自分が築いた財産を子どもになるべく多く残したい。誰しも思うことですよね。平成27年1月の税制改正によって相続税が増税となったいま、その思いは切実です。

そこで、アフィリエイテッドファイナンシャルプランナーの一橋香織さん(相続診断士事務所 笑顔相続サロン代表)に、賢く財産を残すためのとっておきテクニックを教えていただきました。

節税のために生命保険を活用しよう

ポイントは課税対象となる財産を減らして節税対策をすること。そのために活用したいのが生命保険です。メリットは「非課税枠を利用できる」「特定の人にお金を残すことができる」「一括ではなく毎月払いを選ぶこともできる」ことで、でこれらの特長をうまく応用することで、節税が可能になります。

生命保険の中には、契約の際に一括で保険料を支払い、死亡時に保険金が支払われる「一時払い終身保険」というものがあります。これを活用することにより、相続の際に課税対象になる財産の一部を減らすことができ、かつ受け取る保険金の非課税枠もあるので、法定相続人なら1人あたり500万円まで相続税はかかりません。

また、保険金は受取人固有の財産とみなされるので、遺産の分割対象にもなりません。例えば息子さんのお嫁さんに介護などでお世話になったので財産を残したい、など法定相続人にはなれない親族(この場合は、非課税対象枠は利用できません)を受取人にすることで、感謝の気持ちに報いることもできるのです。

自宅マンションを売らずに姉妹で財産を相続したい

それでは具体的な相続相談と、その解決策をご紹介しましょう。相談者は介護をしてくれた独身の長女に自宅マンションを残してあげたいと思っています。しかし、このままではマンションを売却しないと、次女に対して遺産分割ができない状況です。良い解決策とは?

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【家族データ】
父:75歳
母:3年前に死亡
長女:45歳(7年前から父母の介護・独身)
次女:43歳(共働きで子ども1人)

【相続財産】
約2000万円
<内訳>
自宅マンション:700万円(売買価格2000万円)
生命保険:1000万円
預貯金:300万円

※生命保険の受取人は亡くなった妻になっている。
※次女は別に住み、介護を手伝ったことがない。

【相談内容】
・無料相続相談で、相続税はかからないと言われた。
・ただし遺産分割の際には不動産は売買価格で行うため、子どもたちにはそれぞれ、不動産1000万円+生命保険500万円+預貯金150万円、合計1650万円ずつ。そのためにはマンションを売らないと現金が足りない。
・長女が7年前から亡き母と自分の介護をしてくれている。独身のため長女に自宅マンションを相続させてやりたい。

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【解決策】
1.生命保険は受取人固有の財産になるので、受取人を長女にする。
2.預貯金300万円は葬式など死後整理資金として消えるため、相続財産はマンション分の2000万円だけになる。
3.次女の遺留分は法定相続分1000万円のうち500万円になるため、500万円分を長女から渡す。長女にはマンションと保険金の500万円が残る。

できれば遺言書に「長女にはマンションを相続」「次女には遺留分だけ」と書いておくようにしましょう。また、付言事項として、なぜマンションを長女に相続させたいのかをしっかりと書くことも大切です。長女はその代償として、次女に500万円を交付することも明記しておきましょう。

とはいえ、できれば元気なうちに、姉妹と話し合っておくのがいいでしょう。相続の際にモメることのないよう、次女に理解してもらうことが大切です。

(出典:『終活・相続の便利帳』)

(K)