今のドイツを映す<ドイツ映画祭>の魅力
スタイリッシュ、ポップ、移民世代のリアル、LGBTQ、coolなベルリン、セーラームーン、
映画現場のハラスメント問題…多様な側面を持つ7作品!!

<ウルリケ・クラウトハイム&北條誠人対談>
「ドイツ映画の暗く、重いイメージを変えたい。
移民2世、3世ら新世代監督が放つポップで新たな魅了を持った作品をスクリーンで見られるチャンス」

ミニシアター、映画好きのためのオンライン・コミュニティ「ミニシアタークラブ」では毎回様々なゲストをお迎えして映画、映画館にまつわる様々なお話をしていただいております。

今回のゲストは、11/18より開催されるドイツ映画祭についてゲーテ・インスティトゥート東京のウルリケさんをゲストにお招きして「ドイツ映画祭Horizonte 2021」の魅力についてお聞きしました。

11/18の開会式には、第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した『偶然と想像』(12/17)の公開を控えた濱口竜介監督のゲスト登壇も決定。

■ミニシアタークラブ対談 ウルリケ・クラウトハイム(ゲーテ・インスティトゥート東京 文化部企画コーディネーター)×北條誠人(ユーロスペース支配人)
■取材実施日:2021年11月12日(金)
■場所:ゲーテ・インスティトゥート東京
対談動画は、ミニシアタークラブに入会後、閲覧可能です。
https://basic.motion-gallery.net/community/minitheater/

【対談レポート】

−はじめにウルリケさんの自己紹介からお願いします。

ウルリケ「ドイツで大学を卒業するとき、もう少し外の世界を見てみたいなと思いました。周囲に日本人の知人が多かったので日本へのツテを探して奨学金制度を利用して、ドイツでの大学が日本の同志社大学と提携していたのもあって、まず京都へ行きました。」

北條「初めての日本が京都だったんですね。」

ウルリケ「はい。当時は日本全部が京都の様にお寺があって、伝統的な街並みになっていると思っていたので京都以外の都市に行った時はちょっとびっくりしました。」

北條「それからずっと日本に?」

ウルリケ「そうですね。半年の予定がもう十数年経ってしまいました。ここ(ゲーテ・インスティトゥート東京)に来たのは5年前で、入ってすぐドイツ映画祭があって携わりました。

当時、別の劇場でやっていたんですが、いつかはユーロスペースで映画祭をやりたいなと思って。」

―それは何故でしょうか?

「ユーロスペースは、ヴェンダースやファスビンダーなど、まだ日本で知られていないうちから紹介している劇場だったのを知ってたので。」

北條「そうですね。ユーロスペースでドイツ映画祭をやりたいと連絡をいただいた時は覚えてます。」

−今回の映画祭の紹介

北條「今回の映画祭の一押しを教えてください。」

ウルリケ「全部、おすすめなんですが(笑)今回は若手の‘新世代’の監督作品を多く選びました。当初はそのようなつもりはなかったんですが、作品を見るうちに、ドイツ人の自分たちでさえ気が付かない新たな視点が発見できたので。今、移民の次の世代監督がさまざまな作品を打ち出してきています。」

北條「今までは、ドイツ映画といえばの近代史をベースにした抑圧がテーマのものが主流でそういったものを日本に仕入れることが多かったですが、移民は2世の方々ですか?」

ウルリケ「2世や3世です。その描き方も決して、ただ暗く、単調なものではなくて、ポップでカラフルな今の若者のスタイルをイキイキと描いています。まずオープニング作品のファラズ・シャリアット監督の『未来は私たちのもの』ですが、これはぜひ見てもらいたいです。ドイツで育ちドイツ人として生きながらもイランからの移民のルーツの中で引き裂かれつつ、LGBTQのカルチャーも描かれてます。監督自身も出演しているんですが、影響を受けたセーラームーンの扮装をしたり従来の移民、難民のイメージを覆す新しいドイツを表現していると思います。27歳で本作がデビュー作品です。ドイツ映画の暗いイメージを覆したいです

北條「次の作品は?」

ウルリケ「『ベルリン・アレクサンダープラッツ』です。ドイツの有名な小説が原作でファスビンダーをはじめ、何度か映像化されている作品です。このドイツの国民的な小説を、主人公をアフリカからドイツに逃れてきた難民に置き換えたんですが、3時間という長尺なんですが、ものすごくスタイリッシュで今のベルリンをよく表現されている作品だと思います。」

北條「映像を見ると、特に夜のシーンなどは、ほんとにかっこよくて、ファスビンダー版から考えると全然違うイメージで驚きました。」

北條「そして、『異端児ファスビンダー』ですね。」

ウルリケ「ファスビンダーの人生を描いた作品ですが、今、パワハラ問題が非常にクローズアップされてます。ファスビンダーという監督は、周囲の人々を非常に魅了するのですがその反面、ものすごいサディストで撮影現場で人を追い詰めていく面もあり、芸術を制作するとはどうゆうことなのか考えさせられます。。。セットも演劇的な形で作られていて壊れていくファスビンダーを表現するのにうまく機能していると思います。」

ウルリケ「あとは、『オライの決断』も地味に見えるかもしれませんが、濃厚で力のある作品です。主人公の葛藤の描かれ方と、俳優の演技が素晴らしいです。あとは、『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』は監督でもあり女優でもあるマリアム・ザレーの作品です。『システム・クラッシャー 家に帰りたい』と『未来は私たちのもの』にも女優として出ています。本作はデビュー作のドキュメンタリー作品になるんですが、社会的なテーマを作品にして賞も受賞していて本当にすごい人だと思います。舞台になる刑務所は政治犯が多く収容される刑務所なんですが、『悪は存在せず』にもそうゆうシーンが多く出てきます。」

北條「繋がっているんですね。」

ウルリケ「そうですね。この刑務所にはマリアム・ザレー監督の両親も捕まっていてそうゆう状況を描き切っていて胸が締め付けられるような作品です。全作品見ていただくと色々繋がってくると思います!!」

北條「メルケル時代の新しいドイツ映画をスクリーンで見られるいい機会ですね。」

 

−開会式には濱口竜介監督がゲスト登壇されますね?

ウルリケ「はい。濱口監督は、『偶然と想像』が第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞されてました。その時の映画祭参加の手記がHPに掲載されています。パンディミック下の映画祭での参加の様子が克明に書かれていて、数年後に読んでも非常に価値のある文を寄稿していただいたので、ぜひお読みください。」

上映情報

ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021
2021年11月18日(木)〜21日(日)東京都 ユーロライブ
<上映作品>
「未来は私たちのもの」

画像,ドイツ映画祭「システム・クラッシャー 家に帰りたい」画像,ドイツ映画祭
「悪は存在せず」
「ベルリン・アレクサンダープラッツ」

画像,ドイツ映画祭

Sommerhaus Filmproduktion; Produzenten: J. Laube, M. Jungfleisch; Regie: Burhan Qurbani; Kamera: Yoshi Heimrath

「マリアム エヴィーン刑務所に生まれて」
「異端児ファスビンダー」画像,ドイツ映画祭

「オライの決断」
公式サイト
公式Twitter
公式Facebook