愛媛県新居浜市垣生2丁目の住宅で3人が刃物で刺され死亡した事件で、県警は14日、殺人事件と断定して新居浜署に特別捜査本部を設置した。銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕された住居不定、無職河野智容疑者(53)が9月にも被害者宅に押しかけ、警察官が臨場していたことが判明。当時、「電波攻撃をやめろ」などと意味不明な言動を繰り返したといい、捜査本部は殺人容疑も視野に入れて慎重に調べている。
 県警によると、殺害された岩田友義さん(80)方から9月23日に「河野という男が来て、訳の分からないことを言っている」と110番があり、新居浜署員3人が駆けつけた。岩田さん方には友義さんと妻のアイ子さん(80)がおり、署員は河野容疑者が凶器を持っていないなど危害を加える恐れが認められないと判断し、押しかけないよう口頭で注意した。
 岩田さんの三男の健一さん(51)からは署に2019年9月と11月の2回、河野容疑者について「元同僚から電磁波を止めろなどと言われる」と相談があった。河野容疑者からも19年7月〜20年8月の間に4回、岩田さん方からの被害を訴える相談があり、他にも20年9月までに8回相談があった。署は具体的な事実が認められないとして、西条保健所に福祉的支援のための情報を計5回提供した。
 県警は「現時点では所要の措置を講じたと考えている。捜査で全容を解明する」とコメントしている。
 これまでの調べでは、亡くなった3人には複数の切り傷や刺し傷があり、玄関先で友義さん、残る2人は屋内で見つかった。署員が到着した際、河野容疑者はナイフを持っており、署員が拳銃を向けて捨てるよう警告すると応じたという。
 捜査本部は石崎洋一刑事部長を本部長に約80人態勢で、14日は現場近くで河野容疑者が使っていた軽乗用車を押収した。布団などがあり、車中生活をしていた可能性もあるとみられる。
 県警は愛子さんとしていた妻の名前について、14日にアイ子さんに訂正した。