第30回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で、井浦新黒川芽以がダブル主演した「二十六夜待ち」が10月27日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、井浦と黒川、越川道夫監督が舞台挨拶を行った。

 同作は佐伯一麦氏の同名小説を、「海炭市叙景」「かぞくのくに」などのプロデューサーで、「海辺の生と死」の越川監督が映画化。震災で傷ついた男女の孤独と愛を描くR-18の大人のラブストーリー。井浦と黒川の20分に及ぶ大胆な濡れ場が話題になっている。

 記憶を失い、謎めいたところのある飲み屋の店主・杉谷を演じた井浦は当初、欠席の予定だったが、仕事が早く終わったため、急きょ駆けつけた。「世界で初めての上映に来ていただき、うれしい。じっくり味わってください」。震災の痛みを忘れるため、小さな飲み屋・杉谷で働くことになるヒロインの由美を演じた黒川は「思っていたより早く見てもらえる機会があったので、緊張と興奮……、いろんな思いでいっぱい。ぜひ楽しんでください」。

 越川監督はデビュー作「アレノ」に続く映画祭参加。「今回は2人とレッドカーペットも歩けたので、うれしかった」と話し、映画の成り立ちについて、「『アレノ』を見に来てくださった福島・いわきの方と知り合ううちに、いわきの映画を作りたいと思い、この短編のことを思い出した。本当の舞台は仙台だが、いわきに置き換えた」と明かした。

 一方、出演の経緯について質問された主演の2人。「台本を頂いたとき、20代最後の大きな作品になる。挑戦ではあるけれども楽しみだな、と思いました。越川さんとは以前に仕事し、信頼関係はできていると思っていたので、たくさん話し合いながら作っていきたいなと思いました」と黒川。同じく越川監督のプロデュース作品に出演した井浦は「あるシーンでぶつかって、進まなくなる時に一番の相談相手になってくれたのが越川さんでした。多くの作品をご一緒させてもらいましたが、プロデューサー、監督とも違う良心の部分を持っている方。今回は監督作ということで、気を遣わず、思いきりお芝居をしていける場をいただけた。楽しみで仕方なかったです」と話した。

 越川監督は映画祭でのお披露目に「とにかくありがたい。小さい規模の作品ですが、多くの人に届いてほしい。みなさんがどう思われたのか、聞いてみたい。直接、話しかけてください。会場をウロウロしていますから」と満席の会場に呼びかけていた。