ゴルフ場や練習場には、ビギナーや女性ゴルファーに限らず、誰彼構わずやたらと絡んで実況や解説をしてくるおじさんがいます。彼らはなぜ相手のゴルファーが不快に感じる言動をしてくるのでしょうか? それとも、「よかれ」と思って実況や解説しているのでしょうか?

迷惑をかけている自覚なし! ゴルファーの敵「実況&解説」おじさん

 ラウンドレッスンでもない限り、ゴルファーが同伴競技者にアドバイスを求めることは「ほとんど無い」というのが普通の感覚ではないでしょうか。にも関わらず、一人予約時だけでなく、仲間内のプライベートラウンドでも実況や解説をしてくる人はたくさんいます。

 被害者たちは「承認欲求かな?」と、その場の空気を悪くしたくない思いからガマンしている人がほとんど。やんわりと言動をかわしても、実況や解説をしてくる当人には全く自覚がなく、むしろ「よかれ」と思っているかのようです。

プレー前後の「実況&解説」は、同伴者が求めた時以外は「迷惑」、「不愉快」以外の何者でもない
プレー前後の「実況&解説」は、同伴者が求めた時以外は「迷惑」、「不愉快」以外の何者でもない

 ベテランゴルファーほどさまざまな経験をとおして、自分なりに分かったことがあるのでしょう。さらに、ビギナーや女性ゴルファーが上手にスコアメイクして欲しい、という思いもあるのかも知れません。

 しかし、ミスした自覚があるゴルファーに対して、わざわざ「今、ダフっちゃったね」、「コスってスライスしちゃったね」や、打つ前から「ここからのパターは速いよ」などの過剰な実況や解説は迷惑な言動です。

 ただし、こういう人もその組で1番の年長者には実況や解説をあまりしないようです。ということは、自分が一番の年長ゴルファーであれば「実況&解説おじさんにならない」注意をしておいた方がよいでしょう。

安全にボールを見ておくことは重要! 同伴者の「余計なプレー」は見ない

 同伴者のプレーに対して「実況や解説」をしてしまう人たちは、セルフプレーが主流になってから多くなってきているようです。

 もともとは「ボールを見ておくね」、「あの辺はOBだよ」などセルフプレー時のアシスト的な目的だったはずです。べテランとしてプレースピードやコースマネジメントをスムーズにしようとしていた「良心」だったはずですが、いつの間にか同伴者を不快にするほどの実況や解説になってしまったと推測できます。

元は「安全のため」や「ボールを見つける」ためのセルフプレーでの言動が、いつの間にか過剰な実況や解説になってしまった
元は「安全のため」や「ボールを見つける」ためのセルフプレーでの言動が、いつの間にか過剰な実況や解説になってしまった

 しかも、非常に厄介なのが、自分よりうまい年下のゴルファーに対しても「今のは珍しくミスしちゃったね」、「普段はもっと飛ばすんでしょ」などの言動を初対面でも行ってしまう人もいるようです。

 昔から「今の若い人は……」という言葉がありますが、自分が将来そうならないように若いゴルファーも気をつけなければいけません。二度と会わない人なら、ハッキリと「実況や解説は結構です」と伝えるしかないのかも知れません。

練習時から必要以上に「他のゴルファーを見過ぎない」

 練習場やインドアレンジでも「実況や解説」をしてくるおじさんゴルファーはいます。彼らは自分のスイングよりも他のゴルファーに多くの関心を持っている傾向があります。

「承認欲求」を求める教え魔とは異なり、自分のゴルフに関心が薄くなったために「暇」を持て余し、他人のことはよく分かるので「実況や解説」を繰り返してしまうのが実情のようです。

練習場は「自分が練習する」ための施設。必要以上に他のゴルファーのスイングや行動を見過ぎるタイプの人は注意が必要
練習場は「自分が練習する」ための施設。必要以上に他のゴルファーのスイングや行動を見過ぎるタイプの人は注意が必要

 こんなゴルファーに遭遇しても有効な対処方法はありません。実際に「実況や解説」をやめられないゴルファーにヒアリングしたことがありますが、当の本人は「ああいうのって本当に嫌だよね」と他人事だと思っている場合もあります。

 年長者とラウンドすることが多い若い人には、決しておじさんゴルファーの全てが悪い訳ではないと伝えたいのです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール