会員権を持っていないゴルファーは、毎回異なるゴルフ場でプレーすることが多いです。何度かラウンド経験あるコースでも難しいのに、初めて回るゴルフ場を攻略するのは至難の業。「真っすぐ打つ」と念じているだけでは、フェアウェイキープはできません。そこで、初めて行くコースで大叩きしないための「ティーショット」攻略法を聞きました。

うまいゴルファーも毎回「狙った所」に打ててはいない

 PGAのトッププロでもフェアウェイキープ率50%台のラウンドは日常茶飯事です。つまり、世界一ゴルフがうまい人たちも毎回「狙った所」にティーショットできているワケではありません。

 毎回フェアウェイのセンター狙いはできなくても、「次のショットが打てる」、「グリーンを狙える」ということがティーショットに求められていることです。そのために、その日の傾向を把握しながら、「コースレイアウト」と「風」を観察してトラブルを回避できる場所に打っていくことが重要です。

初めてラウンドするゴルフ場では「コースレイアウト」と「風」を観察することで、ミスショットを最小限にできる
初めてラウンドするゴルフ場では「コースレイアウト」と「風」を観察することで、ミスショットを最小限にできる

 もしスタート前に「必ず練習場で打つ」ルーティンのゴルファーであれば、ざっくりとした「その日の曲がり傾向」をつかんでいるはずです。

「ラウンド前の練習場で時間の限り修正する」というゴルファーは、ティーショットのコースマネジメントは逆に難しくなってしまいます。なぜなら、「修正した打ち方の球筋」が出るのか? 「その日のクセ」でるのか分からず、曲がりの予想範囲が広がってしまうからです。「前の晩に猛練習する」という一夜漬けタイプのゴルファーも、同じ理由で注意する必要があります。

 特に、初めてラウンドするゴルフ場ではレイアウトの詳細も分からないので、必要以上に欲をかかず、その日の傾向に合わせたマネジメントをするべきです。

「風向き」が分かれば頑張らなくてもボールを運んでくれる

 ラウンド中、曲がったショットばかりになることも当然あります。そんな時に風が吹いているなら利用しない手はありません。

 フェアウェイ右に池で左がOBというホールで、風向きが左から右、スライス方向に曲げてくれるのであれば、1番のトラブルである「左へのOB」は注意しなくても大丈夫になります。フックの曲がりが強いなら、風と相殺する真ん中や少し左を狙えば「結果はストレートボール」っぽくなるでしょう。

無理に球筋を作りよりも、風向きに逆らわず風上方向に打ち出せば、風下の方向にボールが曲がってくれる
無理に球筋を作りよりも、風向きに逆らわず風上方向に打ち出せば、風下の方向にボールが曲がってくれる

 普段は右からドローを打っている僕でも、風が左から右に吹いているときには「風フェード」をイメージして左に打ち出すことを考えます。うまくいけば「ナイスフェード」になりますし、最悪フェアウェイ右サイドの池に入ったとしても、3打目は前方から打つことが可能になります。

 初めてのゴルフ場ではコースの詳細までは分からないことが多いですが、「OB→ワンペナ→次が打ちづらい場所」ぐらいの順番で、最悪の状況を回避しながら「風の力」を借りてプレーする方が、少ないストレスでラウンドできると思います。

前方の景色に影響される「ゴルファーの目」を利用する

 初めてのゴルフ場では、ティーイングエリアから見た「前方の景色」がショットに影響を与えやすくなります。

 ティーイングエリアからの景色(遠くの森)で「右が高く、左が低い」レイアウトだけでなく、右側に深そうなバンカーがあるとします。

前方の景色が「右が高く、左が低い」に加え、右バンカーに「入れたくない本能」が影響あることでショットがつかまりやすい状況
前方の景色が「右が高く、左が低い」に加え、右バンカーに「入れたくない本能」が影響あることでショットがつかまりやすい状況

 そのようなホールでは普段よりも「ややつかまったボール」が出やすくなります。仮にその日の傾向がスライスでも、こんな景色では大きく曲がりませんし、フック系のゴルファーの場合は大フックや引っかけの危険性があるので注意が必要です。

 何度もラウンドしているコースなら「行ってみるとそうでもない」といった知識があるのですが、初めてのゴルフ場では「目に見える安全な場所に打ちたい」と多くのゴルファーが思うはずです。

 いくら左右から林が迫り出していても、無理やりショットを修正して「フェアウェイセンター狙い」なんてなかなか実行できないのが現実です。コース前方の景色やティーマークの向き、その日の傾向や風向きなど「総合的に予想して」ティーショットに臨んでみると、左右に曲がるティーショットでも安全なサイドに誘導しやすくなります。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール