IDC Japanは、Enterprise Resource Management(ERM)、Supply Chain Management(SCM)、製造管理とエンジニアリングツールのProduct Lifecycle Management(PLM)の各ソフトウェア市場を、「国内EA(Enterprise Applications)ソフトウェア市場」と位置付け、その2016年実績と2017年〜2021年の予測を発表した。

2016年の市場規模は前年比成長率2.3%、4,916億円7,200万円

 2016年は、大企業向けERPの刷新が続き、前年比4.2%増と好調なERMソフトウェアが市場成長を牽引し、国内EAソフトウェア市場全体では成長率が2.3%、市場規模が4,916億7,200万円となった。SCMソフトウェアは、フロントエンドシステムへの投資に押され2.7%成長、またEAソフトウェアの過半数を占めるPLMソフトウェアでは、定額制のサブスクリプション販売の影響が顕在化し、成長率が0.8%で前年並みの市場規模に留まった。  同市場のクラウド利用は、オンプレミスシステムの機能補完から、コアシステムへのSaaS採用が拡大し、2015年以降に普及したIaaSと共に、データ活用に向けたPaaS需要など本格化の兆しを見せている。

 2016年〜2021年における国内EAソフトウェア市場の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.0%で推移し、2021年の市場規模は5,993億8,100万円に達すると予測している。アジアを初めとする海外への日系企業の進出は製造、金融、流通に加え、飲食などのサービスでも活発化し、国内本社向けのEAソフトウェア投資が大企業から中堅企業へ拡大している。

 しかし2019年頃から、海外拠点向け投資へ軸を移し、また次回の税制改正対応も落ち着くため、国内EAソフトウェア市場の成長率が下降に転じる。働き方改革の浸透に伴い、モバイルワークや在宅勤務にも親和性が高いクラウド需要がさらに拡大する。

 そのためライセンス販売もサブスクリプション型へ移行し、市場成長をいっそう緩やかにする。しかしながら、基幹系ソフトウェア自体はバックエンドの管理システムから、データ活用に向け機能拡張が進む。対話型インターフェイスなどコラボレーション機能の追加や、業務プロセスを自動化するミドルウェア領域との融合が進み、EAソフトウェアの市場定義の枠を超えた部分で大きく成長するとIDCではみている。



「インテリジェントERPが働き方改革の中心施策として継続的に市場を牽引する」

 日本の労働人口不足に対して、働き方改革として多様な取り組みが進んでいる。この動向は、単年で終わるものではなく、継続的に生産性の向上を図る取り組みとしてICTの活用シーンを段階的に拡大するだろう。

 IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのシニアマーケットアナリストである、もたい洋子氏は「EAソフトウェアにも、データ保管と可視化機能を超え、データから洞察を得るための拡張性が求められている。機械学習などを活用するクラウドネイティブなインテリジェントERPが、働き方改革の中心的な役割を担い、継続的な市場拡大を支援する」と述べている。

参考資料1:国内EAソフトウェア市場 売上額予測、2016年〜2021年[十億円](作成:IDC Japan)   参考資料2:人事給与システムを例にした、ベンダー製品の機能拡張(作成:IDC Japan)  

 今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内EAソフトウェア市場予測、 2017年〜2021年」にその詳細が報告されている。レポートでは、IDCが定義するERM、CRM、PLMの各ソフトウェアをEAソフトウェア市場と位置付け、国内EAソフトウェア市場における2016年の売上額実績の分析と、2017年〜2021年の売上額の予測を行っている。

EnterpriseZine編集部[著]