是枝裕和監督がオリジナル脚本で法廷心理ドラマを描いた映画「三度目の殺人」の完成披露試写会が7月31日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、是枝監督をはじめ主演の福山雅治、共演の役所広司広瀬すず満島真之介、斉藤由貴、吉田鋼太郎が出席。是枝監督とは「そして父になる」以来となるタッグとなった福山は、「是枝組は驚きと発見の連続」と明かし、尊敬の念をにじませた。

 裁判をビジネスと割り切る弁護士・重盛(福山)が担当することになったのは、死刑がほぼ確実な殺人事件。2度目の殺人を自供した容疑者・三隅(役所)と面会を重ねるが、供述が二転三転し明確な動機を見抜くことができない。やがて、重盛は三隅と被害者の娘・咲江(広瀬)との接点を気づいたことで、新たな事実に直面する。

 福山は「『そして父になる』では、子どもたちに台本を渡さずセリフを当日に言うし、『台本とセリフが違っても、子どもについていってください』と言われたり、楽しかった」と思いを馳せる。そして「今回も、監督自身が創作の森のなかで、ああでもない、こうでもないと葛藤する姿を間近で見ながら、見事なところに着地した、という感想を持ちました。すべてが予定調和ではなく、驚きと発見の連続で、今回、そこでより奥行きと鋭さを増しています」と、是枝監督の手腕に最敬礼だった。

 さらに是枝監督の前作「海街diary」での熱演が高く評価された広瀬は、同監督との再タッグに「見たことのない監督の表情を、たくさん現場で見られました」と興奮を隠しきれない。是枝監督は今作に対し、「最高のキャストと映画をつくれました」と胸を張り、「挑戦の多い現場で、やれることはすべてやったと、完成を見て実感しています」と自信をみなぎらせた。

 また今作は第74回伊ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されるが、デビュー作「幻の光」以来、約22年ぶりの同映画参加となる是枝監督は「ベネチアは自分のなかで特別な映画祭。自分を世に出してくれた恩もありますし、新しい作品を携えて成長した姿を、ベネチアの皆さんに見てもらえるかなと思います。楽しみです」と期待に胸躍らせた。

 福山も「そして父になる」で第66回仏カンヌ国際映画祭に参加した際を引き合いに、「それが初めての海外映画祭で、レッドカーペットを歩いたこともなかった。上映後のスタンディングオベーションも、何もかも初めて。しんどいことは何もなく、僕のなかでとても大きな経験でした」と目を細める。キャスト・スタッフがベネチアに渡るかは調整中なだけに、「一緒に行けたら、あんなに良い思いがまたできるのかと。今回は、どんな景色が見えるのかな。もし行けたらですけどね!」と、言外におねだりしていた。

 「三度目の殺人」は、9月9日から全国で公開。