ユーモアや皮肉を絶妙なタッチで織り交ぜた前作『ピンカートンに会いにいく』が注目を集めた坂下雄一郎監督が、窪田正孝さんや宮沢りえさんなど豪華キャスト陣とともに届ける最新作『決戦は日曜日』が1月7日(金)より全国公開です。

本作は、とある地方都市を舞台に当選を続ける衆議院議員・川島昌平の私設秘書として働く中堅の谷村(役:窪田正孝さん)が、川島の病をきっかけに後継候補として立候補することになってしまった川島の娘・有美(宮沢りえさん)の補佐役として選挙戦を戦う物語。

とはいえ、父への支持基盤は強く難なく当選!と進むはずが、政界に蔓延する古くからの慣習に納得できない有美がまさか、まさか、選挙に落ちることを目指すことに…。

今回は、前作でも監督とコンビを組み、本作では谷村の秘書仲間・田中菜々役を演じた内田慈さんと坂下雄一郎監督にお話を伺いました!

映画『決戦は日曜日』内田慈さん&坂下雄一郎監督インタビュー,画像

田中菜々役の内田慈さん

映画『決戦は日曜日』内田慈さん&坂下雄一郎監督インタビュー,画像

坂下雄一郎監督

―― 本作映画化に向けて選挙事務所や議員秘書の方々にも取材をされて、監督はどんなことを感じたのでしょうか?

坂下雄一郎監督(以下、坂下監督)
取材というよりは、「何時に出勤されますか?出社されたらまず何をしますか?」、「掃除とか、前の日のゴミの片付けです」みたいな基礎的なところから始めて、ちょっとずつ仕事に関するアレコレというか本音と建前の部分みたいなところに聞く内容が変化していった感じです。

―― フィクションとはいえ劇中に描かれている政治の裏側にはビックリでした。取材をしていくうちに“政治の世界ってこんな世界なんだ”という驚きなどは監督ご自身も感じましたか?

坂下監督
どちらかと言うと、こちらがシナリオに“こういうシーンを入れてみたい”となった時に、「こういうことって本当にあるんですか?」みたいな聞き方が多かったような気がします。「起こらないとしたら、どういう形で似たようなことが起きますか?」みたいなことですかね。

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―― 保守的な物事の考え方は今の日本の潮流なのだろうなと妙に納得感を抱きました。
内田さんは久しぶりに坂下監督作品に参加されて、坂下監督の新しい素顔、発見みたいなものはありましたか?

内田慈さん(以下、内田さん)
そんなに簡単に素顔を見せてくれる方ではないので(笑)、発見はなかったです。

でも、前作「ピンカートンに会いにいく」もそうですし、それ以前の監督が撮られた作品全てにおいて言えますけど、笑えるのでコメディでありつつも、それでいて物事の核心に迫っていると再確認しました。

それぐらい劇映画よりも現実はおかしなことが起きていたり、ビックリするようなことがあったり。監督の作品を観ると、改めてそう思わされることがありました。

映画『決戦は日曜日』内田慈さん&坂下雄一郎監督インタビュー,画像

―― 確かにその通りだと思います。
ところで監督は、谷村役の窪田正孝さん、川島有美役の宮沢りえさんと作品についてどんな会話をされたのでしょうか?

坂下監督
思いみたいなものはそんなに話していないと思います。

窪田さんに関しては、キャラクターについての立ち位置、仕事に慣れてきてその仕事なりの論理というか、「常識みたいなものに慣れ、逆にそっちの方が心地良いみたいな状況です」みたいな、割と基本的なところの説明をちょっとしたぐらいです。

決戦は日曜日

 

―― その後はお任せして、お二人なりに演じられたのですか?

坂下監督
そうですね。

―― 内田さんは秘書仲間として、全体を見ているような観客にも通ずるような視線だったと思いますが、お二人(窪田さん&宮沢さん)が大変そうだな、と感じたことはありましたか?

内田さん
私は坂下さんが速いやり取りを長回しするのは前作で体験していて、インする前に窪田さんは「今回も長回しあるんですか?」って凄く気にされていたんです。

実際にインしたら、“ここを長回しで撮るんだぁ”みたいなシーンがありまして、私たち秘書陣は見守るしか出来ないので、“頑張れ!頑張れ!”って(心の中で)応援していました(笑)。

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―― (笑)
軽快にそして滑舌良く言葉が流れていって、乾いている感じがありつつも温かさもあるところが窪田さんらしくてとてもイイですよね。宮沢さんはいかがですか?

内田さん
ある意味川島有美という人物は、ちょっと現実離れしているというか。台本を読んだ時は“この役を演じる方は難しいだろうな。大変な役だな”と思ったんですけど、(宮沢さんが)それを存在させちゃう凄いパワーをお持ちだったので、“あっ、成立させちゃうんだ!”みたいな。自然で不自然なんですよね。

決戦は日曜日

―― そんな宮沢さんと絶妙なやり取りを繰り広げる後援会の3人組(たかお鷹さん、高瀬哲朗さん、今村俊一さん)にも楽しませていただきました(笑)。3人組のキャスティングの狙いを教えてください。

坂下監督
キャスティングディレクターの杉野さんが「この人どうですか?」みたいな感じで候補を挙げてくださるんですけど、その時に「ベテラン勢は文学座とか劇団系の方にお願いするのはどうでしょう?」みたいな感じで提案していただいて、映像の資料も見せていただきお願いしました。

―― ピッタリだったのではないでしょうか(笑)
監督の素顔を内田さんにお聞きしましたが、今度は監督から見た窪田さん、宮沢さん、内田さん、それぞれの魅力を一言ずつお願いします。

