大叩きを防ぐには「アプローチが重要」なのは、ほとんどのアマチュアは理解しています。でも、練習はしたくないのがゴルファー心理。そこで、付け焼き刃でもいいので、アプローチの距離感の作り方や打ち方などがないのか、筒康博コーチに聞きました。
最小の振り幅で「ショートでもいい」からイメージ作り
スコアメイクするにはアプローチやパターが重要なのは分かっているのですが、地味な練習はやらずドライバーばかり打ってしまうのがアマチュアの悲しい所。
しかもラウンドでは、「ピッタリ寄せたい」という強い欲にかられてしまうのも事実。そんな「練習しないけど寄せたい」ゴルファーにアプローチ方法があるか、というテーマです。
普段、アプローチの練習をほとんどしないアマチュアも、ゴルフ場に併設された芝から直接打てるアプローチ練習場なら前向きに取り組むことが多いようです。「付け焼き刃」ではありますが、直前の練習でアプローチの距離感作りのコツをお伝えしたいと思います。
ラウンドでは池やバンカー越えなど、「フワッと高い」アプローチしたい状況がたくさんあります。また、距離が近く障害物が少ないアプローチほど、「ピッタリ寄せたい」という欲が出てしまい、結局グリーンを行ったり来たりした経験を持つ人も多いはずです。
ラウンド直前の練習では、まず「思いつく一番短い距離」をイメージすることから始めてください。経験値のある人なら「何ヤードはこれぐらい」などのイメージが出てきますが、練習不足のアマチュアほど「正解の振り幅」を考えてしまいがち。
最初はショートパットぐらいの小さな振り幅で、「これじゃ流石に届かない」アプローチをしてから、少しずつ振り幅を大きくしましょう。スタート前のアプローチ練習場なら、だんだん距離が出るように打っていくことで、「感じ」がイメージできるようになるはずです。
大きく振るのは「○○越え」か「グリーンの奥でもOK」の時だけ
厳密には、距離やライなど「二度と同じにならない初めての状況」から打つのがラウンド。そもそも練習していないアマチュアがアプローチで成功するのは無茶な話ですが、「付け焼き刃」でしのぐならグリーンの手前と奥の状況把握だけは行いましょう。
手前に障害物がないなら、ダフリやトップが少なそうなクラブで「チョコン」と小さい振り幅で寄せていくイメージを持つことが大事。「アプローチは転がし」を主張するレッスンの多くは、最悪なトラブル回避の観点から勧めているのです。仮に半分の距離しか行かなくても、「もう一回」同じ距離感で打てば行ったり来たりする大きなミスは回避できるのです。
もちろん手前に池やバンカーなどがあり、どうしても越えなきゃいけない状況は別。「グリーンの奥でもOK」なら、ロフトの大きいウェッジを使って大きな振り幅にトライしてみてください。
ハーフスイングで「振り幅」のクセが分かる
これからラウンドするうえで、振り幅を自分で調整する際の「クセ」を確認する方法があります。クラブは何番でもいいので、ハーフスイングの「つもり」と実際に打った時のギャップを調べてみてください。
基本的には多くのゴルファーが「つもり」の振り幅よりも、実際に打つ時の方がはるかに大きくなる傾向があります。中には「ハーフのつもり」で「ほぼフルスイング」してしまう人もいます。
つまりグリーン周りのアプローチでは自身のイメージよりも大きく振り上げてしまうので、うまく当たっても「大オーバー」、インパクトで加減しすぎて「大ショート」になりやすいのです。
まずは「小さい振り幅でしっかり打つ」というイメージから作って欲しいです。アプローチはいくら練習しても、すぐに結果につながりにくいショットです、方向性よりも「振り幅」による距離感を最優先することで付け焼き刃でもスコアを作れる可能性が出てきます。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。
猿場トール