『海炭市叙景』『きみの鳥はうたえる』に続く、
佐藤泰志の小説、五度目の映画化。

心に失調をきたし、妻とふたりで故郷函館へ戻ってきた和雄。病院の精神科を訪れた彼は、医師に勧められるまま、治療のため街を走り始める。雨の日も、真夏の日も、ひたすら同じ道を走り、記録をつける。そのくりかえしのなかで、和雄の心はやがて平穏を見出していく。そんななか、彼は路上で出会った若者たちとふしぎな交流を持ち始めるが—。

心を病み、ランニングに没頭する和雄役を演じたのは、『寝ても覚めても』(18)以来三年ぶりの主演作となる東出昌大。常に危うい雰囲気を漂わせながら、走ることで徐々に再生していく男の変化を細やかな身体表現で体現した。慣れない土地で不安に苛まれながらも夫を理解しようと努める妻・純子役は、『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(21)、「君は永遠にそいつらより若い」(21)、『マイ・ダディ』(21)など出演作が続く、いま注目の奈緒。ふたりの俳優の繊細な演技によって、原作にはなかった夫婦の崩壊と再スタートというテーマが立ち上がった。監督は『空の瞳とカタツムリ』(18)、『なにもこわいことはない』(13)の斎藤久志。
佐藤泰志の魂を現代によみがえらせ、今の生きる人々に静かに問いかえる珠玉の名品がここに誕生した。

あらすじ・ストーリー

工藤和雄(東出昌大)は、昔からの友人で今は高校の英語教師として働く佐久間研二(大東駿介)に連れられ、病院の精神科へやってくる。和雄は東京で出版社に勤めていたが、徐々に精神のバランスを崩し、妻の工藤純子(奈緒)と共に故郷の函館に帰ってきたばかりだった。精神科で医師の宇野(室井滋)と面談した和雄は、自律神経失調症だと診断され、運動療法として毎日ランニングをするように指示される。

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札幌から函館へ引っ越してきた小泉彰(Kaya)は、スケボーで街を走っていく。転校したばかりで、学校ではどこか孤立気味の彰は、同じバスケ部に所属する同級生から、夏になったら海水浴場の近くにある巨大な岩から海へダイビングしてみないかと誘われる。誘いを了承したものの実はカナヅチの彰は、市民プールへ練習しにでかけ、そこで見事な泳ぎをする高田弘斗(林裕太)と出会う。弘斗は以前中学でいじめに遭い、不登校になった経験があるという。弘斗は、泳ぎを教える代わりに自分にスケボーを教えてほしいと頼む。弘斗の姉、恵美(三根有葵)も加わり、3人は人工島「緑の島」の広場で遊ぶようになる。

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医師の指示通り、和雄は仕事をしばらく休み、毎日同じ場所を走り始める。少しずつ距離を伸ばしていく和雄だが、走る以外は何もできず、家事をすることも、純子を気遣うこともできない。函館山のロープウェイで案内スタッフとして働く純子は、黙々と走る夫と、愛犬ニコとともにどうにか生活を続けていた。東京出身の純子には、夫とその両親以外、函館には頼れる人が誰もいない。

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広場で花火をする彰たち。その周囲を走る和雄に気づき、彰と弘斗は追いかけるように走り出す。すぐに脱落してしまう弘斗をよそに、彰は必死で和雄と並んで走り続ける。この日を境に、3人は時々一緒に走るようになる…。

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本予告

作品情報

出演:東出 昌大 奈緒 大東 駿介 Kaya 林 裕太 三根 有葵 利重 剛 クノ 真季子/室井 滋
監督:斎藤久志 原作:佐藤 泰志 「草の響き」( 「きみの鳥はうたえる」所収/ 河出文庫刊)
脚本:加瀬 仁美 撮影:石井 勲 美術:原田 恭明 照明:大坂 章夫
録音:矢野 正人 音楽:佐藤 洋介 ピアノ:村山☆潤 音楽制作:オフィスオーガスタ
助監督:齊藤 勇起 装飾:森 公美 衣装:小里 幸子 白石 妙子 ヘアメイク:風間 啓子
編集:岡田 久美 音響効果:伊藤 瑞樹 制作担当:中島 正志
プロデューサー:鈴木 ゆたか プロダクション協力:リクリ
協力:函館市 特別協力:佐藤 喜美子 河出書房新社 題字:佐藤 泰志
アソシエイトプロデューサー:寺尾 修一 製作:有限会社アイリス
企画・製作・プロデュース:菅原 和博
宣伝:ブライトホース・フィルム
配給:コピアポア・フィルム 函館シネマアイリス
公式サイト
© 2021 HAKODATE CINEMA IRIS[ 2021 年 /116 分 ビスタ カラー /5.1ch ]

10月8日(金)より新宿武蔵野館・ヒューマントラストシネマ有楽町/渋谷ほか全国順次公開!

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