いくら練習やレッスンで調子がよくても、多くのゴルファーにとって難しいのが「朝イチ」のドライバーショット。緊張してしまうメンタルなのか? それともスタート前の準備の仕方なのか? 経験が足りないだけなのか? そこで少しでも無難に「朝イチ」をクリアする方法を聞きました。

スタートホールも18分の1、「全てが決まる」と考えない

「ゴルファーあるある」としていわれるのが、いいスコアでラウンドしている時の上がり3ホールと「朝イチ」ティーショットにおける「魔物」の存在。

 特にアマチュアにとって「朝イチ」ティーショットは、プロのように何時間も前からゴルフ場に来きて準備をするわけではないので非常に難しい一打といえます。現実には、ゴルフ場に到着してからバタバタしているうちにスタート時間になり、朝イチでOBを打って一日中ボロボロ……、なんてことも少なくないはずです。

腕前や経験に関わらずなぜか緊張してしまう「朝イチ」スタートホールのティーショット。無難にこなす方法とは?
腕前や経験に関わらずなぜか緊張してしまう「朝イチ」スタートホールのティーショット。無難にこなす方法とは?

 特に前日までの練習やレッスンで「調子いいかも?」と思っている時ほど、朝イチの緊張感は増していく傾向があります。

 月一ラウンドのゴルファーに「練習のつもりで気楽に」といっても、普段の練習の成果を出さなければ……、と自分にプレッシャーをかけてしまいがち。「朝イチ」でナイスショットを打ちたい気持ちになるのは分かります。

 しかし、スタートホールや上がり3ホールで大叩きしても、トータルスコアに対する貢献度は他のホールと同じです。悪いスタートからいつもどおりのスコアにまとめたなら「粘った」、「耐えた」ということになりますが、いいスタートからいつもどおりなら「もったいない」、「崩れた」と考えるゴルファーが多いはず。

 どんな内容であれ「数字は数字」と割り切って、わざわざ自分にプレッシャーをかけることだけは避けて欲しいです。

打ち出し方向を決めるインパク時の「フェース向き」に全集中

 トッププロのようにピタッとフィニッシュを決めて真っすぐショットしてスタートしたいのは山々ですが、現実は甘くありません。

 スイングの形(フォーム)ばかり気にしても、ボールを打ち出す方向とインパクト時のフェース向きが合っていなければコースマネジメントは不可能です。とりあえずスライスやフックが出たとしても、打ち出し方向さえ何とかできれば「朝イチ」スタートホールは及第点と考えるべきです。

フォーム(形)よりもボールの打ち出し方向を決めるインパクト時の「フェース向き」を重視すれば、ミスショットしても大ケガになりにくい
フォーム(形)よりもボールの打ち出し方向を決めるインパクト時の「フェース向き」を重視すれば、ミスショットしても大ケガになりにくい

 そのためには、何よりも「フェース向き」を打ちたい方向に調整することだけを優先してみてください。

 そのためにはクラブフェースの向きを最優先してアドレスするのがコツです。スタンスや体も狙った方向に並行になるのが教科書的な正解ですが、実際はコースの景色やティーングエリアの向きに影響されて、理想のスタンスは取れないのがスタートホール。

 多少スタンスや体が真っすぐにアドレスできなくても、きちんと当たる場所にボールを置けて、フェース向きが打ち出し方向に合っていることがはるかに重要です。

スタート前の準備から「当たるイメージ」を想像しよう

 今日の調子や傾向が「ゼロ」の状態で打つ朝イチのティーショットを、「狙った弾道でフェアウェイど真ん中」に打つのはトッププロでさえ非常に難しいことです。

 朝イチさえ打ってしまえば、「今日はフックしがち」や「右に行きやすい」など次のショットからマネジメントの対策も立てられます。スタート前の練習や素振りでも、頭の中で「朝イチショット」を何発か想像しておいてください。

ウオーミングアップや素振り時から、理想のスイングでなくても「当たるイメージ」を想像する。準備することでマイナス思考を払拭する
ウオーミングアップや素振り時から、理想のスイングでなくても「当たるイメージ」を想像する。準備することでマイナス思考を払拭する

 例えば「スライスする気しかしない」なら、そのぶんを計算に入れてクラブフェースの向きを閉じてみるのもオススメです。

 素振りしてみて「なんかチョロしそう」なら、ティーアップを高くしてもいいですし、逆に「テンプラしそう」ならティーを少し低くして打ってみましょう。

 もし「悪いイメージしか出ない」なら、心の中で「暫定球打ちます!」や「もう一球打ちます!」といってみてください。これは、「なぜか打ち直しショットはちゃんと当たって飛ぶ」ゴルファーのメンタルを逆手にとった方法です。

 最悪OBになっても、トータルスコアが2打多くなるだけですから、別に一日が終わったワケではないことだけは事実です。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール