最近、よく耳にする「トップトレーサー・レンジ」というワード。実はこれ、オープンエアの打ちっぱなし練習場の屋根または天井に設置されたカメラが各打席から打たれたボールを追跡して、弾道や飛距離を計測する計測機器のことなんです。どんなことが可能なのか調べてみました。
AIにより「強化すべき部分」などのショット分析も可能
「トップトレーサー・レンジ」は、顔認証システムを応用し、ボールの行方や弾道を分析するシステムです。
自身の打ったボールの軌道やボールスピードなどを計測し、飛距離や弾道といった、ゴルファーが気になるデータを打席モニターに映し出してくれます。

たとえば、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティー、アイアンなど、クラブ別のショットデータを計測することができます。従来のアウトドアの練習場では、自分の打ったボールがどのように飛んでいるか、どの辺に落ちたのかという目視のデータだけで確認していましたが、それに加えて、弾道測定器でのデータが計測できるという画期的なアイテムなんです。
計測表示も「トータル飛距離」、「キャリー」、「ボールスピード」、「打ち出し角度」、「曲がり幅」、「高さ」、「滞空時間」、「着地角度」などなど、とにかく多彩です。
また、練習場のボールは、実際のコースボールと比較すると飛ばないとされていますが、飛距離データに関しては、コースボールに補正したものとレンジボールでのデータが併記されるので、自身のショットがどれくらい飛ぶのか、少し悲しい現実を目にすることも多いかもしれません 。
とはいえ、単純にボールを打つだけではすぐに飽きてしまうという方でも、しっかりとショットデータを確認し、クラブごとの飛距離や弾道を分析できるので、楽しみながら、自分自身を知ることができて、クラブの買い替えなどを検討する要素にもなります。
さらに、最新システム「TOPTRACER30」は、ティーショット、セカンドショット、アプローチショットなど、合計30球を画面表示に従って打っていくと、ショットデータを元にAIがゴルフの内容を分析。
レベル診断を行い、プレーヤーが強化すべき点を指摘してくれます。漠然と練習するよりも、よりレベルアップに向けた練習ができるのです。
自身のスマホやアイパッドに、専用アプリをダウンロードすれば、計測データを保存することもでき、前回の練習時との違いなど、データ比較も簡単にできます。
バーチャルラウンドなどテレビゲーム感覚で遊べるツールも満載
データ測定など、ガチなゴルファーが真剣に練習するためのツールと思われたかもしれませんが、実はゲーム感覚で使えるのも「トップトレーサー・レンジ」の魅力。
世界中の有名なコースに挑戦できる「バーチャルラウンド」や、「ドラコン」、「ニアピン」など、友人同士で遊べるツールも満載しています。
「バーチャルラウンド」では、世界の有名なゴルフ場に挑戦できます。海外メジャーが開催されるようなコースもラインアップされているので、1人はもちろん、友人同士でスコアを競いながら、バーチャルのラウンドを満喫できます。

18ホールはもちろん、バック9、フロント9だけでもOK。さらに、カスタムの選択で任意のホールのみのラウンドも可能なので、有名コースの名物ホールのみをラウンドすることも可能です。
プレーヤーのレベルに応じて、使用ティーエリア、ハンディキャップなどの設定できるので、レベルを問わず楽しめますし、練習場でも1球ずつクラブを変えながら打つことで、本番を想定できるのでコースマネジメントの向上にもつながります。
ただし、パターは計測できないため、アプローチがどこまで寄ったかでスコアを換算しているとのこと。バーチャルラウンドで、コンペを行う人もいるそうで、遠くまで出かけないでも、できちゃうコンペで盛り上がっている人も多いのだそうです。インドアとは異なり、オープンエアで開放的な点も人気の秘密のようです。
また、初心者や子供も楽しめる「ゴーフィッシュ」というツールは、モニター画面に映し出されるコースに泳いでいる魚をボールで狙い、魚が持っている星を集めるゲーム。
正確なショットが打てなくても、星を集めて行けるので、まだまだ技術が伴わないゴルファーでも遊びながら練習できます。ゲームセンター感覚で利用できると家族連れにも人気だそうです。
他にも、ポイントゲームなど、TVのバラエティ番組でプロが挑戦しているような的当てゲームなど、多彩なメニューがあり、いろいろな楽しみ方ができます。
「トップトレーサー・レンジ」を使ったイベントを練習場主催で行っていることも多いので、もし、近所に取り入れている練習場があるなら、チェックしてみると面白いことに遭遇できるかもしれません。
海外ではゴルフをしない若者たちが仲間同士で訪れて、ゲームに挑戦して盛り上がっているというケースも多いといいます。そこをきっかけにゴルフを始めるという人もいるのかもしれません。
機械に弱いという人でも、ボタンを押すだけで詳しい説明が読めるので、とにかく一度は体験して欲しい施設。「トップトレーサー・レンジ」は、国内に104カ所(2023年5月現在)。
ほとんどの施設で、打席料やボール代といった練習場施設の利用費のみで使えます。ただし、一部、有料としている施設もありますし、全打席ではなく、一部の打席のみに設置されているというケースも多いので、家の近くにある「トップトレーサー・レンジ」はどうなっているか、事前に調べてから出かけることをオススメします。
下山江美