and pictures地方上映特集【連載第1回】
地域初の映画祭 前日撮影のワークショップ作品上映

2020年1月、熊本県上天草市で初めてとなる映画祭「上天草ムービーフェスティバル」が松島総合センター・アロマで開催された。映画を通して上天草の風景を広く発信し、交流人口の増加に繋げようと市などが企画。
市内で撮影された作品短編映画4本と、開催前日に撮影されたワークショップ作品を市民と一緒に上映する面白い試みとなった。

きっかけは猫島(湯島)舞台の短編映画

上映作品の一つ、平田満主演、榊原有佑監督の短編映画『島のシーグラス』(18)は上天草市湯島の地域活性化を目的に製作された。「猫島」とも呼ばれる湯島は、人よりも猫が多いと言われる。人口はわずか300名。過疎化が深刻な状況に、移住を支援する活動の一環として、東京から映画製作者を招いて製作されたのが今作だった。

上天草市はロケーション提供・食事提供・エキストラ協力、美術協力などを支援。完成作品は、国内外の映画祭で多数の映画賞を受賞。【ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2019/ひかりアワード受賞・小津安二郎記念蓼科高原映画祭/入賞・とよはし映画祭/観客賞】
この作品がきっかけとなって上天草市初めての映画祭が開催されることになった。

地元住民と共に演技ワークショップと映画制作に挑戦!

映画祭の上映作品を前日に撮影するという試みに、全国から150の応募があった。オーディションで男女8人の俳優を選抜。榊原有佑監督、俳優の阿部進之介さんを講師に迎え、映画祭上映を目指して地元住民と共に3日間かけて演出講義、演技ワークショップが行われた。

8分の作品で、1・2名の出演シーンが連なる構成。台詞が繋がって他の人物とリンクしていく。必要最小限の台詞しかない脚本で、「なぜその台詞を言うのか」「このシーンに至るまでどんな経験をしてきたのか」を考える機会が与えられた。

俳優たちは役と向き合って人物背景を想像して、実際撮影する場所で冷たい風や島民の声、磯の香りを感じながら役作りをした。自分が出演していない時間はスタッフとしても映画に参加し、制作の裏側も経験した。

夜は相部屋に宿泊。同じ釜の飯を食べて、一緒にお風呂に入る。共同生活の中で互いを思いやり過ごすことも学んだ。それは映画制作が多くの人に支えられていることに通じている。