顕著な活躍を見せた映画製作者の功績を称える「第36回藤本賞」の授賞式が5月19日、都内のホテルで行われた。「君の名は。」の新海誠監督(授賞式は欠席)、川口典孝氏、古澤佳寛氏、川村元気氏が同賞を受賞。「シン・ゴジラ」の山内章弘氏、佐藤善宏氏、「この世界の片隅に」の丸山正雄氏、真木太郎氏が同特別賞に輝いた。

 興行収入240億円を超える歴史的な大ヒットを記録し、幅広い観客層へ向けた映画作りが評価された「君の名は。」。「今年の新入社員を連れてきました」と口火を切ったコミックス・ウェーブ・フィルム代表の川口氏は「アニメ業界の制作現場は疲弊しています。それをわかったうえで沢山の学生さんが入ってくれています。この子たちが僕たちの未来です。僕たち大人が守っていかなければなりません。ご協力よろしくお願いします」と強い決意を表明した。

 一方、川村氏は「僕が新海監督と出会ったのは15年前になります」と告白。当時23歳、インターネットを閲覧していたところ、初めて企画・プロデュースを務めた「電車男」、そして新海監督の「ほしのこえ」と出会ったという。「当時新海監督と仕事をしたいとは思っていたのですが、その時にやらなくてよかったと思っています。当時の僕は新海監督の役に立てなかったはず」と語ると「少しずつ成長しようやく再会してつくった『君の名は。』が大ヒットにつながった。ある種映画界の夢があるような気がしました。必然性のあるタイミングで必然性のある仕事が出来た時に、良い作品は生まれるんだと思います」と思いの丈を述べていた。

 第40回日本アカデミー賞では作品賞、監督賞ほか7部門で最優秀賞を受賞した庵野秀明総監督作品「シン・ゴジラ」のプロデューサー・山内氏は「映画の喜び、想像力の先にあるものを提示できないかという思いがあった」。そして「特撮映画、怪獣映画、ゴジラ映画など、評価の対象外にされがちなタイプの作品に対して、正当な評価をいただけたことを嬉しく思います」と話していた。

 片渕須直監督が、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したこうの史代の同名コミックをアニメ化した「この世界の片隅に」の丸山氏は「初めてスケジュールを守れなかった作品をつくりました」と話して笑いを誘い「よく完成したなと思います。出来ただけでも僕は嬉しいのに、ここに立っているのが夢のようです」としみじみ。「(本作は)片渕監督の粘り勝ち。多くの人に支えられて生まれた作品です」と完成に至るまでサポートしてくれた人々への謝意を示していた。