるでしょう。実は雨の日はグリーンの高い位置にカップが切られるので、傾斜が強くなりラインを読む力がより求められるのです。

 雨天時にかかわらずカップの位置は日によって異なるので、難易度も都度変わってきます。ホールカッターと呼ばれるカップを切る道具があり、地面をくり抜き、くり抜いた土を前の穴に埋めていきます。

 なぜ雨の日はグリーンの高い位置にカップが切られるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように説明します。

「グリーンの高い位置であればカップ周辺やカップの中に水が溜まりづらいため、雨の日は表面排水が一番いい場所にカップが切られます。水は高いところから低いところに流れるので、グリーンの低い位置にカップは切りません。カップ周辺に水溜まりができてしまうと、いちいち救済の処置をしなければいけない状況になりやすいので、手間が増えてしまいます。ゴルフはあるがままを楽しむスポーツなので、なるべく自然にプレーするために行われている工夫です」

 もしグリーン場の水溜まりにボールが入ってしまった場合は、ゴルフ規則16.1d「パッティンググリーンの球の救済」によって、元の球か別の球を完全な救済のニヤレストポイントにプレースすることで、罰なしの救済を受けることができます。しかし、万が一、グリーン上にボールが転がらないほどの水たまりができてしまった場合は、プレーが中断となるケースもあります。

雨の日は曲がりが少なくなるのでラインを浅く読む

 では、雨天時のパッティングはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。レッスンプロの山本昌夫氏は以下のように話します。

「濡れているグリーンは、ボールが転がりづらくなるので普段より強めに打つ必要があり、下り傾斜でどんどん転がっていくということはありません。横のラインを打つ場合はグリーンが重いぶん、傾斜があってもそこまで曲がらないので普段より直線的に狙うといいでしょう」

 なかなかタッチが合わずにスコアは悪くなりがちですが、グリーン上での対応力を鍛えることができそうです。

 また、前出・飯島氏は、まだ雨が降っていなくとも事前に高い位置にカップが切られることもあると話します。

「たとえば午後から雨予報となっている場合は、事前に高い位置にカップを切ることが多いです。グリーンが濡れて重くなることを前提に傾斜が強い位置に切られるので、強めに入ってしまうと下りでどんどん転がっていってしまうこともあります」

 飯島氏は「雨ゴルフはさまざまな外的な影響から普段どおりのプレーがしづらくなりますが、自然の変化を受け入れてプレーするのもゴルフの醍醐味です」と語ります。雨の日にゴルフをプレーする際は、カップがグリーンのどのような位置に切られているか注目してプレーしてみるのも面白いでしょう。

ピーコックブルー