坂下監督
窪田さんは台詞も一番多いと思うのですが、喋っていない時のカットも上手く、生きている感じをだしていただけました。

特に後半のちょっと自分の心の変化というかキャラクターが変わっていくところで、あまり本音を話すキャラクターではないので、その辺を編集でつないでみたら上手につながっていて流石でした。

宮沢さんは、キャラクターとしても浮かび上がっているというか、他の関係性からちょっと浮いている有美のキャラクターに対して、それこそ宮沢さんご自身もやっぱり凄い方ですし、スター感というか自分からすると本当に存在しているのかと思うくらい現実的ではない感じが重なる感じがしたのでお願いしました。

内田さんは(笑)、窪田さんと宮沢さんが決まったからなるべく知ってる人がいたらいいなと思って、、、

どの役かなと思ったら、内田さんはこの役かなみたいな(笑)

決戦は日曜日

―― 知っている人と言えば、『ピンカートンに会いにいく』の田村健太郎(タムケン)さんもYouTuber役で出演されていました(笑)

内田さん
タムケンも面白いですよね(笑)

―― ところで、内田さんの魅力をお聞きしたんですけど、監督!それだけですか?

内田さん
魅力はまだ言っていないですよね。知り合いだったからとしか、、、(笑)

坂下監督
普通の人が最終的には保身に走ってみたいなところもあったりするので、良い人すぎず悪い人すぎずくらいのバランスの人が良いなと思っていたので、それを上手いことやっていらっしゃるなって思いましたし(笑)、僕以上にスタッフ陣の評判が良かったです。

―― (笑)内田さんのどんなところが評判が良かったのですか?

坂下監督
台詞がないところでも凄く細かく何かやっている、みたいな。

内田さん
ありがとうございます。でも、それは監督の感想じゃないですよね?(笑)

映画『決戦は日曜日』内田慈さん&坂下雄一郎監督インタビュー,画像

―― (笑)
ところで、秘書たち皆が謝っている部屋に、田中役の内田さんがそれを知らずに入って来るシーンについて教えてください。内田さん(田中)が謝っているけど、皆さんが笑いを堪えているようにも観えてくるんです(笑)

内田さん
窪田さんがハマっちゃうと横隔膜の振動がずっと続いていちゃう時があるようで、それを我慢している様子を見て、また私たちもおかしくなっちゃったり、そういうことが撮影中は沢山ありました。

扉のシーンは開ける側だったので分からないですけど、他のシーンでも、例えば音尾さんの受けの芝居が面白くて小市さんが笑いを食いしばって我慢して、カットがかかったら笑ったり(笑)

決戦は日曜日

―― メイキング映像も是非、観てみたいです!(笑)

内田さん
舞台挨拶でも話題になったのですが、そういう面白さ+監督は誰とも一線を画しているので、監督がちょっと笑ってたとかをキャスト陣で共有して、「さっき笑ってたよ」とか、そういう共通項も凄く楽しかったです。

「お弁当ちゃんと食べてたよ!」とか、みんなが監督のことを気にして、こっちがコソコソ話題にしてしまう方です。

―― 実はそれも監督の戦略だったりして?(笑)

内田さん
あり得なくもないですよね(笑)

―― 指揮者として監督はどういう感覚でこの笑いを生み出しているのかなと気になります(笑)

内田さん
(カットに対する)ジャッジもめちゃめちゃ早くて、みんながビックリしていました(笑)

―― 最後に作品の魅力について、内田さんと監督から一言ずつお願いします。

内田さん
監督から「普通の人の役です」と言われて臨んだのですが、ここで描かれている普通というのは、輪を大切にして、出る杭にならないようにするんです。それは日本社会で生きていく上で私も感じていることですし、大切だから皆がやってはいること。

ただ演じていた中で、“あれっ?この行動は普通っていうかむしろヤバくない??異常じゃない?”って思うことが何度もあって。“普通って何だろう?”というか、これを監督は観客に伝えたいのかな、疑問の種として持ってほしいのかなと思いながら演じていたことがあって。

もちろん政治の話なので、政治のこととして考えることも出来ますが、日本の社会の中で起きている色んなおかしなことにも置き換えられるので、観る人にとって凄く身近な作品になっているし、実はとってもヒリヒリする、グサッと刺さる作品だと思うので、そこが魅力的だと思います。

―― 政治的には保守派の最大の敵が見えてくるという見方も出来るわけですが、私たち一人一人の自覚って大切なんだな、とも思いました。まさに内田さんと同じことを感じました。では、監督お願いします。

坂下監督
個人的な嗜好として、エンタメ的な物語が好きなのでそういう作品を目指しつつ、ただやっぱりどうしてもエンタメがメインになってくると色々な排除されてしまう要素が出てきたりするのも事実だと思います。

なるべくその辺の間というか、どちらもなるべく反映されている方が良いと思っているので、今の日本のエンタメ系とはちょっと違うものを求めている方に楽しんでもらえるかなと思います。

―― ちなみに監督は日本の政治についてどう思いますか?

坂下監督
僕にはまだまだ分からないです。

―― (笑)そのお答えを待っていました!ありがとうございました!

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内田慈さんヘアメイク:板垣実和

窪田正孝 宮沢りえ
赤楚衛二 内田慈 小市慢太郎 音尾琢真
たかお鷹 高瀬哲朗 今村俊一/小林勝也/原康義 石川武 松井工 久松信美
田村健太郎 駒木根隆介 前野朋哉

監督・脚本:坂下雄一郎
製作:「決戦は日曜日」製作委員会
制作:パイプライン
配給:クロックワークス
Ⓒ2021「決戦は日曜日」製作委員会
公式HP:https://kessen-movie.com
公式Twitter/Instagram:@kessenmovie2022

2022年|カラー|104分|アメリカンビスタ|5.1ch
公開表記:2022年1月7日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー